新作プレビュー  『 LA LA LAND 』

◆ Rhythms & Dancin' - 試写会で踊り出した淀川さん <前編>

汚れた顔の天使・表紙
▲『汚れた顔の天使 ジェームズ・キャグニー自伝』 ジェームズ・キャグニー著
 手元にある1981年版には「訳者・山田宏一」とだけあるが、映画評論家の宇田川幸洋さんも翻訳に協力していて表紙にお二人の名が載った版もある。また出版社も「出帆社」とあるものが多いが、手元にあるのは「出帆新社」。同書は1990年に早川書房から『ジェームズ・キャグニー自伝』として再発売されている。
 書名の〝汚れた顔の天使〟は言うまでもなく、1938年のキャグニーの名作(マイケル・カーティス監督)から(原書のタイトルは〝CAGNEY BY CAGNEY〟)。


       来週に迫ったアカデミー賞授賞式にちなんで、オスカーがらみの話を一席。

 ギャング映画で鳴らした往年のハリウッドスター、ジェームズ・キャグニーはもともと街角で芸を見せるボードビル(大道芸)出身で、そのボードビルから舞台に、舞台から映画に進出し、ワル役のみならず、唄って踊れる多彩なエンターテイナーとして活躍、広く映画ファンに愛された。当然、彼はアカデミー賞をもらっていて、1942年の『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』で主演男優賞に輝いている。

 「ジェームズ・キャグニー自伝」の副題を持つ彼のバイオグラフィー『汚れた顔の天使』(ジェームズ・キャグニー著、山田宏一・訳、出帆新社)にはそのあたりの事が書かれているのだが、ここで紹介したいのはキャグニーの話ではない。この本の後書きである。翻訳者の映画評論家・山田宏一さんが書いている後書き「ダーティ・キャグニー-後記に代えて」を初めて読んだ時、そこに書かかれていた〝伝説〟に思わず胸が高鳴った。

 『ワーナー映画五十年史/映画が私たちを作った』〔★1〕 という、WB(ワーナ-・ブラザース)の社史のような未公開のフィルム・アンソロジーがあって、そのささやかな試写会が行われたとき、『ヤンキー・ドゥードル・ダンディー』のジェームズ・キャグニーが見事なタップ・ダンスを披露するシーンを見て、感極まった淀川長治さんが、思わず試写会の椅子から立ち上がって、いっしょに踊り出した、という伝説的なエピソードがある。
 「ほんとうですか?」と淀川さんにお会いしたときにたずねたところ、
 「大げさですよ、そんな。踊り出したなんて? ほんのちょっとですよ」
 とのお答えで、このはげしく完璧な〝同化〟を否定しはしなかった。
(『汚れた顔の天使 ジェームズ・キャグニー自伝』ジェームズ・キャグニー著、山田宏一・訳、出帆新社)
                                     ※〔〕内、ジャズ野郎註。



 マスコミ試写会というのは、ベテラン映画評論家の怖いセンセイや大手新聞社のウルサ型の記者さん、業界のお偉方が集まる厳粛な、ちょっとナーバスな場所である。そんなド緊張ものの所で、映画に感化されて〝踊り出した〟淀川さんを私は一も二もなく尊敬する。

 映画を観ていて、感極まる瞬間というのはいくらでもある。
 まして『ヤンキー~』はミュージカルだ。ミュージカルには唄って踊りたくなるような、ハイ・アンド・ハイな高揚感に突き上げられる場面が付きもの。歌唱シーンやダンスシーンの間はそんな、肌が総毛立つというか粟立つというか、頭の芯がジーンとする、胸ドキドキの、限りなくトランスめいた状態にはなるから、我慢できなくなって踊り出しちゃうのも判るけど、お堅いセンセイ方ばかりのマスコミ試写会ではねー。上映中、席を立つのだって気が引ける。

    なのに淀川さんは踊ったってンだから! 凄いよね。 <続く>


        『 LA LA LAND 』 公式HP : http://gaga.ne.jp/lalaland/



https://youtu.be/lV5XmoWC8Mo

 ■ 2月24日より東京・TOHOシネマズ日本橋、札幌シネマ・フロンティア、
            ユナイテッド・シネマ札幌ほかで全国ロードショー 配給:GAGA ■



