“ミスティ”が光輝く夜--Preview『世界にひとつのプレイブック』

 当ブログでは、黄金時代の日本映画に関するディープな話題ばかりでなく、新作映画の情報も随時、放り込みます。その第1弾は最近お気に入りのこの作品から……。

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 世の中、健康な人々ばかりじゃない、心(精神)を病んでそれを引きずって生きてる人もいっぱいいる。躁鬱病のパットもその一人。彼は時々、感情が抑えきれなくなると大声を上げたり、暴れ出して手が付けられなくなり、それが“暴力を振う”として警官に厳重注意されたりもする。パットは一見普通だが、その焦点のあってない目、延々と早口でまくし立てる喋り方、痩せるためと称してスウェットスーツ替わりにゴム袋を被ってランニングする姿などは、傍目から見るとやはりアブナイ人である。
 一方、パットに「私と付き合って」とつきまとうティファニーも、夫を事故で亡くし、一時はSEX中毒みたいになった女性で、スタイル良しのグラマーちゃんだが、どこか怖い。
 そんなアブナイ“自分”を引きずる二人が、二人を見守る家族達の腫れ物に触るような視線やある種の偏見を乗り越えて、めでたくラブ・ハッピーな関係になるまでの物語。とはいえ、クセのあるデヴィッド・O・ラッセル監督だけに、例によってひと筋縄にはいかない。だからなのかもしれないが、パットとティファニーの将来に一条の光が射すかのようなエンディングがやけにまぶしくて、心が和む……。

 終盤、二人が夜の舗道を往くシーンで、エロール・ガーナーの「ミスティ」がなにげに流れる。「ミスティ」といえば、クリント・イーストウッドの(劇場)初監督作『恐怖のメロディ』(1971年・アメリカ、原題は“Play Misty for Me” )で主人公のDJにストーカー女が「私のためにかけて」とねだる曲として有名で、それゆえにこの“酔っぱらいのバラード”然とした哀調漂うジャズ・ピアノの名曲にはおぞましきイメージがついてしまった。その我が愛する「ミスティ」がここではセンチメントでメロウな情感を湛えた、曲本来のイメージで使われている事が嬉しい。
 “Misty”は元々「モヤのかかった」とか、「モヤに煙った」という意味だが、曲名の「ミスティ」は、夢見心地の気分、といった意味らしい。
 これはガーナーのアルバム『ミスティ/エロール・ガーナー』(*1)のライナーノーツ(吉村浩二)に書かれているのだが、ここには後にこの曲に付けられた歌詞の一節が紹介されている。

“あなたが私のそばにくるだけで、私の心の中に、ヴァイオリンの響きが鳴りわたる。ハローというあなたの声が、音楽になり、私は夢見心地になってしまう”
 そして-
“私を、リードして行ってほしい。それが、私の心からの願い。この心細い気持ちをわかってほしい。私はあなたについて行く”

 映画の作り手が「ミスティ」を、そのメロウな曲調のみならず、この詞の意をパットとティファニーに当てはめようとして使ったとしたら、それは隠れたクリーンヒットだ。アブナイ二人の心境と行く末をこれほどピタリと表現したものはない。

 「ミスティ」は心がフィットしたパットとティファニーを祝福するかのように鳴り響いていた。それは二人の間にわだかまっていた、心のモヤがまさに晴れた瞬間だった。     
                                     〔2月22日ロードショウ/配給:ギャガ〕

*1 『ミスティ/エロール・ガーナー〔Eroll Garner Plays Misty〕』はマーキュリー・ミュージックエンタテインメント発売、ポリグラム販売のCD。上記の歌詞はこのCDで吉村浩二さんが書かれた解説(ライナーノーツ)の中から引用させていただきました。              

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俳優達も光り輝く--Preview『世界にひとつのプレイブック』その2

 『世界にひとつのプレイブック』の話を、もちょっとさせて下さいね。

                  *******

 心を病んだパットとティファニー、この二人のちょっとヘンテコな行動が、その演技が、描写(描く視点)が、おそらくこの手の障害者を扱った映画では最上のモノではないか、と思われるほど“自然”なのが気に入っている。

 特にパットの奇行にはいちいち“納得”してしまった。躁鬱病、統合失調症、てんかんなどとひと口に言うが、その症状は同じ病気でも人によってまったく違う。違うのだけど、特定の行動パターンに同じような傾向が見られることもある(と、こんな事をのたまうのはジャズ野郎の身近にこういう人がいるからなのですが)。パットの、時に応じて突発的に泣き出したり、叫んだり、動揺したりする状態は、今までの同種の作品だと決まり切った感じで描かれがちだが、ここでは見事に“個性的に表現”されている。パットを演じるブラッドリー・クーパーが今回のアカデミー賞で主演男優賞にノミネートされたのも肯けた。

