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名作・迷作探訪<洋画篇> 『ジョーズ』(8)

◆ ドレイファス同様、運命的なロイ・シャイダーのブロディ役

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 撮影でロバート・ショウにイビられる事になるドレイファスはこの役を2度目のオファーでようやく引き受けるのだが、製作費や撮影期間が超過したので「『ジョーズ』の出演は失敗だった」とクランクアップ後、インタビューで答えている。最後まで映画の出来には不信感を抱いていたようだ(その割には、ロケ地の島で見学にきた女性ファンや地元の美女と連夜遊びまくって撮影をエンジョイしていたとか)。

 ブロディ署長がロイ・シャイダーになったのは、あるパーティでスピルバーグと会い、そこで意気投合したかららしいが、『メイキング・オブ・ジョーズ』によればシャイダーは「スティーブンは別の誰かとずっとサメが人を襲う映画の話をしていて、それを聞いて面白いと思い、俺を使ってくれ、と売り込んだ」と言っているし、スピルバーグも『ジョーズ:インサイド・ストーリー』の中で「話し相手のいなかった私に話をしてくれたロイに映画の内容を話したら、私にやらせてくれ、と言ったので」ということで二人の話に齟齬はない。

 しかし、このブロディの役をロイ・シャイダーが演じたことは、ある意味、必然だったように思える。映画の前半、ブロディの家庭が描かれる中で、警官だった彼は当初、ニューヨークで勤務していたが、犯罪多発の落ち着かない大都会が嫌で、妻や子供と共に夏のリゾート・ビーチぐらいしか取り柄のない、田舎のアミティに引っ越してきた事が明かされる。つまり彼は自ら志願してアミティの署長になったのだが、ここで重要なのはNYで警官をしていた、というプロフィールである。


▲『フレンチ・コネクション』(1971・米) 予告篇

 これまた映画ファンならすぐピンと来るはず。『フレンチ・コネクション』(1971・米 ウィリアム・フリードキン監督)と繋がるのである。NY市警の荒くれ刑事、ジーン・ハックマンのドイル刑事をサポートする同僚のバディ・ラソー刑事をシャイダーは演じており、有名なこの映画の謎めいたエンディングで、二人は「麻薬課より転出、のち復帰:Detective DOYLE and RUSSO were transferred out of the Narcotics Bureau and reassigned」とタイトルで説明される。
 このルソー刑事が復帰せずに癒やしを求めて地方に飛び出していったら、ちょうどこのブロディになるのだ。そういう具合に巧いこと繋がるのである。『アメリカン・グラフィティ』の所でも書いたけど、それを意図してキャスティングしているわけではない(同じ映画会社の同じ製作スタッフがやってるわけじゃない)と思うが、そのように考えずにはいられないような、実に心憎い趣向を持ってくる。そういうハリウッド映画が私は好きです。

 しかもお気づきか、ロイ・シャイダー、ロバート・ショウ、リチャード・ドレイファスの3人は、頭文字が同じ〝R〟で、クレジットでは3人一緒に表記される(ワンタイトルで並記)。それは誰もが主役である証拠か・・・いや、この映画の主役はサメである(※1)。<続く>

映画ジョーズの秘密
※1『映画ジョーズの秘密』(発行:みんと)は、当時ロケ地のマーサズビニヤード島の住民で、地元紙に記事などを投稿していた写真家のエディス・ブレイクが製作の過程を記録したジョーズ文献だが、この中でロイ・シャイダーは当初、自分こそが主人公だと思いこんでいたらしい。しかしちっとも動かず、操作しづらいロボットのサメこそが主役だと考えるようになってから、別人のように振る舞うようになった、と書いている。


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名作・迷作探訪<洋画篇> 『ジョーズ』(7)

◆ 何故、クイント役はロバート・ショウだったのか?