★1 『ワーナー映画五十年史/映画が私たちを作った』 は1973年製作。ウエブサイト「KINENOTE」(http://www.kinenote.com/main/public/cinema/detail.aspx?cinema_id=73938)の解説によれば、

「 ワーナー・ブラザース映画創立50周年を記念して、その歴史を約100本にも及ぶ名作のモンタージュで構成したドキュメンタリー。1973年10月3日、東京・有楽町 朝日講堂で行われた「キネマ旬報東京ご愛読者特別試写会」にて上映。(以後、福岡、大阪、高知などで上映)」

 と言うことで淀川さんが参加したのはおそらく東京の朝日講堂だったろうから、〝踊り出した〟とすれば割と大きな会場で、という事になる。映画会社の狭い試写室ではないようです。

                   *****

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     かなり遅ればせではありますが、2017年、今年もよろしくお願いします。


     本年最初のブログ記事は、私の本のご紹介から--。

 昨年より当ブログで電子書籍での販売を告知してきた『ラストシーンの余韻』が、このほど紙の本となって出版されることとなりました。とはいっても、自費出版での発売で、要は自腹で出したわけですが、今はいい時代で、自費出版といってもほとんど制作費がかかりません。それになんと1冊から出せるのです。
 かつて、大いなる野心を抱いたライター、小説家諸氏が高額な印刷代を払って大量の部数を発行し、ほとんど売れずに自宅に抱え込み、その本の重みで畳が抜けた、なんて逸話を耳にしましたが、そんな悲惨な話は21世紀にはないのです。
 「あの人に送りたいから1冊注文」てな具合にその本の値段(製本費+送料)にのみお金がかかり、送料込みですからアドレス(お届け先の住所と電話番号)を当該サイトに入力すれば、印刷して送りたい人のところに2、3日後に届けてくれる(だから在庫を抱え込むなんて事はない)。

 製本費(紙の代金+印刷費)は、本のページ数にもよりますが、拙著程度の350ページくらいで900円強(!)。

 詳しく知りたい人は、私が利用した以下のサイトへどーぞ!


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 というわけで、『ラストシーンの余韻』もご注文をいただければ、この製本直送.comさんから直接、アナタのお手元に届く、というわけ。

 自費出版だから「どーせ、出来映えは大した事ねぇーんだろう!」とか「紙も安っぽくて、文字の並びも雑で、誤植も多くてヨォ」なんて意地悪な、猜疑心の塊みたいな方もいると思いますが、出来映えは書店で発売している本とほとんど変わりません。
 ひと言でいうと、驚くほどリッチな感じに仕上がってます(とはいえ、それは制作者のセンス、つまり紙の選択や表紙の作り方にもよりますが・・・)。

 なので、電子書籍は読みにくい、利用しにくいという方、手元にブツを持ってページをめくりながら読みたいという人には、紙の書籍の方が絶対にお薦めです。電子書籍にはない、紙ならではの特典として溝口健二監督の肖像(顔写真)を入れております(この写真、使用料が結構かかって泣きました・・・トホホホ)。

 ネックはやはり値段ですか。電子書籍が900円強(アマゾンKindleでは現在916円、楽天ブックスでは900円。いずれも税込)のところ、紙はその2倍以上の2100円と少々お高い。手元にとって表紙の光沢や本の厚さ(346ページ)を確認していただくと、そう高いとは思われないハズですが、こればっかは購入する人の感じ方次第ですから。なんとも言えません。

 あと肝心の中身ですが、これは昨年から各コラムの記事下に簡単に内容紹介をしているので説明の要もないと思いますが、溝口健二という往年の日本映画の大監督の笑えて泣けるオール・ザット・ジャズ(あれやこれや)を網羅しております。ただ溝口監督のみならず、同時代の巨匠達やスタッフ、俳優などをリンクさせた、一大面白物語になっていて、他の溝口本とはひと味違う、と自負しております。