 また一見、肉食系女子に見えながら、実は誰よりもパットの身を案じているティファニーも素晴らしくイイ。コチラの良さは、精神病者を演じる巧さの良さではなく、時にヤケっぱちになりながら自分を堅持する芯の強さと切ない女心(乙女心といいたいが、乙女というにはスレている。ま、そこがイイのだが)を持ち併せている“良さ”である。彼女に扮したジェニファー・ローレンスも当然、主演女優賞にノミネートされたが、なんとパットの父親役のロバート・デ・ニーロ、母親役のジャッキー・ウィーヴァーの二人も仲良く助演男・女優賞にノミネートされている。

 ジャッキー・ウィーヴァー演じる母親は、暴れる息子をどうすることも出来ず、こわごわと見守ることしか出来ない……そうなんですよね、肉親って総じてこうなってしまうんですよね。
 片やロバート・デ・ニーロの父親は暴れる息子を抑えようと挑みかかる……そう、男親は往々にして息子の理解できない挙動を力で押さえ込もうとしてしまう。トレードマークの深刻な渋面を、近年はコメディで活用してきたデ・ニーロだが、この我が子を思うトンマなオヤジ役でようやくその苦労が報われた感じだ。

 といった具合に脇の二人も良いから、今回のアカデミー賞で主演男・女優賞、助演男・女優賞に1人ずつ、計4人全員がノミネートされた、という次第である。
 同一作品に出演した男・女優が主演・助演賞の各部門に4人ともノミネートされたケースというのは、『欲望という名の電車』(第24回1951年)や『地上より永遠に』(第26回1953年)、『俺たちに明日はない』(第40回1967年)、『ネットワーク』(第49回1976年)、『帰郷』(第51回1978年)、『レッズ』(第54回1981年)などとあって珍しくはないが、割りとノミネーションがバラける最近の傾向のなかにあっては、久々の壮挙といえるだろう。

 監督はデヴィッド・O・ラッセル。この人の作品はいつもヒネってる、というか、どこかひと癖あってすんなり感動させてくれた試しがない。『スリー・キングス』(1999年)も『ハッカビーズ』(2004年)も『ザ・ファイター』(2010年)も、なんというか、ヤリたい事は判るのだけれど、それを公式通り(ルーティン)には描かず、癖のある人物やエピソードを組み合わせて、なんとなく意味ありげにムニャムニャと終わってしまう。ラッセル監督は『ザ・ファイター』でアカデミー監督賞や脚本賞にノミネートされたから、そのムニャムニャな所が向こうの人たちには受けているのかもしれないが、例えばその『ザ・ファイター』は、弟のボクサーがチャンピオンになって彼を鍛えたヤク中の兄貴と歓喜にむせぶ、なんて図で締めくくられており、本来ならボロ泣きものなのだけど、この兄弟とその自堕落な家族の状態があまりにも猥雑で、醜悪で、シリアスすぎるもんだから(リアルと言えばリアルなのだが)、感動がいまいち突き抜けない。
 だからどの作品も消化不良に思えたのだが、ついに突き抜けた1作を放ってくれました。

 そうなんだ、世の中にフツウな人なんかいないんだよ、みんなどっかこっか病んでいる。にもかかわらず、心が病んだ人を見ると顔を背けたり、無視したり、果てには差別して、イジメたりして無闇に苦しめてしまう。それは自分自身を壊してしまう行為だと、どこかで感じているのに、そういう自分をとめられない……。

 『世界にひとつのプレイブック』には、そうしたフツウの人と心の病を負った社会的弱者との距離をグッと縮めてくれる一瞬がある。それは、映画を見終わって放っておけば、たちまち消えてしまうよな泡沫(うたかた)の共感かもしれないけれど、先に書いた「ミスティ」が流れる瞬間にそれは昂然と沸き上がって、心がちょっと軽くなる……。

 「人間って何だっけ?」と今更ながら思わせてくれる、優しい訴求力をこの映画は持っている。
                         〔2月22日ロードショウ/配給:ギャガ〕


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緊急コラム「デ・ニーロは“これから”なのか?」

 今年のアカデミー賞、正確にいえば2012年の授賞作品がこの前発表されましたが、今回は見事にバラケましたね。ジャズ野郎イチオシだった『世界でひとつのプレイブック』は、結局、助演女優賞のジェニファー・ローレンスだけで、後は作品はもちろん、監督、助演女優以外の演技賞、脚色もなし、という残念な結果でしたが、他の候補作品もそんな感じで、こういう全バラケな年も珍しい。

