すくり~んエッセイ  名画座という名のタイムマシン

◆池袋・文芸坐までのロング・アンド・ワインディング・ロード <その1>

 今、池袋の東口っていえばビックカメラヤマダ電機 だが、昔、あのあたりには中小の映画館があった。

 大学が江古田にあったから、観に行く映画館(こや)で一番多かったのは池袋界隈の劇場だったけど、西武は「東口」、東武は「西口」にあったから、だからコレを〝東西・出口逆〟と覚えていて、(立教大学のある)西口には確かロマンポルノをやってた「池袋にっかつ」(漢字の〝日活〟じゃなく、ひらがなの)があった。ジャズ野郎がそこに入ったのは、その「にっかつ」が〝最後のロマンポルノ〟と銘打った『ラスト・キャバレー』(昭和63=1988年、金子修介監督)の時だったか(大学出た後ですが)。
 いや、『ラスト・キャバレー』って観たかな? 観た記憶があるような、ないような(根岸吉太郎監督の『キャバレー日記』 〔昭和57=1982年〕 は見てるが)・・・もし観てなかったら、「池袋にっかつ」には入った事ないな(因みにロマンポルノをやめた「にっかつ」はロッポニカをスタートさせるのだが、裕次郎時代はおろかポルノ時代にもあった〝昔日のブーム〟は蘇らず終了)。

 この西口には90年代に入ってシネマ・ロサって劇場が出来て、そのビル(劇場)の前が10代の少女(不良ギャルさん達)の溜まり場になって風紀上どうだとかって事で話題になったけど、その頃にはもう池袋~練馬には住んでいなかったので、よくは知らない。

 とにかく学生時代(80年代)よく行ったのは、同じ池袋でも 「池袋・文芸坐」 (現・新文芸坐) のある東口だった。先にも書いたように、今、ビックカメラがデ~ンとある辺りにいくつか劇場があったんだけど、まず西武線の東口を出て左に行くと、最初に出くわすのが 「池袋東急」 じゃなかったかな。ココでジャズめは大島渚の『戦メリ(戦場のメリークリスマス)』 (昭和58=1983年)を観ましたよ。その次が大勝館だったか、日勝館だったか、なんかそんな名前の松竹映画をかけていた劇場、洋ピン(アメリカやヨーロッパのピンク映画。ピンク映画ってのはポルノ映画の事・・・て解説も、今はしないと判らないでしょうね)をかけてた地下の小さな映画館がいくつかあった。

 そしてウジャウジャとキャバレー、ピンサロ(ピンクサロン。ジャズめは入ったことないからキャバレーとピンサロの違いは分かりません。どちらもフーゾクなんでしょう)、またこの当時流行っていた覗き部屋の類がワンサとあって、そこがマジで嫌だった。
 店の前で捻り鉢巻きした呼び込みのニイちゃん(客引き、ですな)がいつもワンワンやってる。ダミ声の大声を張り上げて、道行くサラリーマンに声を掛ける。声だけじゃない、通行人の腕を掴んで引っ張り込んだり、肩に手を回して引き寄せたり、とやりたい放題だった。

 田舎から東京に出て来たばかりの、二十歳前のいたいけなジャズ野郎にしてみれば、もう、いかがわしいその店先を通るだけでも嫌なのに、どうしたわけか、必ず呼び込みのニイちゃんに捕まえられて、店の入口まで強引に持って行かれそうになる。

 ニイちゃん 「オッ、兄さん、一人?」(と近寄ってきて腕を引っ張る)
 ジャズ野郎 「アッ、ヤメて下さい!」 
 ニイちゃん 「遊んでいこーよぉー、お兄さ~ん」(と馴れ馴れしい) 
 ジャズ野郎 「イヤ、いいです。入る気ないです」
 ニイちゃん 「そんな事言わないでサァ~」
         とこう言いざま、決まってニイちゃん達は、チョンチョンと
         下半身を触ってくる。
 ジャズ野郎 「アッ、金ないッスからッ、イーです!」

なんて言って掴まれた腕や肩をふりほどいて脱兎の如く駆け出し、ようやくお目当ての「文芸坐」にたどり着く。

 大体、毎回こんなふうでありました。           <続く>


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◆ 池袋・文芸坐までの ロング・アンド・ワインディング・ロード  <その2>

