新作プレビュー  『 ドラフト・デイ 』  < 後編 >

◆ あのロザンナ・アークエットがチョイ役で出てるって!

  コスナー、ガーナー
  ▲ 同棲中の秘書アリ(ジェニファー・ガーナー、右)と二人の今後や指名選手について話し
    合うサニー(K・コスナー)。この〝アリ〟は、ロザンナ・アークエットではありません。
    (C)2014 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.


         あと残念だったもう1つは、ロザンナ・アークエットですか。

 試写を見る前にマスコミ用のプレスを開いてクレジットをチラ見した時、
       「あ、ロザンナ・アークエットが出てるんだ」
 と気付いたけれど、キャストのページには紹介のプロフィール記事はなく、なんだか素っ気ない感じなので、
「あー、一時期、キュートな美人女優で人気だったのに、今はこんな扱いかア・・・」
 と少々ガックリきたけれど、映画を見たら、ホントにそんな、誰が演ってもいいような、軽いチョイ役での出演だったからさらにガックリ。コスナーの別れた元妻の役で、台詞も1コか2コぐらい・・・。

 しかーし、〝昔ピチピチだった美女も齢を重ね、容色が衰えた〟というようなところは全く感じなかった。むしろ、あー、まだまだイケルじゃん、って思ったくらい(といって、映るのは一瞬だから、しっかりマスクやスタイルを眺められたわけじゃないが)。ロザンナはすぐにスクリーンから消えてしまう。

 これが残念でしたね、もちょっと見ていたかった。

 ロザンナ・アークエットがちょいブームだったのは、1980年代から90年代前半くらいで、その後、妹のパトリシア・アークエットの方が演技的に高評価を得たりして(*1)、姉ちゃんの方はちょっと影が薄くなった。
 でもルックス的にはロザンナの方が断然グー。1980年代に活躍したロックバンド・TOTO「ロザーナ」ってヒット曲、これはTOTOのスティーブ・ボーカロが当時、ロザンナ・アークエットと付き合っていたので、そのロザンナを歌った曲だ、ってのは洋楽(ロック)ファンならみんな知ってることだけど、そんな具合に曲にされるほどキュートでセクシーだったんよ。

 とはいえ、鼻が高くて、そんでまた鼻の穴がちょいと上向きだったから、ジャズめはあんまり好きじゃなかった。

 ところが今はなき日本ヘラルド映画 (現・角川映画) が〝Romance in Paris〟と銘打ってパリを舞台にした恋愛映画3本を連続公開した時、その中の1つ 『恋人たちのパリ』 (1990・米仏)に出ていたロザンナがキャンペーンで来日した(来日は確か1991年の春。因みに『恋人たちのパリ』以外の2本はララ・フリン・ボイルの『恋はワインの香り』とジャクリーン・ビセット主演の『彼はメイド・イン・パリ』)。

 たまたまジャズめはその記者会見に行ったんですが、もう、凄かったッスね。
 
 ロザンナはめちゃめちゃナイスバディだった。 もー、ムッチムチでモッチモチで・・・。
 ただ胸がデカいとか足がキレイとかってだけじゃなくて、全体的にスリムでボリュームがあって、セクシー・フレーバー横溢っていうんですかね、色っぽくてキラキラ輝いていて、その場にいるとトロケそうな感じでした。

 なもんで、それまで格別好きでもなかったのに、途端にひと目惚れしちゃいましたナ。

 特に首から下! その時、確か上は白いセーターみたいなのを着てたと思うけど、その下、つまりパンツは・・・? なんて言うんですかね。今、トレンカ(レギンス?)って言われるヤツなのかなあ、何かレオタードみたいな銀ラメの生地で、脚にピタッとフィットしたパンツを履いていた。それでクルッとモデルみたいに回ると、プリっと盛りあがったお尻が最高にかっこよくて、そのヒップラインやY字ラインがエロティックでエロチックで・・・もう、クラクラしましたな。
 それを見て「ハッ」となったジャズ野郎は、それ以後、彼女の下(下半身)を見られませんでした。興奮しちゃうから。