アーネスト・ボーグナイン
▲ アーネスト・ボーグナインのクイント船長、いいんじゃない。本当は〝船長〟じゃないんだけど、船長って言いたくなるんだよな。『白鯨』のエイハブ船長みたいな役柄だから。
出典:Twitter

 ただ今回観ていて思ったのは、何故、このクイント役がロバート・ショウに振られたのか、ってこと。この1974年当時(撮影時)、このクイント、つまり意地悪で頑固でタフなクソジジイ役が似合いそうなスターや俳優がいっぱいいたからだ。
 ざっと上げるとジョン・ウェインやカーク・ダグラスみたいなメインのビッグネームはもってこれないにしても(しかもウェインこの時期、ガン闘病中)、ロバート・ミッチャム、ロッド・スタイガー、アーネスト・ボーグナイン、ジョージ・C・スコット、ロイド・ブリッジス、ジャック・パランス、ウォルター・マッソー、ジョージ・ケネディ、ジェーソン・ロバーツ、ヴィンセント・ガーディニア、ウォーレン・オーツ、イーライ・ウォーラック、ビック・モロー、テリー・サヴァラス、ドナルド・プレザンス・・・私なら、この1970年代にはもう随分年齢をとっていたと思うが、アンソニー・クインや『静かなる男』(1952・米)のヴィクター・マクラグレン(1959年没)、エド・ベグリー(1970年没)、リー・J・コッブあたりにオファーしたい(みんな憎ったらしいヤツばかり)。

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 スペンサー・トレイシーやハンフリー・ボガートはもはや亡くなっている(トレイシーは1967年没、ボギーは1957年没)。

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 ジーン・ハックマンもいいと思うが、『フレンチ・コネクション』(1971・米 ウィリアム・フリードキン監督)でオスカーを獲ったからスター級に格上げされてギャラが高い。同様に高額ギャラのマーロン・ブランドオーソン・ウェルズではデブ過ぎて小回りが利かないし(チャールズ・ロートン〔1962年没〕、ジェームズ・メイソン、ゲルト・フレーベしかり。それにもう高齢だ)、ロバート・デ・ニーロやアル・パチーノ、ジェームズ・カーンじゃまだ若い(ジャック・ニコルソンもドナルド・サザーランドも同様に若すぎる)。この〝ゴッドファーザー〟ファミリーの中では、ロバート・デュヴァルがせいぜいだ。そしてユニバーサル上層部は大反対するだろうが、デニス・ホッパーなんてキワモノを起用しても面白い。
 そう、こんなに候補者がいたんだ!

ペンチャー・ワゴン
▲ 『ペンチャー・ワゴン』(1969・米 ジョシュア・ローガン監督) オッ、マーヴィン、イーストウッドと共演だぜ。
出典:coconuts disk

 実際、この役は最初リー・マーヴィンにオファーされている。その時、リゾートで休暇中だったマーヴィンが「魚を釣るのはプライベート(の趣味)でやりたい」と断り、次にスピルバーグが気に入ってたスターリング・ヘイドンにいった。ヘイドンもこれを断り、当時のユニバーサル映画の社長シド・シャインバーグが「ではロバート・ショウではどうだ」と打診して実現したという。ロバート・ショウはこの前に大ヒット作の『スティング』(1973年・米 ジョージ・ロイ・ヒル監督)に出ており、ユニバーサル側の受けが良かったからだという。<続く>


▲ 『スティング』(1973) 予告編  この映画ぐらい、ネタバレ厳禁な映画もないだろう。それを知ってしまったら、楽しみが半減、いや2割くらいしかなくなる。で、私はその2割の組である。観る前に原作を読んでしまったのだ。あー、もー、バカバカ。コチラ、『ジョーズ』と違って原作と映画は同じオチ。先に知ってから(原作読んだ時も、オーッ!と思ったけれど)観ると、あそこのね、あれがね(当然、ナイショ)。というわけなので、まだ未見の人は何の予備知識もなくご覧ください。ロバート・ショウはここでニューマン&レッドフォードに立ちふさがるロネガンというギャングの大ボスを演じてます。

名作・迷作探訪<洋画篇> 『ジョーズ』(6)