 そのローレンス、受賞の時にステージに上がろうとしてコケたそうですが、WOWOW未契約のジャズ野郎はネット情報で知るのみで、その現場を見ていないからなんともコメントしようがないのです。それにしてもローレンス、まだ22歳でしたっけ、こんなに若くしてオスカーを貰ってしまってこれから大変だろうなぁ、とは思います。
 彼女の世代には、去年、『マリリン、七日間の恋』で候補になってたミシェル・ウィリアムスとか『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラ、『ジュノ』のエレン・ペイジ、ちょっと年はいってるが『17歳の肖像』のキャリー・マリガンなどなどキレ者さんがいっぱいいる。今回の受賞でローレンスが頭ひとつ抜け出した感じ。

 でもオスカー受賞はある意味、役者キャリアのピークだから、今後どうなるか。メリル・ストリープみたいに、助演賞をまずゲットして、次は主演女優賞に照準を合わせる、とか。ま、きっとそんなところだろうけど、とにかく今後が楽しみです。
 それに比べて主演男優賞3度目のダニエル・デイ・ルイスとか、助演男優賞2度目のクリストフ・ヴァルツなんかは新味がなくて、どーしたもんだろう。出れば受賞する、ってんじゃ、なんだかデキレースみたいな感じもするが……。どちらも作品(『リンカーン』『ジャンゴ』)は未見だからなんとも言えないのだが、ジャズ野郎としては久々にいい味を出してたロバート・デ・ニーロにあげたかった。

 1月29日付けの【俳優達も光り輝く】でちょっと触れましたが、今回のデ・ニーロにはなんかいい所がある。押しつけがましくない、って所かなぁ。自分のコワモテなキャラを自分でパロッて笑いにしていた最近のデ・ニーロの中では、その三枚目ぶりがようやく板に付いてきた、というような感じでコセコセとせず、落ちついた雰囲気でドジな親父というキャラクターを演じていたように思うのだが……。

 と、思ったら、松田龍平とCM出てるでしょ。あのCMいいですよね。最初見た時、メチャメチャ笑いました。「……岩下志麻をどうにかならないか」ってヤツ。この“どうにかならないか”って台詞がいいなぁ、思わず笑っちゃう(岩下志麻どころか、アンタが本当に好きなのはロイク〔黒人女〕だろ! とツッコミましたが……)。そしてずっとボソっと話してて、最後の方で二人が噴き出すような感じで終わる。「ガキと動物をいじくるだけで、気の利いた演出がひとっつもない」と思える昨今のCMの中では出色です。
 コレなんか見ていると、ロバート・デ・ニーロもまだまだこれからヤル気かな、なんて期待を抱かせてくれます。

 ジェニファー・ローレンスともども、デ・ニーロの今後に注目です。


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新作プレビュー  シュワルツェネッガーの 『ラストスタンド』

◆ スクリーンに 「シュワッ」 と〝I'll be back〟!

 カリフォルニア州知事への就任、そして退任、その後チョロチョロとゲストで顔を見せていたアーノルド・シュワルツェネッガーの久々の本格主演作。しかもド派手なアクションと聞いたから、こいつは見に行かなきゃ、と気負ったが、監督があのどーしよーもない凡作『グッド・バッド・ウィアード』(2008年)のキム・ジウンだってことを先に知ってれば、試写を見に行くことはなかったネ。
 イマドキのアクションで一番ダメなタイプ--「ただスピーディーなだけで、起承転結も、伏線も演出の旨味も何もない、CG駆使してぇのド派手で、ドやかましく、ドあつかましい」--だったから、この人の映画はもう見ないと心に決めていたのだが、なあーんだ、キムさん、チャンと撮れるじゃないですか。出来るならちゃんとやって下さい、と言いたくなるほどドラマ部分は落ちついてキッチリ撮り、アクションでは馬力を効かせてブイブイやってくれている。こんな具合に、緩急を付けてくれればいいのです。
 しかもコレ、3Dじゃない。アー、これまた最高ですね。3D眼鏡が煩わしく、PCのブルーライトで目をやられているジャズ野郎としては、ノーマルな2D映画が一番よろしい。