 実際会って目の前で見てみると、ガックリしちゃうスターも多いけど、彼女は予想以上にキレイだった。あと実際見た人では、チャーリーズ・セロンもキレイだった。まだ彼女が本格的に売れる前で、ウブく感じたせいもありますが(ま、ハリウッド女優でウブい女なんていないけど・・・)。

 そんなわけで、ジャズ野郎同様、若い頃のロザンナに思い入れのある方は是非、〔彼女の現在(いま)〕を確認するために是非、劇場へ。

 監督は、続篇(第3弾)の製作が決まった1980年代の大ヒット作『 ゴーストバスターズ 』の1・2作(1984/89)を手がけたアイヴァン・ライトマン*2)。最近は息子の監督ジェイソンの方が評判が良くて、アイヴァン父さんはジェイソン作品の製作をして惰眠をむさぼっていましたが、ココでは久々に監督に着手。うま~~~くまとめて、飽きさせない。ベテランの手腕を発揮してます。


スタッフルーム
▲ ブラウンズの威信をかけ、サニーは一か八かの大勝負に・・・。
  (C)2014 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

       『 ドラフト・デイ 』 公式HP : http://draft-movie.com/#p

■ 1月30日より東京・TOHOシネマズ日本橋、
       ユナイテッドシネマ札幌ほかにて全国ロードショー  配給:キノフィルムズ ■


*1 ロザンナの妹パトリシア・アークエット 最近、姿を見ないな、と思ってたけど、先頃発表されたゴールデン・グローヴ賞ではドラマ部門の作品賞に輝いた『6才のボクが、大人になるまで。』で見事、助演女優賞を受賞。今も地道に女優業に精進してるようです。

*2 『 ゴーストバスターズ3 』の監督  続篇製作が決定した『ゴーストバスターズ』だが新作の監督はライトマンではなく、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(2011)のポール・フェイグで、今年2016年夏に同じタイトル名『ゴーストバスターズ』で公開。


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
  確執とともに描いた、
        『 ラストシーンの余韻 』 〔電子書籍版〕、
                アマゾンkindleストアから発売中! >





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新作プレビュー  『 きっと、星のせいじゃない。 』  < 前編 >

◆ 涙や同情はノー・サンキュー! 命短し恋せよ乙女さん

 きっと 1
 ▲ ガス(A・エルゴート、右)と急接近するヘイゼル(S・ウッドリー)。肺が
   弱いから常に酸素ボンベを携帯し、鼻には管が・・・こんな姿、見せた
   くないのにぃ。   (C)2014 TWENTIETH CENTURY FOX

 いきなりなンですが、難病モノって好きじゃない。いや、むしろ嫌いです。

 人が死んでいくプロセスを延々と見せて涙を誘う、ってのは、映画の手としてはどうも安易でズルい気がするし、事実、自分の身近で同じようなことに遭遇してたりすると黙って見ていられない。
 数年前に父を亡くた時なんか、その直後は徹底的に見るのを徹底的に避けました。見ると、父そのものを思い出すからイヤだってこともあるけど、それに関連して自分が見たり感じたりしていたことを思い出しちゃうからイヤなんだ。病院の行き帰りにあった花壇の花だとか、ロビーの椅子に置き忘れてたマフラーとかね。入院中のオヤジの顔とかパジャマ姿みたいな直接な思い出じゃなくて、間接的な記憶が脳裏をよぎっていく・・・それは結局、亡きオヤジの思い出に繋がっていくわけだけど、どっちにしたって楽しいもんじゃない。

 それに難病モノってのは、主人公もしくはヒロインが死ぬ、って具合にオチが最初から決まってるわけで、その過程で、命の大切さだとか、残り少ない人生をどう生きるか、なんてことが描かれるんだけど、なんというのかなぁ、結局、道徳的な、まっとうな正論ばかり並べられちゃって、納得することは納得するけど、なんとなくタイクツなんだ。
 特に、日本映画における、この種の映画は大体が、同じテイスト、同じ趣向、同じトーンで展開されてくる。代わり映えしないから見てて焦れったくなっちゃって、ムカムカしてくる。
 でも、そういう見え見えのヤツでも今の若い客は泣くわけだからネ、一体どうしたもんなのか。〝泣ければ何でもいいのか〟って言いたくもなるけど。
 中には 榮倉奈々瑛太 が出た 『余命1ヶ月の花嫁』 (2009、廣木隆一監督)みたいないい作品もあるけど、コレみたいにその年代の恋人たちの日常を丁寧に、心情をすくい上げるように描いたモノってそうないですな。