◆ 本当に仲が悪かったロバート・ショウとリチャード・ドレイファス

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 ロバート・ショウのベテラン漁師クイントは、ロイ・シャイダーのブロディ署長やリチャード・ドレイファスの海洋学者フーパーを〝サメ獲りの素人(トーシロー)〟と見下してるから、常にエラソーで嫌味でタイラントのような振る舞いだ。クイントに渋々従うブロディ、フーパーは共に彼を嫌い、特にフーパーはやることなすことバカにされてド頭にきてクイントの見てない所で「アッカンベー!」をする。クイントは見ようによってはタチの悪い田舎の親父、って感じだが、『ジョーズ:インサイド・ストーリー』によればショウの方もマジでドレイファスを嫌っており、撮影中さんざん嫌がらせをしたらしい。
 格上のベテラン俳優が格下の売れっ子俳優に嫌味なことをするのは、この業界の常識みたいなもんだが、ショウの場合はちゃんとした理由があってドレイファスが撮影前に出演したカナダ映画の評判記事を、オルカ号(サメ退治に使うクイントの船)に持ってきて吹聴したせいらしい。この『ジョーズ:インサイド・ストーリー』製作時にはショウは亡くなっているから出てこないが、監督のスピルバーグ、ロイ・シャイダー、ドレイファス当人がその事について語っている。

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 もともとドレイファスは、『ジョーズ』のオファーを受けた時、意外にも断っている。スピルバーグはドレイファスの出世作『アメリカン・グラフィティ』(1973・米)を見ており、友人のジョージ・ルーカス監督から推薦されたからオファーしたのだが、彼は海での撮影がイヤだった。そればかりか監督のスピルバーグに「この映画の監督、降りた方がいいよ」と忠告したりもしている。ところが直前に出たカナダでの新作が本人的にはヒドイ出来だったから、早く次の作品に出ておかなきゃ、と思い、ようやくオファーを受けた(この映画はテッド・コッチェフ監督の『クラヴィッツおやじの年季奉公:The Apprenticeship of Duddy Kravitz』1974年・加、らしい)。
 ところが完成したこの作品が思いの外、好評だった事に気をよくして、まあ、撮影現場で自慢しちゃったんだな。それにショウがカチンときたらしい。

 ドレイファスが出番で芝居しようとすると、スッとそばに来て「クセを出すなよ」と小声でショウは囁くのだとか。するとまだ新人のドレイファスは、クセのあるなしに関わらず、それを気にして神経質になり、何度もNGを出す。そういうビビらせ方をロバート・ショウはしたようで、そういった現場をスピルバーグもロイ・シャイダーも目撃していた。
 うーむ、これこそ役者の意地と感情がぶつかり合う、プロフェッショナルな仕事場(撮影現場)って感じがする。<続く>



▲ 『アメリカン・グラフィティ』(1973・米 ジョージ・ルーカス監督) 1962年、高校生最後の夏の1日(ワンナイト)を描いた青春映画で、ドレイファスは主要4人の中のカート役で出演。隣り合わせたサンダーバードの美女にひと目惚れし、ひと晩中探し歩いたあげく、ラジオでDJのウルフマン・ジャックがそのことを放送で話すとその美女から連絡が入るが、カートと行き違う。一度見て恋した女を探し回る、というシチェーエーションは、写真に映った見知らぬ女に惚れて探し回る、フランソワ・トリュフォー監督の『逃げ去る恋』(1978・仏)を思わせもするが、映画の最後にカートは後にカナダで作家になることが示される。作家になる、でピンと来た人は鋭い。スティーブン・キングの自伝的小説の映画化『スタンド・バイ・ミー』(1986・米 ロブ・ライナー監督)で死体見物の旅に出る4人の少年の一人、ゴードン(ウィル・ウィートン)は長じて作家になるのだが、その大人のゴードンを演じているのがドレイファスなのだ・・・アメリカ映画のこういう連携が素晴らしい。

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名作・迷作探訪<洋画篇> 『ジョーズ』(5)

◆ ジョン・ミリアスが書き加え、ロバート・ショウが言いやすく改訂した悪夢な体験


▲ クイントがブロディやフーパーに巡洋艦インディアナポリス号の遭難事件を語るシーン

 『ジョーズ』の見所は、スピルバーグ監督が腕によりをかけてクリエイトした名シーンばかりだから、そりゃ一杯あるが・・・とはいえ、その撮影は製作予算は4倍に、スケジュールは3倍に膨れあがった、という悪夢の体験と相成る。
 それは後述するとして、私が最初、この作品を観た時に強く胸に刻まれたのは、あのクイント(ロバート・ショウ)がブロディやフーパー(リチャード・ドレイファス)に語る、サメを憎む動機=悪夢の体験の話である。