 池袋の「文芸坐」ってのは今もある、名画座の老舗も老舗(現在は新文芸坐)。

 かつては「人生坐」って館名で、大島渚監督が松竹を退社するキッカケとなった曰くの『日本の夜と霧』(昭和35=1960年)を敢然と上映した映画館ってことで有名で(って事は後で知ったけど。※1)、今村昌平監督の鬼ような傑作『復讐するは我にあり』(昭和54=1979年)で殺人犯の緒形拳が愛人の小川真由美と戦争映画 『ヨーロッパの解放』 (第三部「大包囲撃滅作戦」、1971)を観に行くシーンで、この文芸坐のエントランスがドーンと出てくる。入口の四角い枠に、アラン・ドロンやカトリーヌ・ドヌーブ、キャサリン・ロスやダスティン・ホフマンなどの顔写真ズラ~ッと張られた、いかにも〝シネマ~〟な感じのファサードが好きだった。

 ・・・で、ジャズ野郎は毎回、フーゾク店のしつこい客引きを振り切ってこの「文芸坐」の入り口に飛び込むような調子で・・・それがシンドかった。そのうち、「文芸坐」に行く時には、東口からストレートにソッチ方向に行くんじゃなくて、通りの向かいにある三越の側に渡ってそこから迂回(立ちそばの「富士そば」なんかがあった方)して、遠回りして「文芸坐」に行ったもの。

 とにかく、あの界隈の汚らしい、場末を絵に描いたようなキャバレー街、フーゾク街はイヤだったネ。映画は観たかったけど、あの中を突っ切っていくのは嫌だった。

 普通ならこんなふうに書いた後、

              「でも今はいい想い出デス!」

 なんて有り体に締めるもんだけど、とてもそんなふうには締められない。いい想い出なわきゃあないんだもん。新宿・歌舞伎町の中を突っ切ってミラノ座や東宝プラザに行くのも苦痛だったけど、あそこはまだ舗道が広いし、劇場に行くのに幾つかルートがある。池袋東口から文芸坐までは、あの細い、ゴミゴミした、ゲロの匂いが漂っているような中を行かなきゃいけない。

                でも、行きましたよ。映画観たかったからね。

黒澤明や今村昌平、川島雄三岡本喜八の映画に出会うために、嫌悪感に耐えて通り抜けた。


         そういう意味じゃ、やっぱり〝いい想い出〟なのかなあ・・・。       <続く>


※1 『日本の夜と霧』上映中止事件  大島渚が脚本・監督した、60年代の安保闘争をめぐる世情不安と学生運動の挫折を鮮やかに叩きつけた政治討論(告発)映画。元来、女性映画がウリのナンパな松竹では通るハズもないこんなヤバい企画を、大島監督とその一味はお堅い松竹映画の上層部( 城戸四郎 )をダマくらかして、当日、撮影する分のシークエンス(シナリオ)をその日その日〝号外(改変もしくは書き直したシナリオ)〟として俳優やスタッフに配ったり、ワンシーン・ワンカットの早撮りで素早く仕上げて、堂々全国公開(昭和35年10月9日)させるに至ったが、その上映4日目に日本社会党・浅沼委員長刺殺事件(同年10月12日)が発生すると、松竹は直ちに同作の上映を中止した。
 表向きの中止理由は「興行不振」だが、浅沼事件を誘発したとの批判を避けるためだった模様(一説にはさる方面から圧力が掛かったとか。最近のテレ朝「報道ステーション」の古賀氏降板騒動じゃあるまいし、そんな事あるわけないよね・・・ン?)。
 とにかくそんな中、人生坐はオクラにされた『日本の夜と霧』を上映し、マスコミや知識人の喝采を浴びたのでありました。


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◆ 第3 の文芸坐、ル・ピリエの想い出  

 当時、池袋・文芸坐ってのは、洋画の名作(全国公開のロードショーが終わった新作とか『ローマの休日』といった往年の名作)をかける地上(1階)の「文芸坐」と、日本映画をかける「文芸地下」(後に「文芸坐2」)とひとつの建物に2館あって、「文芸坐」と「文芸地下」とは入り口が別っこで離れていた。で、その真ん中に芝居をかける 「文芸坐ル・ピリエ」 ってのがあって、ココは小さくて狭い、たしかすり鉢型の劇場で、芝居を演る時はその(すり鉢の)底(のステージ)でやるんだろうけど、ココでも映画の上映があった。