 これが洋画となると同じ題材でも結構面白く、しかも深く新しく描いてくれる。ちょいと前にDVDで見たジョゼフ・ゴードン=レビット主演の 『50/50 フィフティ・フィフティ』 (2011、共演セス・ローゲン、監督ジョナサン・レヴィン)とかハリソン・フォードの 『小さな命が呼ぶとき』 (2010、トム・ボーン監督)なんかはそれぞれ面白かった。
 『50/50』でガン患者のレビットの友人を演じてたセス・ローゲンってコメディアンは、キム・ジョンウン暗殺を描いたってことで上映中止やサイバーテロなど大騒動の元兇となった例の 『ザ・インタビューズ』 (2014)に出てた人だけど、この人が闘病中のレビットに言っちゃいけないような暴言をよく吐く(と記憶する)。レビットとは親友だから、その身体の状態や病状を揶揄するキツいコメントや当てこすりは、いわば愛あるジョークなわけだけど、コレって日本ならNGだ。
 しかしアメリカ映画に限らずヨーロッパのものでも、患者や死期間近の病人を割りと平気でイジっちゃったりする。一見、酷に思えるけど、病人を特別視せず、自分と同じ健常者のレベルで扱っているわけで、本当はこういうコミュニケーションが正しいんじゃないのかな、とも思う。


 そこで 『きっと、星のせいじゃない。』 ですが、この作品でもそんな具合に病人をイジッたりするヤリトリがある。でもだからって、イジれた方が深刻に悩んだり、傷ついたりってことはなく、なんとなく融和してわかり合っていく姿が心地よかった。だから見ているコチラも嫌な気持ちにならない。

 そうした優しいデリケートな視線ってのがあるんだな。

 だからコレは難病モノっていうより、ティーンが主人公の普通の青春映画で、その中に病気<死に至る病>がくっついてた、とでも言うような作品。10代女子のフツーじゃない日常をフツーに、伸びやかに描いて、ともすれば病気のことなんか忘れちゃうほど(とはいっても、病はしっかり彼女を蝕んでいくのですが・・・)。

 重たく湿っぽい難病モノが軽~いフットワークで描かれてる。
 そこが気に入りました。                        〔続く〕


            きっと ポスター
                 (C)2014 TWENTIETH CENTURY FOX

    『 きっと、星のせいじゃない。 』 公式HP : http://www.foxmovies-jp.com/kitto-hoshi/

       ■ 2月20日より全国ロードショー  配給:20世紀フォックス映画 ■


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
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新作プレビュー  『 きっと、星のせいじゃない。 』  < 後編 >

◆ シャイリーン、2015年にショート・ヘア旋風を巻き起こせ!

 きっと 2
 ▲ 恋するヘイゼル(シャイリーン・ウッドリー)。 (C)2014 TWENTIETH CENTURY FOX


  まー、なンつっても、〝きっと、星のせいじゃない。〟ってタイトルがいいね。このタイトルがまず気に入った。コレ、原作(本)があるから、ソッチ(出版元)でつけられた題名なんだろうけど、コレでまず見たくなる(原題は The Fault In Our Stars あえて訳すなら、〝我らの星たちの欠点〟、または〝--の欠陥〟、または〝--のキズ〟ってトコか)。

 そして次にいいのが・・・とその前に、粗筋をば。

〔 17歳のヘイゼル(シャイリーン・ウッドリー)は末期のガン患者で、常に酸素ボンベを必携し、鼻には吸入用の管が通ってるけど、ショートカットがゴッツウ似合うキュートな女の子。
 彼女、読書家で家に籠もりがちになるから、両親は娘を外に出させようと施設に連れて行く。ヘイゼルはそこで自分と同じような若いガン患者が集うグループトークの場に引っ張り出されるが、彼女はそういうのが大嫌い。
 大嫌いだけれど、その中にちょっとイカす男の子ガス(オーガスタス、演じるはアンセル・エルゴート)がいて、まぁ、向こうからモーションかけてくるもんだから悪い気もせず、なんとなくそのままつきあってたら、なんかイイ感じになって・・・。