 この悪夢の体験とは・・・(まさか、とは思うが、世の中にはいろんな人がいて、今もって『ジョーズ』を未見な人もいるかもしれないので、詳細は伏せる)・・・第二次世界大戦時、巡洋艦インディアナポリス号に乗り込んでいて、魚雷で艦を失った1100名の兵士が海に投げ出されて・・・というおぞましい話であり、『ジョーズ』を観た人は大概、ここを話題にする。語るロバート・ショウの芝居が巧いのでつい引き込まれ、聞いていくと我々日本人には特に因縁深い所がある。ここは映画の上映時間から行っても起承転結の「転」に当たるから、実に巧いタイミングで放り込まれるわけで、毎度観ても感心し、今回も巧い事持ってくるなあ、と思ったが、これが実話だということを今回初めて知った。

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 この海難兵士の悪夢話の部分(台詞)は、先のハワード・サックラーがちょっとその話に触れたのを、あの『デリンジャー』(1973・米)『ビッグ・ウェンズデー』(1978・米)ジョン・ミリアス監督が膨らませて書いたものが原型である。スピルバーグから電話がかかってきて、ミリアスが書いた。だがミリアスの書いた独白が長かったので、ロバート・ショウが言いやすいように直したものが採用されたという。
 この裏話は『ジョーズ:インサイド・ストーリー』の中にジョン・ミリアスが直々登場して語っているのだが、DVDの特典映像にある「メイキング・オブ・ジョーズ」(2000)や同じ特典の「スチール集」の中にジョージ・ルーカス等のニューシネマの監督達がロケ地を訪問しているスナップが出てくる。スピルバーグとフランシス・コッポラ、ジョージ・ルーカス、ジョン・ミリアス、ブライアン・デ・パルマなどといった面々は当時から深い繋がり(連帯)があることが改めて確認できる。こういうのが分かって面白いよね、特典映像は。

 また『ジョーズ:インサイド・ストーリー』には、この太平洋戦争の時、海に投げ出された1100人(映画でロバート・ショウは1100人というが、実際は1200人だったよう)の中の一人で、実際にそれを経験し、そこから生還した兵士が2人も出てきて証言する(!)なんて特筆すべきシーンがある。だから、あの原爆を運んだとかサメに次々と食い殺された、って話は実話なのだ。

 だから「ロバート・ショウのクイントが映画の中であの話をしてくれた事に感謝してる」って生還兵が話すシーンには絶句した。だって、絶対、作り話だと思っていたから。巡洋艦インディアナポリスの悪夢の遭難体験は本当にあった事件で、それをジョン・ミリアスは実によく知っていた(戦争好きな人だもんね、ミリアスは)。

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 とここまで読んだ人は「コイツ(私)、『パシフィック・ウォー』を観てないな」と気づくだろう。その通り、観ていない。というかこの事件が映画化されている事を今知った。この巡洋艦インディアナポリス号の物語は2016年にニコラス・ケイジ主演で『パシフィック・ウォー』(マリオ・ヴァン・ピープルズ監督)のタイトルで映画化されていて、巡洋艦に魚雷を撃ち込む日本軍の潜水艦の艦長・橋本以行(もちつら)を竹野豊が演じている、とか(早速、観てみよう、と思っている)。


▲ 『パシフィック・ウォー』 予告篇

 ロバート・ショウ、あのシーンでいい演技をしたのにアカデミー賞(助演男優賞)にはノミネートもされなかった。この時期、アカデミー協会はニューシネマの映画に冷たい。
 このシーンを撮る直前、ショウはスピルバーグに「ちょっと一杯ひっかけさせてくれ」と頼んだ。酒を一杯飲んでから演ると。ところが1時間後、助監督らに支えられて現場にきたショウは泥酔していて、撮影どころじゃなかった(飲み過ぎてやんの!)。その夜、深夜3時にショウはスピルバーグの所に電話してきて謝罪、翌日、素面で現場にやって来て見事にこのシーンを演じきった、という。