 とにかく、ジャズ野郎こと映画ライター・高村英次が6年の歳月を費やした、畢生の一冊。是非、ご高覧いただけますよう、よろしく!。

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※価格は税込み+送料込みで2100円ですが、選ぶ料金の支払い方法(コンビニ決済など)によっては、別途・手数料がかかります。なのでクレジット決済(各種クレジットカード利用可)にするか、楽天会員になってその会員IDで決済するのがベターです。楽天IDでの決済は、楽天加入の際に義務づけられる、売買代金の決済用クレジット口座からの引き落としになり、(振込)手数料はかかりません。2100円で手に入ります。もちろん、楽天会員への加入は無料ですし、年会費もかかりません、その上ポイントも溜まって、一石二鳥。
 また購入手続き以降の処理に関しては、製本直送.comに作業と責務が移ります。なので、「本が届かない」や「製本された本に落丁がある」などのトラブルが、万が一あった場合には製本直送.comの方へお問い合わせ下さい。

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12/20のツイートまとめ

JAZZyaro

ドラゴンズをめちゃくちゃにした男。     中日・落合GM退任へ「全うした」 - BIGLOBEニュース https://t.co/XE1z3mwk5F
12-20 15:02

原点回帰って言ったって・・・新庄、ひちょり、陽だぜ「1」は。背負えるのか?!  斎藤佑樹 背番号「1」で出直し - BIGLOBEニュース https://t.co/bNoggT4g5i
12-20 12:56

12/12のツイートまとめ

JAZZyaro

やったこともやった事だが、年末年始、NONSTYLEの漫才見れないじゃないか! そっちが余計頭来る。 お笑いコンビNON STYLE 井上裕介さんが当て逃げ | NHKニュース https://t.co/tCIJqEiRtU
12-12 21:20

ある痛切 - 小津安二郎にドヤされた男 -<最終回>

◆ 松竹大船調の末裔 (6)

松竹映画のタイトルマーク
▲ 昭和30~50年代頃の松竹映画のオープニングロゴ
出典:「こじブロ」http://blog.livedoor.jp/kojitetsu/archives/50975928.html


 オンボロと言っては言い過ぎかもしれないが、昭和59年当時の〝年老いた〟大船撮影所を見て幻滅した--そんな痛い記憶があるにも関わらず、私はすでになくなった撮影所、松竹大船撮影所の、そのスタイル(カラー)ともいえる大船調を、その幻影を、死ぬまで抱き続ける末裔なのだと思っているのである。こんな笑止なことはない。

 大船調の末裔だ--などと言えば、今回のコラムでその行いや人格にケチをつけてきた(口の悪い)生駒千里あたりに、思いっきり嘲ったドヤ顔をされて、こう言われるだろう。

「オマエが?! 撮影所で働いたこともないオマエがかッ?! フンッ、笑わせるね。何を寝ぼけたことを言ってるんだ!」

 またコバケイ(小林桂三郎)さんにも

「スタジオの匂いを嗅いだこともないキミが、なんて世迷いごとを言うンだい!」

 と、言われるに違いない。そうですよね、まったくその通りです。私は日芸のホコリっぽいスタジオしか知りません。

 この松竹出身のお二人から猛烈な反発と嘲笑を受けるのは、火を見るよりも明らかです。でもまあ、本人がそう思ってンだからしょうがない。


 かつて、撮影所がフル回転していた時代、そこでは前にも書いたように、監督を中心に人脈が作られ人が育った。ステージのホコリを吸い、所内を走りまわって下働きの業務をこなすうちに、いつの間にかその撮影所の手法やスタイル、描く内容、タッチ等が似ていったり、継承されていった。それは、映画作りの中心が撮影所(映画会社)だった頃の、スタジオシステムの美点であったし、レガシー(遺産)でもあった。

 今や、そんなレガシーは消滅して、どこにもないのかもしれない。

 でも、そこで育ち薫陶をうけた人達が撮影所外で講義や講演をしたり、回顧録に類する手記や体験記を出版して、そこでの逸話や物語が流布されていく。それがかすかな微香となって映画ファンや私のような映画を志した学生に移っていった。その微香はホンモノの撮影所やそこでの仕事を知らぬ者にも、確実に〝ある視点〟や〝観点〟(=リファレンス)を与えるほど強烈なドラッグであった。

 私はそのドラッグに冒されてしまったのだろう。
 だから、馬鹿にされ、批判され、笑われることを恐れず、唾されることを覚悟の上で、こう言わなければならない。


         私は松竹大船調の最後の末裔なのだと--。    <完>


小津組の野外ロケ
▲小津組のロケ・スナップ。ロケバスに「OFUNA STUSIO」の文字。中央下、キャメラ左の帽子の紳士が
小津監督。  出典:松竹「小津安二郎110年」 http://www.shochiku.co.jp/ozu/chronology.html
© Shochiku Co.,Ltd. All Rights Reserved.