 でも結局、お互い末期ガン患者、先は見えてる。だから今楽しくても、どうせ・・・って、以前なら暗い心境にもなったけど、ヘイゼルは頭でっかちで人嫌いだった己の〝殻〟を破って、初めての恋にざぶーんとダイブ! ガスにどんどん惹かれてゆく。

 やがてガスはヘイゼルが崇めている愛読書の著者でアムステルダムの作家ピーター・ヴァン・ホーデン(ウィレム・デフォー)にメールで連絡を取り、彼女を伴ってのオランダ渡航を企てる。
 それを知ったヘイゼルは天にも昇る心地。ヘイゼルの病状急変が心配されるから、二人だけでオランダ行くってわけにはいかず、ヘイゼルのママ(ローラ・ダーン)がお目付役で同伴することにはなったけど、それでも二人は胸はずませてジャンボに搭乗! 
             そして喜び勇んでヴァン・ホーデンの自宅を訪ねるのだが・・・?! 〕



 先にも書いたけど、難病モノっていうよりも、難病というオマケがくっついた青春映画って感じで、青春映画ならば主人公を演じるスター、男・女優のパーソナリティ(個性)ですべてが決まる。

           その点、この二人は問題ないですな。

 ヘイゼル役の シャイリーン・ウッドリー は、3年前(第84回)のオスカー候補だったジョージ・クルーニーの 『ファミリー・ツリー』 (2011)で、クルーニーの反抗的な娘を演じてた若手だけど、その頃から「伸びてきそうだなあ」と思ってたら、ちゃんと伸びてきましたね。

 彼女みたいにスッキリした親しみやすいルックスで、それでもって ショート・カット (コイツが似合ってんだ!)っつうと、五十路のオッサンとしてはかつての

テイタム・オニール ( 代表作は『ペーパームーン』 <1973> や 『がんばれ!ベアーズ』 <1976>、プロテニス・プレーヤー、ジョン・マッケンローの元妻)

クリスティ・マクニコル (なんて人、知ってまっか? テイタムと『リトル・ダーリング』 <1980>って映画で共演して、その当時 <80年代初期>、結構人気あったんよ・・・でもてっきりショートだと思ってたが、ネットにアップされてる当時のヘアスタイルを見ると、ショート・カットじゃない。ファラ・フォーセットが流行らせた長いレイヤードを肩あたりでカットした、モコモコしたヘアスタイル。それはそうと、先頃、この人、自分は同性愛者だとカミングアウトしたとか。ウーム、人生いろいろ、です)、
メアリー・スチュアート・マスターソン 『 恋しくて 』 <1987>・・・コレで決まりでしょ )
 とかネ。

 ジャズ野郎よりもっと上の世代の映画ファンなら、ショート・カットの美女ってぇと、おそらく 『勝手にしやがれ』 <1960> のジーン・セバーグあたりからラインナップを始めちゃうでしょう。

 あ、少女時代の ウィノナ・ライダー もショート・ヘア( 『ルーカスの初恋メモリー』 <1986> )でホント可愛かった・・・なんて人達が思い出されちゃうけど、シャイリーンの場合、賢そうで、頭良さ気に見えるところがトクですな。

 片やガス役の アンセル・エルゴート (クロエ・モレッツ・グレースの『キャリー』<2013>に出てた)は賢くは見えないけれど親しみやすく、男のダチにも好かれる感じのエエ奴で好感持てます。笑ったら若い頃のポール・ニューマンみたいに顔がクシャクシャになって・・・こういうあたり、女性ファンが見たら「カ~ワユ~イ」てなことになるのでは。