 名作、名シーンには必ずオモロい「裏」がある。<続く>


名作・迷作探訪<洋画篇> 『ジョーズ』(4)

◆ コメディ系の兄同様、スマートな手腕で『マネキン』を作った弟

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 で、触れときたいのはこのカールの弟マイケル・ゴットリーブなんだ。この人は、内気な青年が時々、人間の女に変わるマネキンに恋をする、(本当の)胸キュン・ファンタジー『マネキン』(1987・米)の監督(&脚本)なんだ。この『マネキン』が好きだった。スターシップの主題歌「愛は止まらない」は当時大ヒットしたけれど、『マネキン』はどうだったのかな。主役はアンドリュー・マッカーシー、永遠の優男だよ。彼って今ごろ何してる?

アンドリュー・マッカーシー
▲ アンドリュー・マッカーシー 〔1962― 〕 80年代から90年代にかけて、このマッカーシーとかジェームズ・スペイダー、マシュー・ブロデリック、カイル・マクラクランなどナイーブまたはクールな若手がいっぱい出たけど、最終的に残ったのは、その中でさほど目立ってなかったロバート・ダウニーJr.。新世代スターのハリウッドでの盛衰ほど読めないものはない。出典:HMV

 とかくヌードのマネキンに話しかけたり抱きついたりして、見ようによってはかなり危ない青年をピュアに見せていたのは、彼のどこ見てンのか分からない、ちょっと焦点が合ってないような瞳だった。デパートのショーウィンドウのデザイナー(飾り付け係)って職業もユニークだったな、えー、そんなのが仕事になるのか、って。


▲ ジェファーソン・エアプレインからジェファーソン・スターシップになり、さらに分離してスターシップとなってのヒット曲「愛は止まらない:Nothing's Gonna Stop Us Now」。ジェファーソン・スターシップは1960~70年代はフォークロックまたはサイケデリックな曲調だったが、デーハーな1980年代になると一気に売れセンのポップロックに変わり、「シスコはロックシティ:We Built This City」が大ヒット。私は「セーラ:Sara」が好き。

 マイケル・ゴットリーブはこの後、2、3本監督したが、6年前の2014年、交通事故でこの世を去った。ネットニュースでそれを知った時、とても悲しかった。バイクを運転中、前の車を追い越そうとして前に出たら、その車も同じ側に動いて追突。路上に投げ出されて頭部を打ち、40分後には亡くなっていた、という。
 兄のカールは82歳でまだ健在だっていうのに、7歳下のマイケルはもういない。1990年末から2000年にかけて流行った『セックス・イン・ザ・シティ』(世の女性陣は、男の猥談には眉をひそめるくせに、男以上にエゲつないエロ話やプレイに興じる中年女達の肉食ドラマには夢中になる。で、コレの何が面白いンだい?)ではしょうもないエロ年増に堕していたキム・キャトラルだが、そんな彼女を見事にフレッシュでセクシー、そしてキュートで可愛いミューズに創り上げたゴットリーブの演出はもっと評価されてよかった。 <続く>


▲ 『マネキン』 日本版予告篇




名作・迷作探訪<洋画篇> 『ジョーズ』(3)

◆ ゴットリーブとベンチリーの果てしないシナリオ・バトル

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 勿体つけるわけじゃないが、一番印象に残ったシーン紹介の前にカール・ゴットリーブについてもうちょっと語りたいんだ。この人は当時、テレビのバラエティとかコメディ系の映画でブレーンをやってた人で、出演もよくしていてロバート・アルトマン監督の『M★A★S★H』(1970・米)や『ジョーズ』シリーズも『―2』『―3』と出て、ジョン・ランディス監督の『眠れぬ夜のために』(1984・米)『天国から落ちた男』(1979・米、原案・脚本も担当)などに顔を出し、リンゴ・スター主演の『おかしなおかしな石器人』(1981・米)を監督もしている。