 で、いきなり判っちゃう。何が判るかっていうと・・・シュワちゃんが田舎の保安官で凶悪な脱獄犯一味を迎え撃つのだが、シュワちゃんの仲間ってのが超ショボイ。三下みたいな若い男女の助手と武器オタクの馬鹿とメキシコ(ヒスパニック)系のオヤジ、そして保安官事務所のブタ箱にブチ込まれた女助手の元カレのみ(味方が少人数のたった5人!)・・・とくりゃ、アレですよ。この設定でこれが何の映画か判らないなら、もう一度、小学校に入り直してください。ハワード・ホークス監督 『リオ・ブラボー』 (1959年)でございます。まぁ、もう、臆面もなくマネでございます、これぞハリウッド映画でございます!
 もちろん、『リオ・ブラボー』の設定は下敷きで、ストーリーは現代風にアレンジ。ド胆抜く脱走シーンにカーチェイス、そんでもって銃撃戦に殴り合い、と趣向はもう「ラーメン二郎」ばりのコッテリなてんこ盛り! その一つ一つの描写、例えば殴り合いならパンチの1発1発が重いのがいい。ガツンときます、見てるコッチに。

 それにしても、シュワちゃん、よろしいな。いかにも頼りない年少の助手達を叱咤激励するばかりでなく、贅肉とお年齢(とし)でもってますます小回りがきかなくなったボディを駆使して大熱演、ってなぁ、泣けてくる。
 助手達が敵に囲まれてアワヤ! てな時に、車で乗り付けて、ライフル構えてズドンとやるポーズなんか堂に入ったもんだ。やっぱり風格というか、頼れる男って感じがする。映画休養前より一層そうした重量感がある。
 この映画を見る前に、マスコミ用のプレスシーンを眺めていて、「そういえば、シュワルツェネッガーって西部劇に出てないな」なんて思ってましたが、この映画はまさに西部劇の現代版。シュワちゃんはまさに保安官で登場するわけで、その姿は往年の チャールトン・ヘストン のようであり、ライフルをぶっ放す姿は ジョン・ウェイン のようでもあり。 コレ、お世辞じゃないです、本当によぎりました、そのイメージが。

 かくてシュワルツェネッガーはスクリーンに〝I'll be back〟した。
 西部劇の王ジョン・ウェインは 『ラスト・シューティスト』 (1976年)でスクリーンを去った(この3年後、胃癌で死亡。これが遺作となった)が、シュワちゃんは『ラストスタンド』でスクリーンに戻ってきた。
 喜ばしいことである。

        ■  4月27日ロードショー   配給:松竹ポニーキャニオン ■


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新作プレビュー  スタローン会心の新作 『バレット』

◆ スタさんとヒルさんのご機嫌バイオレンス超特急!

 〝スタさん〟といえば、ジャズ野郎と同世代の洋画ファンならば、1970年代のTVシリーズ『スタスキー&ハッチ』の刑事スタスキーの渾名(テレビ放映時の日本語版での渾名)を思い出すハズですが、そのスタさんを演じていたのはポール・マイケル・グレイザーで、このTVシリーズをベン・スティラー&オーウェン・ウィルソン主演でリメイクした劇場版(2004)では、ハッチ役のデビッド・ソウル(大ヒット曲『やすらぎの季節』は名曲)とともにスタさんも最後にチラっと姿を見せていました・・・などとコッチのスタさんの話ではないのです。今もアクションで現役バリバリの〝スタさん〟こと シルベスター・スタローン(シルベスターの スタさん )の新作の話である。

 この 『バレット』 は春に公開された『エクスペンダブルス2』(2012)に引き続いての、スタさん主演のスーパー・アクションでもって、老いて険が立ってきて、どことなく人相が険悪な感じ(暗~い)になってきたスタさんが、イマドキのヤング・アクション・スターばりにキレたアクションを存分に見せてます(シュワちゃんは〝ちゃん〟でいいが、スタローンは〝スタちゃん〟にはならない)。

 ストーリーを簡単に紹介しとくと、海兵隊員上がりの殺し屋ジミー(スタさん)は元警官の悪党を仕留めた後、罠に嵌められ相棒を殺され、自身も凶悪&巧緻な凄腕のヒットマン、キーガン(ジェイソン・モモア)に襲われる。元警官の悪事を追及する、正義派の刑事テイラー(コリアン俳優のサン・カン)はジミーに接近し協力を要請するが断られ、逆に謎の一味に命を救われた所をジミーに助けられるハメに。殺し屋と刑事、立場の違う二人は対立しながらも、事件の核心に迫っていく……。