  この主人公二人のういういしい、フレッシュな個性が開花して、すんなりと楽しめて、チョッピリ泣ける、いい仕上がりになってます。

 ウィレム・デフォー が演じている作家ヴァン・ホーデンのことも詳しく書きたかったですが、ま、これは見てのお楽しみ。

 原作にあるんだろうけど、デフォーが演じるこのヴァン・ホーデンを訪ねてオランダに行き、アムステルダムの街を散策する。このデート・シーン、まるでハネムーンのような感じでとてもステキなんだけど、ただステキってだけじゃない。デフォー演じるヘンクツな作家がちょいとビターな役回りで、有頂天の二人を現実に引き戻す(この苦い~~い趣向がまたイイネ)。
 そして(確か)作家の家を訪ねた後に、あの アンネ・フランク一家 が隠れ住んでいたアパート(記念館になっている)に行くんだけれど、そこに関心しましたね。余命幾ばくもない二人が、若くして命を奪われたアンネの家を訪ねる・・・あー、なかなか巧いことやるなあ、って。アンネの家を訪ねる、ってだけで、命の大事さを噛みしめる(限られた生を精一杯生きろ)・・・と、こんなメッセージがしぜんと胸に届いてくる。コレ、セリフで言っちゃったりしたら興醒めなんだよな。

 死んじゃって終わり、なのではなく、死んでから始まる(こともある)・・・って教えられた気がしましたよ。


 きっと 3
 ▲ ヴァン・ホーデンが予約してくれた超リッチなレストランでディナーを味わうふたり。
   (C)2014 TWENTIETH CENTURY FOX

 監督はジョシュ・ブーンって人で長篇2作目の人ですが、脚本を書いている スコット・ノイスタッターマイケル・H・ウェバー は、恋愛コメディの佳品 『(500日)のサマー』 (2009)を書いたコンビ。アッチコッチとイメージが飛び跳ね、ちょこざいな小細工が効いたこの映画、ジャズ野郎はゾッコン好きでして、『きっと、星のせいじゃない。』 の試写を観に行ったのも、このコンビがシナリオだったから。
 『きっと-』は『(500日)のサマー』みたいな奔放な語り口やテクは抑えて、しかしライトで親密な視点はそのままに、繊細かつ心優しいタッチになってます。

   『 きっと、星のせいじゃない。 』 公式HP : http://www.foxmovies-jp.com/kitto-hoshi/

      ■ 2月20日より全国ロードショー  配給:20世紀フォックス映画 ■

< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
  確執とともに描いた、
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新作プレビュー  『 アメリカン ・ スナイパー 』  < その 1 >

◆ 息をひそめ、心を殺して見つめる戦場

  狙撃兵
  ▲ 米軍史上160人の敵兵を射殺して、味方からは 「伝説の狙撃手」 と呼ばれ、
    イラクの反政府勢力からは 「ラマディの悪魔」 と怖れられた クリス・カイル
     ( ブラッドリー・クーパー、右 )。
    (C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT
     INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC


 クリント・イーストウッド っていつまで映画を撮り続けるんですかね。
 まったくもってタフですよね。
 昨年、『ジャージー・ボーイズ』 を発表して、アー、お元気でなによりなにより、って思ってたら、早くも新作が! しかも今アカデミー賞6部門ノミニーと高評価で、イーストウッド監督作史上最高の興行成績だっつうから、「一体どないやねん!」って思ってたけれど・・・ハイ、〝アメスパ〟、観させていただきました。

 観て、いの一番の感想は---


        コレ、84歳のジジイが撮る映画じゃないだろう!


 ってこと。

 戦争映画なんて年齢でいえば、30代からせいぜい50代あたりまでに撮るシロモノだ。国同士による天下御免(?)の大量殺人を描くわけだから尋常じゃないスタミナがいる。戦車、戦闘機、戦艦はもちろん、かつてはシカゴ・ギャングの〝アル・カポネ〟さん達が使ってたマシンガンをもっと強力&高性能にしたモノ凄い銃器類、手榴弾、地雷、プラスチック爆弾・・・兵隊さんも大量に出てきて、モブシーン(大人数のエキストラを擁する群衆シーン)の段取りをつけたり、その準備がタ~イヘン。バババババッと銃で撃ったり、迫撃砲やロケット・ランチャーをぶっ放したり、それが当たっての爆破、地雷の爆発、戦闘機・戦車のクラッシュなんかを立て続けにセッティングしなきゃならない。

 銃で撃たれりゃ、血が出て、それが飛び散ったり、指が飛ばされたり、手足がもげたり、顔が損傷したり・・・そうしたシーンには特殊効果はいるし、実際に火薬や弾着を仕込んで発破かけなきゃならない。