 とはいえ、『ジョーズ』の最終脚本は撮影が開始されても完成せず、ピーター・ベンチリーとカール・ゴットリーブの共同作業(執筆)は思うようにいかなかったようだ。それは原作者のベンチリーが娯楽化に抵抗したためのようで、例えばエンディングなど原作と映画は決定的に違うらしい。クイントの死に方もスピルバーグがモンスター映画の定石を踏まえた末路に変え、ラストの展開(ナイショ)もああいう感じに見事に<映画的>にもっていったわけだが、完成試写であのオチを観た時、ベンチリーは怒り狂ったという。

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 それに加えて、巨大なホオジロサメの模型が完成しないのでサメ抜きのシーンを先撮りする等の必要から、その日に撮影する部分を朝書いてスタッフに渡す、という面倒なやり方をせざるを得えなかった。日本映画(マキノ雅弘監督の現場では、の話だが)でいうところの〝号外〟を毎日出しては撮り進めていったのだ。こうした、その日撮る場面を書いて毎日渡すやり方は、かの『風と共に去りぬ』(1939・米 ビクター・フレミング監督)がそうであり、一番有名なのは〝ボギー〟ハンフリー・ボガートのダンディズムの精華『カサブランカ』(1942・米 マイケル・カーティス監督)での撮影(裏話)にとどめを刺す。 

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 こんな継ぎ接ぎだらけの台本で、そしてそんな余裕のない撮影でいいものが出来るのか―と思われるかも知れないが、『風と共に去りぬ』も『カサブランカ』もその年のアカデミー賞で作品賞を得、なんと脚色賞も受賞している!

 映画界に時折起こる、訳の分からない奇跡とはこれである。どんなトラブルがあっても映画は完成するし、トラブルが起こる映画こそ名作になる(事もあるのだ)。<続く>


▲ 『カサブランカ』のあまりにも有名なラストシーン



名作・迷作探訪<洋画篇> 『ジョーズ』(2)

◆ 重い原作を娯楽作に改変したカール・ゴットリーブ

ピーター・ベンチリー
▲ ピーター・ベンチリー 〔1940―2006〕 祖父がユーモア作家のロバート・ベンチリー、父のナサニエルも作家という作家一家の三代目。ジャクリーン・ビセットの『ザ・ディープ』(1977)やマイケル・ケインの『アイランド』(1980)など『ジョーズ』同様、海を舞台にした作品が多い。祖父のロバートは、ルネ・クレール監督の『奥様は魔女』やジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『肉体と幻想』、『アラスカ珍道中』など映画にしばしば顔を出した、出好きの憎めないオッサン。この写真を見ると孫もそんな感じだネ(ピーターはTVリポーター役で『ジョーズ』に登場)。
出典:壁紙.com

 ベストセラーになったピーター・ベンチリーの原作は読んでないが、原作と映画はかなり違ってるとは公開当時からよく言われていた。
 原作ではサメ・パニックよりも政略的な思惑が絡んだアミティのドロドロした人間関係が重点的に描かれているらしく、ブロディ署長の妻エレン(ロレイン・ゲイリー)は映画では良き妻であり、市長の言に従ったがために第二の犠牲者(少年)を出して苦悩する夫を支えるのだが、原作では不倫に走ったりするという。

 シナリオは当初、原作者のベンチリーが脚色したのだが、当然のごとく、原作のドロドロ感を引きずっているから監督を含め関係者には不評だった。そこでスピルバーグ監督は当時コメディ番組の構成、ライターをしていた、友人のカール・ゴットリーブに改変を依頼。するとゴットリーブ(市長の右腕、メドウズ役で出演)は人食いザメの出現により暴き出される醜悪な群像ドラマを、若きテクニシャンのスピルバーグが目指すニュータイプのホラー(モンスター)映画にアレンジし直した。

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 この改変(改良)作業には、クレジットに名は出ていないが、ゴットリーブが参加する前に、黒人差別を描いた社会派映画『ボクサー』(1970・米 マーティン・リット監督。ジェームズ・アール・ジョーンズの代表作)の脚本を書いた劇作家のハワード・サックラーが噛んでいて、これが『ジョーズ』のドラマに深みをもたらす要因となっている(関わったのが短期間なので、クレジットに名前を出すのを辞退したとか)。