 オーソン・ウェルズ 『市民ケーン』 (1941)を初めて観たのはココで、大学に行く前にココでソレを観て感激し、大学に講義を受けに行ったもののその感動が抑えきれず、ノコノコともう1度観に行った。つまり1日に同じ映画を2度観に行ったのだが、劇場に居続けして2度観る事はあったけど、1度出てまた入館して観たってのは『市民ケーン』だけ。その1度目か、2度目の時かは忘れたけど、スタッフ・クレジットの所で

            「編集 : ロバート・ワイズ マーク・ロブスン

の名前を発見した時には感激した。その事を知らなかったから。

            「エエッーーーッ?! オオオオーーーーッ!!!」てなもん。

 ロバート・ワイズ( 『ウエストサイド物語』 『サウンド・オブ・ミュージック』の監督) も
 マーク・ロブスン( 『チャンピオン』 の監督)
 も知らない人には何のコッチャの話でしょうけど。

 ル・ピリエでは マーロン・ブランド (初)監督・主演のカッタるい西部劇 『片目のジャック』 (1960)と スティーブ・マックィーン の復讐ウエスタン 『ネバダ・スミス』 (1966)も観たんだよね。『ネバダ・スミス』はTVで観てたけどノーカット版は初めてで、ダラダラと長ったらしくて、マックィーン・ファンだったけれどエラく退屈した記憶がある。いかにテレビで巧く切ってたか、ってことですよね。テレビ放映版ってのもバカに出来ない。

 でも、このル・ピリエで上映していた名作映画はきっと16㎜プリントだったと思う(確か貰ったプログラムにも16㎜って但し書きがあったような)。当時はビデオのレンタルが始ったばっかで、ビデオデッキなんか高額で、当然、ジャズめは持ってなかったから、こういう観たい過去作品を観れる機会は貴重だった。16㎜でもなんでも良かったんだ。

               *     *      *

 大学2年の年(昭和58=1983年12月5日)に、ハリウッドの男性派アクションの巨人、ロバート・アルドリッチ監督が亡くなった。その年末か翌年の1月か2月に「アルドリッチ追悼」と題して恵比寿の小さなホールで上映会があった。それも確か16㎜のプリントだったと思う。上映した団体は「捜索舎」(*1)といったから、きっと映画好きな人達だったと思うけど、上映されたアルドリッチ作品 『特攻大作戦』 (1967)を観ていたら、後半、いきなりラストに出てくると思われる襲撃シーンが始まった・・・・そう、フィルムを間違えてかけてしまってたんですよね。終わりの巻を、その前の巻と間違えてかけてしまった!
 ジャズ野郎はこの映画初めてだったけど、集まっていた面々は観ながら薄々、

         「コレ、ラストの巻じゃね? フィルム、間違えてね?」

って思ってた。案の定、映画が終わって室内が明るくなった時、「捜索舎」の人が「スミマセン、フィルムを掛け間違えました。一つ前から始めますので、よろしくお願いします。本当にスミマセン」
 と平身低頭、謝罪して、ラストの1つ前の巻から再度の上映が始まった。始まったけれども、その後のクライマックス、襲撃シーンをあらかた観てしまっていたので、ノレず、白けてしまった記憶がある。

 でも、こういう事は当時、よくあった。一流の名画座でだって、フィルムの掛け間違いなんか、さんざんあったからネー。謝って、再度上映してくれた「捜索舎」さんなんか、むしろ良心的な方です。

 ま、コレは文芸座ル・ピリエとは何の関係もない話ですが。同じ小さなホールの上映会だったから、思い出して書いてしまいました。 <続く>

*1 「捜索舎」 これも映画マニアには説明の要はないと思うけど、ジョン・フォード監督の名作ウエスタンに『捜索者』(1956)というのがあって、この団体名はきっとそれのモジリでしょう。映画好き、って事ですよね。


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
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◆ 文芸坐とて 極楽 <パラダイス> ではない ・・・  <その1>

      文芸坐リーフレット
      ▲ 文芸坐リーフレット。今手元に残っているのは、なぜか1984年
        (昭和59年)のものばかり。


 文芸坐もよく通ったのは、洋画をかける「文芸坐」よりも、邦画の旧作をかける「文芸地下」の方だった。劇場スタッフが「小津安二郎週間」とか「任侠映画特集」とか頭をひねって企画を立て、番組を組んで、それで