 つまりノーマルな内容の映画よりずっと神経もお金も労力も使うのが戦争映画で、俗に言われる〝大量物量作戦〟の最たるモノだから、本格的かつ大規模な戦争モノはハリウッドでしか作れない(ハリウッドに対抗できる、っつたら、かつて旧ソ連時代のモス・フィルムぐらいじゃ)。

 映画は戦場だ--なんて言われるけど、戦争モノの現場はまじにデンジャラスで、ホントに戦場。戦争映画では映画の <=虚構の、嘘んこの> ワンシーンだとしても、その撮影現場で実際に戦争をしなきゃならない。

 それを90歳も間近の、映画界でも最長老に近いところにいる人が撮ってんだからね、おそれいっちゃいます。
 イーストウッドは確かに 『父親たちの星条旗』 『硫黄島からの手紙』 <共に2006> と高齢になってからも〝戦争〟を撮っちゃいるけど(この時、76歳!)、もう、いい加減いいんじゃないか、と思っていたら、またまたこんなヘビー極まりないヤツを出してくる。

 どういう肉体してんのかね? 頭もボケてないんだなあ・・・なんて思ってたら、日刊スポーツのインタビュー〔2015年2月17日紙面〕で、映画作りの原動力は「スシだ」なんて言ってる。これがホントなら、日頃、回転寿司でスシ食ってる日本のジジイはみんなモーレツな精力家ってことになる(ならないか)。イーストウッドが「スシ」って言ったのは、それくらい食べ物に気をつけて摂生し、健康的に過ごしてる、って事のようだけど、とにかく何度も言うがタフですね。

 そんなタフな80代監督が描いて見せた〝戦場〟は、今まさに世界中の人が注視し、恐怖している中近東の、イスラム勢力の情け容赦のない、果てしのない泥沼。砂塵が舞い上がり、それが去った後には累々とした屍が散乱する。

 そこで死んでいるのは、欧米の兵士ばかりではない、イスラム過激派の兵だけではない、砂漠の無辜な民ばかりでもない。おそらくをコレを見た人の心がそこで死ぬ。

 遠くイラク戦争からエジプト、リビア、シリアの混乱と分裂・・・一体、〝アラブの春〟ってなんだったんだろう、と思いながら味わうのは、壮絶でダークな悪夢の一大ドキュメント。
 それをまた、まったく気張らず、いつものように、素っ気ないタッチで淡々と撮ってるんですよね、クリント・イーストウッド監督は。

 凄絶で、残酷で、しかも終わりのない無常な戦争の断面を、激することなく淡々と見せていく。
 感動するというよりも、なんだか、ある意味、怖くなりました。

 ・・・ 懼れを抱きました。                          〔続く〕


             ポスタ
(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

       『 アメリカン・スナイパー 』 公式HP : www.americansniper.jp

■ 2月21日より東京・TOHOシネマズ日本橋、丸の内ピカデリー、
   札幌シネマフロンティア、ユナイテッドシネマ札幌、ディノスシネマズ札幌劇場
         ほかにて全国ロードショー       配給:ワーナー・ブラザース映画 ■



< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
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新作プレビュー  『 アメリカン ・ スナイパー 』  < その 2 >

◆ ストーリーは書きません・・・!

  従軍
  ▲ 地上部隊にまざってイラクの危険地帯を往くクリス(B・クーパー)
  (C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT
  INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC


 公開当時、一部で話題になってた、『ネイビーシールズ』 < 2012、スコット・ワウ&マイク・マッコイ監督 *1 > を見ると、紙飛行機みたいなのを敵のアジトに飛ばすシークエンスが出てくる。それは遠隔操作できるハイテク偵察機で尖端に超小型のカメラが装備されていてアジトの内部がクリアな映像でキャッチでき、狙撃手はその映像を見ながら確実に標的を撃ち抜く。この紙飛行機、材質がホントに紙だったかどうか定かでないけど、その程度のモンだから音(エンジン音)がしない。だから怪しまれずにスルスルッと敵陣に入っていけるんだが、今やドローンやもっと小さいなマイクロ・ジャイロが一般人でも入手できちゃうから、そう考えるとなんだか怖いよね。盗撮なんか簡単にできちゃう。