 このサックラーがシナリオに書き込んだちょっとしたワンシーンが、実は私がこの作品を初めて観た時に一番心に残った場面なのである。

 それはどのシーンか・・・それは後でアップする『ジョーズ』(5)で。<続く>


名作・迷作探訪<洋画篇> 『ジョーズ』(1)

◆ コロナ禍の今、観るに最適なのは『ジョーズ』かも知れない

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 なるべく他者と接触しない方がよい、というコロナ蔓延の今だから余計にPCやスマホ、TVで楽しめる動画配信が勢いづいてる気がするが、逆にツタヤゲオなどレンタル店では使用済みのレンタル品とか買取品のDVDが安く売りに出ていて、時折、購入してしまう。劇場公開25周年を記念してリリースされた『ジョーズ』(1975・米 スティーブン・スピルバーグ監督)コレクターズ・エディションもそのひとつで、コレは現在、NBCユニバーサル・エンターテイメントが出してる4Kのブルーレイ版が最新イシューのようで、私が持ってるのはソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが2000年に出したものだが、特典映像にいろいろ入っててたっぷり楽しめた。

 そのマニアックな特典映像の話をする前にまずは本編の『ジョーズ』だが、10年くらい前にCSチャンネルで観たのが最後だと思うけど、この時一緒にオンエアされた公開35年目のスペシャル特番『ジョーズ:インサイド・ストーリー』(2010)も録画した。
 しかし2020年はこの特番より10年も後だから、映画『ジョーズ』の公開からとなると45年もの年月が経過したって事になる。あの ♪ ダーダン、ダーダン、ダダダダダダダダ・・・♪ というテーマ曲が明けても暮れてもTVやラジオから流れ、若い女が何かに引っ張られるように夜の海に沈んでいくシーンを死ぬほどCMで観ていたのが、ついこの間のように思えるが、あれはもうほぼ半世紀も前なんだ・・・そう思うと、サメより時間の経過の方が恐ろしい気がする。


▲ 『ジョーズ』のテーマ 作曲:ジョン・ウィリアムズ

 『ジョーズ』はいわば人食いザメをモンスターのように扱ったホラー映画ともパニック映画とも冒険映画ともいえるもので、コロナとは何の関係もないと思って観ていたら、いやいや、本当は今一番観るべき映画かも、と思い至った。ここに出てくる政治家(市長)やその取り巻きの危機管理の姿勢が、今回のコロナで見られたような「愚」と一緒なのである。

 本格的なサマーシーズンに入るアミティ(架空の港町、ロケ地はアメリカ東海岸、ロングアイランドの上方にあるマーサズビニヤード島)でサメの犠牲者が出る。署長のブロディ(ロイ・シャイダー)ボーン市長(マーレー・ハミルトン)に事件の公表と海岸閉鎖を要請するが、夏の観光が島の主な収入源なので市長はそれを拒否。この市長が島の有力者を引き連れてブロディを取り囲み、「大げさにするなよ」と事を握りつぶそうと動くあたりの、目先の利益しか考えない、いかにも小役人的な画策が見ていて歯がゆいのだが、これはまさに経済優先で自粛解除をし、今、南部のフロリダ州やテキサス州あたりでコロナの再流行を誘発させてしまったトランプ大統領そのまんまじゃないか。アメリカだけでなくブラジルの大統領なども先々の展開が読めない、またはそれが分かっていても私欲(大統領選挙での再選)を優先する「愚」な政治家であり、これらのデマゴーグがいかに市民を振り回し、デメリットしか生まないかを『ジョーズ』はよく描いている。<続く>


06/21のツイートまとめ

JAZZyaro

札幌月寒 八紘学園農場の直販場 #hokkaidolove https://t.co/EQwIU4QunZ
06-21 15:05

札幌月寒 八紘学園農場#hokkaidolove https://t.co/r14W7mJKNo
06-21 15:04

すくりーんエッセイ 映画体験の原点―劇場(こや)の思い出(6 最終回)

◆ 改めて―さっぽろテレビ塔に行ってみよう!