           「オ、今週は溝口健二か」とか
           「来週から鈴木清順特集なんだ」
           「次にやる川島雄三は全部観よう」

といった具合にチェックして、手帳にそのスケジュールを書き込んでセッセと観に通う。

 前にも号外コラムの 【人生で一番長~~くいたい場所 <その12>】 (2014年7月2日付) で紹介したけど、映画を観に文芸坐に行き、入口で半券を切ってもらう時、二つ折りの小さなリーフレット 「ぶんげいしねうぃーくりぃ」 をくれるのだが、そこに月間の予定と細かい週間の上映作品リストが載っていて、それを観て上映作品をチェックした。
 その裏には、確か週末のオールナイト 「文芸坐10時20分」 の特集上映の番組が書かれてあって、そのタイトルが洒落ていた。

       「 悪魔 <シネマ> が夜くる 」

 説明する必要はないと思うけど、これはマルセル・カルネ監督の名篇 『悪魔が夜来る』 (1942・仏)のモジリ。映画ファンはモジリ好きです。。。

悪魔が夜くる
▲ 「悪魔が夜くる」 は文芸坐オールナイトの名惹句。


 で、そのオールナイトの番組に〝仁義なき戦い〟シリーズがよ~くかかってた。何かっていうと『仁義なき戦い』5部作(昭和48~49年・東映)一挙上映じゃなかったかな。『新・仁義なき戦い』全3部(昭和49~51年・東映、以上、監督は深作欣二)と工藤栄一監督による『その後の仁義なき戦い』(昭和54=1979年・東映)もまとめて、とかいったプログラム。あと小林正樹監督の『人間の条件』全6部(昭和34~36年・にんじんくらぶ他)とか、山本薩夫監督の長~いシャシン--、『戦争と人間』3部作(昭和45~48年・日活)とか『華麗なる一族』(昭和49=1974年)、『金環蝕』(昭和50=1975年・大映)、『不毛地帯』(昭和51=1976年・芸苑社)--かね。記憶にないけど、市川崑の金田一シリーズ(昭和51~54年)なんかもやってたんじゃないかな。
 やってたんじゃないかな・・・なんて言ってるのは、私、文芸坐、文芸地下(の昼間)はよく通ったけど、ここのオールナイトに行った事がないんです。

           な~んか、おっ怖くて・・・。

 オールナイトのラインナップに、去年亡くなった(高倉)健さんの任侠物( 『昭和残侠伝』 『日本侠客伝』 の人気シリーズ)や藤純子の〝緋牡丹博徒〟シリーズなんかもあったと思うけど、こうしたヤクザ物に当時、エラい拒否感がありまして。で、そういうのを観に来る客ってのは、そういう方面の人が多いんじゃないかと。スジもんじゃなくても、任侠・実録モノの映画に熱狂する人達ってのは、同じ映画ファンでもどうも、なんか、怖かった。怖い雰囲気があるような気がして、だから映画観てても、突然、刺されたり、殴られたりすんじゃないか、って・・・。

オールナイト
▲ 文芸坐リーフレットの裏表紙にオールナイトのプログラムが載っていた。
 この時は長谷川一夫特集に、日活アクションのアンソロジー『アゲイン』を
 始めとした日活作品、キューブリック特集に「工藤栄一の美学」、神代辰
 巳のロマンポルノ傑作選なんていかにもオールナイトなプログラムですナ。


 そういう恐怖心(ビビリ)から文芸坐のオールナイトには行かなかった。ジャズ野郎が初めて行ったオールナイトは、新宿・歌舞伎町にかつて「歌舞伎町松竹」って劇場があって、そこでやった今村昌平特集。確か今村作品を3本上映したと思うけど、他の2本は忘れたが、『神々の深き欲望』(昭和43=1968年・今村プロ)を上映したのは覚えてる。そして、そのほとんどを寝てしまった! 
 最終の3本目が『神々~』で、確か一番眠い深夜の3時、4時ごろ。しかもこの映画長いんだよな、3時間くらいある。寝て起きたら、まだ三国連太郎が始まった時と同じ感じで沖縄の海に浮かんでたから、「アレ、まだ同じトコやってんだ・・・」なんて思ったけど。太陽のドアップが出てきて、な~んか意味深な感じではあったが、内容はさっぱり(この映画を確実にチャンと観たのは、4、5年前、DVDで)。

 それはそうと、ヤクザ映画を上映してるからって、それを観に来てる客が殴ったり蹴ったりと暴力ふるうことはない・・と思うでしょ? 
 ところがジャズ野郎はそれを目撃したんです。  <続く>


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◆ 文芸坐とて極楽 <パラダイス> ではない・・・ <その2>