 キレたアクションつったって、監督が 『ゲッタウェイ』 (1972)のシナリオを書いて サム・ペキンパー 監督(流血の美学)とつるんでた、あの ウォルター・ヒル (ウォルターの ヒルさん )だからして、「派手な見せ場をブッ込みまくるイマドキなアクション演出はやらんだろう」「クールに決めるハズ」と思っていたら、コレがヤルのですな。いや、ヤルなんてもんじゃない! もうメチャメチャやってまっせぇ、てな感じ。
 今、最先端のアクション映画を手がけている、ヒルさんにすれば息子か孫みたいな、若い世代の監督よりもさらにハードでスピーディな・・・もっと言えば劇画タッチの撮り方(編集処理)をしておる。これには従来からのウォルター・ヒル・マニア(つまりジャズ野郎世代)は、ちょっと「ムムム」と考えざるを得ません。とにかく描写も展開もテキパキ速くて、どこからどこまでスピーディ(とはいえ、会話シーンなんかはちゃんと撮ってますが)。場面転換の際の劇画アニメ的な趣向などは、どう考えてよいものか。






 実はヒルさん、この作品 まで監督業をしばらくお休みしてました(2002年の 『デッドロック』 以来)。ヒルさんは脚本家上がりだから、昨年公開された〝エイリアン・ビギニング〟ともいうべき『プロメテウス』(2012)などの一連の『エイリアン』シリーズでは製作を担当していて、よって監督業が無の間も映画界と縁は切れてなかった。
 しかし本業の監督業、アクション監督としての仕事は、今回のスタさんとの初コラボ作が久しぶりのメガホン。しかも 70歳 を超えての活劇でやんす。まー、それを思うとアクション・シーンは鈍ってませんな、キレてる、キレまくってる。アクション捌きの手腕は錆び付いてないどころか、むしろ若返っている。だから、そうしたアクションのキレと劇画調の映像処理を、我々のような旧来のヒル・マニアがどう受け取るかでしょうね。コレは人それぞれ。

「人それぞれ、なんて逃げやがって・・・オマエはどう思ってんだい!?」
なんて問い詰められると、花粉症でダウン気味のジャズめもタジタジとなりますが、やっぱり 『ロング・ライダーズ』 (1980)みたいなヒル作品が好きなんでね(コレって、いわゆるジェシー・ジェームズを扱った西部劇のピークでしょ)、なんと申し上げてよいものやら・・・(と言えば、勘の良い人は判ってくれるはず)。

 でも、〝やっぱりヒルさんやなあ〟と思ったのはこの『バレット』の中に、
裸の女(いろっぺー姐チャン)、
● 目を背けたくなるような バイオレンス (血まみれの銃撃戦&肉弾相打つ殴り合い)、
(カー・アクション)
 をちゃんと出してくる所。そう、自分の好きなモンしか出してこない。ここらあたりに70年代アクションの衣鉢を継いだウォルター・ヒルの心意気が、男臭さがよく出ていて、嬉しゅうございました。

 あ、結局、ヒルさんの話ばっかで、主演のスタさんの話はしませんでしたね。まぁ、いつものスタさんです(笑)。でもなんだか、いつもの彼とは違うような、何か違和感が・・・と思ったら、トーハツ(頭髪)ですかな。アレ、こんなヘアスタイルだっけ? しかも刺青入れてるから、まるでトーエイ(東映)任侠映画の鶴田浩二に見えちまう。
 しかしプレスシートにある【DIRECTOR'S INTERVIEW(監督インタビュー)】に
「…僕〔ヒル監督〕から頼んだのは、髪を切ってもらうこと。…(略)…」(※)
 とあるので、あれはヒル監督のリクエストなんですね。そうか、ヅラじゃないのか、とちょっと安心・・・(?)。

  ■ 6月1日より全国ロードショー 提供:カルチュア・パブリッシャーズ 配給:松竹 ■

『バレット』マスコミ用プレスシート内、「DIRECTOR'S INTERVIEW」(TEXT by 宇野維正)から引用させていただきました。


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『 ラストシーンの余韻 』 発売中!
映画ライター・高村英次、初の書き下ろし長編 『 ラストシーンの余韻 酒乱と失態、女難と頑迷、監督・溝口健二の狂おしき人生 』

高村英次

Author:高村英次
電子書籍版はアマゾン Kindleストア 及び 楽天ブックスから、紙の書籍版は製本直送.comより発売。直近の各コラムの末尾にある発売告知から販売サイトに遷移、またはポップアップ画面が出ますので、そこで購入できます。 

< プロフィール >
血液型:A型
趣味:サイクリング&ウォーキング&クッキング、デジカメでの写真・動画撮影
好きな場所:札幌ドーム、中島公園、中央図書館、豊平川
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