 HL 横長

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 エッフェル塔はパリの映画少年トリュフォーの原点です。

 と映画評論家の山田宏一さんは『フランソワ・トリュフォーの映画誌』(平凡社)第一章「エッフェル塔」で書いていて、いかにトリュフォーが自作映画にエッフェル塔を出し、また塔のおもちゃや図面などを小道具や飾りに使って、常にスクリーンに登場させてきたかを指摘されている。「わたしにとってパリはエッフェル塔なのです」とのトリュフォーの言葉も添えて。

豊平川
▲豊平川 2014年春撮影

 そうなると、さっぽろテレビ塔での映画体験が原点である私などは、差し詰め「さっぽろテレビ塔は札幌の映画少年・高村英次の原点なのです」ということになろうが、そうはならない。私にとって札幌は市中心を南北に流れる豊平川であり、時計台であり、北大を含めた市内にあるポプラ並木だ。つい2年前まで住んでいた豊平区月寒にある八紘学園農場のポプラ並木やサイロなんかが札幌(=北海道)ってことになる。

八紘学園農場
▲八紘学園農場 2015年7月10日撮影

 ただこの山田さんの指摘を知ってから、さっぽろテレビ塔に対する認識がちょっと変わったのは事実だ。それまでは時間を知りたいときにテレビ塔(の時計)を仰いだものだが(今もほぼそうだが)、トリュフォーがエッフェル塔を好きで常に映画に出していた事を知ってからは、ならば「さっぽろテレビ塔」を印象的なランドマークとして利用する映画もあっていいんじゃないか、と思うようになった。
 ただ、昔は街の中心部ならどこからでもテレビ塔が望めたが、今は周囲に超高層のマンションやビルが乱立して、大通公園まで出ないとテレビ塔が見えないなんて状態である。

さっぽろテレビ塔と大通公園
▲ さっぽろテレビ塔と大通公園  2019年5月13日撮影

 とはいえ、大通公園の突端にあって、公園の始点を天に向かって指し示しているのような「さっぽろテレビ塔」はさほど大きくはないが、やはり札幌のシンボルである。ずっと以前、親が上京した折に東京タワーに上ったが、東京タワーの方が雄大で高さも高く、展望台から観る景色はやっぱり壮観だった。さっぽろテレビ塔も四方は見渡せるが、やはり景観としていいのは大通公園を見渡す西側のパノラマで、その先に大倉山のジャンプ台や遙か向こうの手稲山が見える。夜になると大倉山のジャンプ台に照明が着き、公園の奥が三角形の角になるのだが、そこにジャンプ台の灯がポッと浮き出る。その様がクリスマスツリーみたいに絵になってロマンチックだから、クリスマスの時期なんか、いやクリスマスでなくてもテレビ塔の展望台は人気のデートコースということになっている。

 コロナ自粛が解除されて映画館も入場OKになったし、テレビ塔も同じ。久しぶりに行ってみるのも〝わるくないだろう〟(by ぺこぱ)。<一応の完>

PS 中学・高校時代に観に行った劇場の「札幌日劇」「スガイビル(ディノスシネマ)」「狸小路」篇はまたいつか。

 HL

  **************

『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、『西鶴一代女』『雨月物語』等の名作を放った溝口健二の人生を、伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などライバル監督やスタッフとの確執とともに描いた『ラストシーンの余韻』、紙の書籍で発売!

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高村 英次

Author:高村 英次
拙著『ラストシーンの余韻』は、日本映画界の巨匠・溝口健二監督の評伝。この電子書籍版はアマゾン Kindleストア 及び 楽天ブックスから購入可能。紙の書籍版は製本直送.comより発売中。各コラムの末尾にある発売告知バナーから販売サイトに遷移、またはポップアップ画面が出ますのでそこで購入して下さい。

< プロフィール >
血液型:A型
趣味:サイクリング、クッキング、デジカメ撮影
好きな場所:豊平川、中島公園、北海道神宮、北大、八紘学園農場
好物:コーヒー、ソフトクリーム、ジンギスカン、スープカレー、麺類、寿司
好きな店:MORIHIKO.STAY&COFFEE(ホテル・ポットマム)、喜輪、一文字伽哩店、Beyond Age北22条店、カレーのチャンピオン、綱取物語、斗香庵、文太郎、恵比寿商店、林、風来堂、おっぺしゃん、三平、山家、一鶴、チロリン村、パールモンドール、ポルトルージュ、サンドリア

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