▲松竹大船撮影所開設50周年記念作品『キネマの天地』(昭和61=1986年)
監督:山田洋次 出典:Youtube  https://youtu.be/W4D1j6LBLPA 


※出典および参考文献
● 『月刊ユリイカ 臨時増刊 総特集 監督・川島雄三 1989年3月(vol.21-4)』 青土社
● 『人間ぱあてぃ』 高橋治、講談社文庫
● 『絢爛たる影絵 小津安二郎』 高橋治、岩波現代文庫
● 『おそめ 伝説の銀座クラブ』 石井妙子、新潮文庫
● 『任侠映画史』 俊藤浩滋、山根貞男、講談社
● 『溝口健二というおのこ』 津村秀夫、芳賀書房
● 『小津安二郎に憑かれた男 美術監督・下河原友雄の生と死』 永井健児、フィルムアート社
● 『小津安二郎物語』 厚田雄春・蓮見重彦、筑摩書房
● 『小津安二郎全発言(1933~1945)』 田中真澄編、泰流社
● 『小津安二郎 戦後語録集成 昭和21(一九四六)年-昭和38(一九六三)年』 田中真澄編、フィルムアート社
● 『松竹大船撮影所前松尾食堂』 山本若菜、中央公論社
● 『松竹大船撮影所覚え書き 小津安二郎監督との日々』 山内静夫、かまくら春秋社
● 『巨匠とチンピラ 小津安二郎との日々』 三上真一郎、文藝春秋
● 『西河克巳映画修業』 西河克巳、権藤晋、ワイズ出版
● 『人物・松竹映画史 蒲田の時代』 升本喜年、平凡社
● 『松竹映画の栄光と崩壊 大船の時代』 升本喜年、平凡社
● 『人は大切なことも忘れてしまうから-松竹大船撮影所物語』 山田太一・斎藤正夫・田中康義・宮川昭司・吉田剛・渡辺浩、マガジンハウス
● 『日本映画傳 映画製作者の記録』 城戸四郎、文藝春秋新社
● 『日本映画を創った男 城戸四郎伝』 小林久三、新人物往来社
● 『雨の日の動物園』 小林久三、キネマ旬報社
● 『映画は狂気の旅である 私の履歴書』 今村昌平、日本経済新聞社
● 『楽天楽観 映画監督佐々木康』 佐々木康・著、佐々木真・佐々木康子監修、円尾敏郎・横山幸則・編集、ワイズ出版
● 『映像を彫る 改訂版 撮影監督 宮川一夫の世界』 渡辺浩、発行・パンドラ、発売・東京書館
● 『映画女優 若尾文子』 四方田犬彦・斉藤綾子/編著、みすず書房
● 『シネマの裏窓 ある活動屋の思い出ばなし』 小川正、恒文社(現在この本は「マッカーサーとチャンバラ ある活動屋の思い出ばなし」に書名が変更)
● 『日本映画監督全集』 キネマ旬報社

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『 ラストシーンの余韻 』 発売中!
映画ライター・高村英次、初の書き下ろし長編 『 ラストシーンの余韻 酒乱と失態、女難と頑迷、監督・溝口健二の狂おしき人生 』

ジャズ野郎(高村英次)

Author:ジャズ野郎(高村英次)
アマゾン Kindleストア 及び 楽天ブックスにて電子書籍で発売中。2017年1月21日から製本直送.comより紙の書籍でも発売開始! 

< プロフィール >
血液型:A型
趣味:サイクリング&ウォーキング&クッキング、デジカメでの写真・動画撮影
好きな場所:札幌ドーム、中島公園、中央図書館、豊平川
好物:コーヒー、ジンギスカン、スープカレー、ラーメン、「ロイズ」のソフトクリーム、「シャトレーゼ」のアイスバー・ピュルテ(塩キャラメル味)、びっくりドンキー、はま寿司、セイコーマート

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