     また青春時代の名画座巡りの話に戻ります。しばし、お付き合いを・・・。

                 *****

 あゝ、あれは忘れもしない、昭和57年(1982)の秋、暴風雨の日曜日。
 下宿の窓ガラス、いや雨戸が風でガサガサ揺れて、打ちつける雨の勢いがハンパなかったからその朝、「あー、今日、観に行くの、止めようか」と何度思ったかしれない。

 でも、(小津の)何の作品だったか忘れたが、文芸地下で 小津安二郎 の映画を上映するんで、小津作品に疎かったジャズ野郎は、この機会に観ておこうと心に決めていた。
 ホントは小津なんて関心なかったんだけど、ま、やっぱり、教養のひとつとして観ておこうと。大学で、小津の話になっても話に乗れないと恥ずかしい・・・なんて事もあったし。

 ンでもって、意を決して、下宿を出て池袋へ。・・・でも今考えれば、ヤメときゃ良かった。

 文芸地下に着いて、真ん中からやや後ろの席に座って上映を待つ間、な~んか、変な感じがした。場内の雰囲気がオカシイ。どう見ても、小津映画を観に来るようなメンツじゃないのが客席にいる。チンピラ風というか、トッポそうな若いヤツ、そして酔っぱらったオッサンか肉体労働者ふうの方々。
 もっとも、文芸坐文芸地下ってのは、前のコラムでも書いたように、下品な場末のキャバレー街の中にあったから、例えば黒澤映画を上映するような時でも、そういう人達が客席に多くて、時折(というか、しばしば)、大声を上げたり、場違いな笑いを発してた。

 確か、黒澤監督が 『夢』 (平成2=1990年)を撮った時、ビートたけしがよく言ってた事に--

「 オレよ、『夢』観ようと思ってサ、池袋まで行ってヨ。そう、文芸座で。そしたらヨ、アソコ、柄悪いんだよナ、来てる客が。
 ド○タのオッサンやニイちゃんばっかでヨ。
 昼間から酒くらって、客席に大の字になって寝てヤンノ! 
 でよ、〝バカヤロー! 早く斬り合いヤレー!〟なんて、怒鳴ってやがんだゼ。
 クックック。だって黒澤の『乱』と間違って観に来てんだもん。
 ホント、どーしよーもないゼっての。
 『乱』も『夢』も漢字1字だろ、だから間違っちゃってんの。
 そんなもんコイツラに判りゃしねぇ、つゥーの!!! 」

ってのがあったけど、たけしが言ったように、文芸坐・文芸地下の客層ってのはそうしたものだったから、小津を上映するその日も同じような顔ぶれで、そんなに違和感を感じない・・・ハズだったが、それでもどうも荒々しいっていうか、落ち着かない感じだった。

 やがて、場内が暗くなって、映画が始まった--最初、アレ、コレって予告編かな、と思って観ていたが、一向にその予告編が終わらない。終わらないどころか、それこそが本編だったのだ。

 なんと、上映されたのは小津安二郎の端正かつ上品で閑静な〝美しき家族劇〟とは正反対の、石井聰亙監督によるブチャくれた 『爆裂都市 Burst City』 (昭和57=1982年)でありました!!!

      何で? イヤ、何なのこの映画?? 何でコレ上映すんの??? 
                小津安二郎はどうなった????

 とココにいたってもまだ事態が呑み込めぬジャズ野郎はそれでも黙って、その猛々しくも荒々しい『爆裂都市』を観たのでありました。暴走族まがいの武装集団がワイワイ叫んでケンカする様を全編暗~い感じで撮った『爆裂都市』を観続けたのですが、〝事件〟はその上映中に起こったのです。     〔続く〕


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『 ラストシーンの余韻 』 発売中!
映画ライター・高村英次、初の書き下ろし長編 『 ラストシーンの余韻 酒乱と失態、女難と頑迷、監督・溝口健二の狂おしき人生 』

高村英次

Author:高村英次
電子書籍版はアマゾン Kindleストア 及び 楽天ブックスから、紙の書籍版は製本直送.comより発売。直近の各コラムの末尾にある発売告知から販売サイトに遷移、またはポップアップ画面が出ますので、そこで購入できます。 

< プロフィール >
血液型:A型
趣味:サイクリング&ウォーキング&クッキング、デジカメでの写真・動画撮影
好きな場所:札幌ドーム、中島公園、中央図書館、豊平川
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