 で、この映画の主人公 クリス・カイル がその ネイビー・シールズ なのである。〝ネイビー・シールズ〟は海軍の特殊精鋭部隊で、とにかく戦場において一番危険な任務に赴き、それを遂行するために鍛え上げられた猛者。いわば〝兵士の中の兵士〟。
 誰が味方で誰が敵か、どこに敵がいて、しかもそれが何人でどんな武器で責めてくるか、罠が待ち受けているか、などといった〝死の最前線〟へ展開していくのが「シール・チーム」なわけだけど、心境著しい ブラッドリー・クーパー が演じるクリスはそのシールズとなって、超危険な紛争地帯のど真ん中に叩き込まれる。

 ・・・と、通常ならここらあたりで「粗筋をば」ってことになるんだけど、この映画に関してはストーリーは紹介しません。ホントは、情報めいた事は何も書きたくないんです。何も知らずに、劇場に行ってスクリーンを見つめてほしい。余計な情報は後から仕入れればよい、黙って見ていればすべて判る。好奇心はそれですべて充たされる。

 だからクリス・カイルがシールズ隊員だってことすら書きたくないのです。
 前に『ゼロ・グラビティ』 【2013年12月13日付け】 を紹介した時のように、ただ観に行ってほしい、とだけ伝えたいのですが・・・なかなか、そうもいきません。『ゼロ~』とは映画の印象が違うし、戦争映画とか西部劇とかってのは女性層が忌避するジャンルらしいから、うまい事伝えないといけない。拙い文章力でも、せいぜい頑張ろうとは思いますが、でもストーリーや「誰がどうしたこうした」ってのは今回やめときます。

 ただ(この〝ただ〟も止めたいのですがね)、この『アメリカン・スナイパー』をイーストウッドが監督するって事を、ジャズ野郎は昨年公開された何かの映画のプレスシートで知りました。きっと 『ジャージー・ボーイズ』 だと思うけど、ブラッドリー・クーパーの出た 『アメリカン・ハッスル』 のプレスだったかもしれない。
 その中で〝アメスパ〟の内容を、アメリカの狙撃兵と敵軍の狙撃兵の一騎打ちを描く云々、という件があった。それを読んで、

「ヘェー、イマドキ、戦場での1対1のガンファイトなんて描くのか。イラク戦の砂漠って、そんな悠長な事やってられるようなところじゃないだろう。そんなんでいいのかな? 」

--と思いましたが、実際見てみたら、確かにそういう趣向はある。あるのだけれど・・・・。 〔続く〕


             棺に手
             ▲ 犠牲となった戦友の棺に手を置き、無念さをかみしめる・・・。
(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

     『 アメリカン・スナイパー 』 公式HP : http://www.americansniper.jp

■ 2月21日より東京・TOHOシネマズ日本橋、丸の内ピカデリー、
   札幌シネマフロンティア、ユナイテッドシネマ札幌、ディノスシネマズ札幌劇場
         ほかにて全国ロードショー        配給:ワーナー・ブラザース映画 ■


*1  「ネイビーシールズ」   チャーリー・シーンやマイケル・ビーンが出た同じ題名の『ネイビーシールズ』 <1990、ルイス・ティーグ監督> とは違う別作品で、『レッド・オクトーバーを追え!』 <1990> や 『今そこにある危機』 <1994> などの〝ジャック・ライアン〟シリーズで知られる作家 トム・クランシー が企画協力で参加。


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
  確執とともに描いた、
        『 ラストシーンの余韻 』 〔電子書籍版〕、
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新作プレビュー  『 アメリカン ・ スナイパー 』  < その 3 >

◆ 黒澤明と早坂文雄、そしてイーストウッドを結ぶ 『 狙撃兵 』

狙撃兵
▲ 子供時代、父から仕込まれた狩猟の勘。クリス(B・クーパー)はその勘のお
  かげで類い希な射撃の腕を得たのだが ・・・。
(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC


 戦場での1対1のガンファイト、つまり 米軍狙撃兵 VS イスラム過激派の狙撃手 、という対決(の設定)っていうのは確かにあるんだけど、例えば ジュード・ロウ 主演の 『スターリングラード』 < 2001、ジャン=ジャック・アノー監督 > みたいな、手に汗握るソレではなかった。戦場での一騎打ち、男と男の正々堂々の果たし合い、虚々実々の腹の探り合いみたいな作品は、遠くは旧ソ映画の 『狙撃兵』 <1932> とか 『眼下の敵』 < 1957、ディック・パウエル監督 > などいくつもあるけれど、要するに第二次世界大戦(を題材にした作品)ならばそれもあり得た。
 しかしベトナム戦争以後は、戦争をネタにして男同士の勇気ある決闘みたいなものは描けなくなってきた。「戦場というのはそんなキレイ事ではない」ってことが(当然のことだけど)一般(観客)にも浸透してきて、戦争を描く場合、戦意昂揚を慎むべし、要するに大量殺人、人殺しを勧善懲悪的な胸躍るドラマとしては見せない、描かないって事が定式(常識)--という雰囲気になってきた。

 だから、何かのプレスにあった〝アメスパ〟の内容を読んで、「イマドキ(1対1の決闘をするってわけ)・・・?」とジャズ野郎は思ったわけですが、さすがにイーストウッド監督。描いたのは、そんなエンターテイメントな、マッチョな決闘シーンなんかじゃなかったネ。


         もっと現実的で直裁、かつ深遠なるもの、でした。


 その〝深遠なるもの〟は、劇場のスクリーンで確認していただくとして、先に挙げた旧ソ映画の『狙撃兵』について、ちょっと・・・。

 コレは、1932年(昭和7)の旧ソ連映画、監督はセミョン・ティモシェンコ。ティモシェンコはモンタージュ理論に関する本も出してる人だからインテリさんで、表現も高踏的なんだろうけど・・・実をいうとジャズ野郎はこの映画を見てません。
 見てないくせに、なんで書いてるかっていうと、この『狙撃兵』は 黒澤明監督 と黒澤作品の音楽を担当した 早坂文雄 が固い協力関係を築いた、その機縁になった作品だというのをある本を読んで知ってたから。

 その本、『黒澤明と早坂文雄 風のように侍は』(西村雄一郎、筑摩書房)の中で、この『狙撃兵』は、黒澤監督が
「これまで見た映画で、最も音楽が効果を上げていたのは『狙撃兵』だった」
と激賞したとされ、こう書かれています。


 黒澤と〔早坂〕の間で話題になったのは、塹壕における殺しのシーンである。映画公開の数年前に輸入されたシャンソン「サ・セ・パリ」が、ここで印象的に使われていたのだ。
            …(略)…
「西部戦線で、ロシア軍とドイツ軍が対峙してるんだ。
 ドイツ軍に凄い腕の狙撃兵がいてね。
 それがどこから射ってくるかわからないんだよ。
 ある日、ロシア軍が望遠鏡で偵察してた時、塹壕か人形をソッと出してみるんだ。
 そしたらその人形がバァーンと射たれる。
 それを望遠鏡で見ると-こっちの塹壕とむこうの塹壕の間に一頭の馬が死んでいる。
 その馬のおなかから、煙が出てたんだ。
 つまり、死んだ馬を、いつの間にかつくりものの馬に変えて、
 そのなかに狙撃兵が隠れていたんだね。
 で、ある雨の日に、ロシア軍の狙撃兵が這いながら、
 その狙撃兵を殺しに行くんだ。
 鉄かぶとに水滴が流れててね、ジーッと待ってて、馬の死骸から出てきたところを刺し殺す。
 その時、むこうの塹壕から、レコードの「サ・セ・パリ」が流れてくるんだ。それがすごい効果がある
 んだよ」                       ※〔〕内、ジャズ野郎註
                                        


 というコレは黒澤監督が著者の西村雄一郎さんに話した、『狙撃兵』の解説ですが、なんか映画好きが夢中になって気に入ったシーンについて喋ってる、って感じがしてイイですよネ。
 〝むこうの塹壕から、レコードの「サ・セ・パリ」が流れてくるんだ。それがすごい効果があるんだよ〟と語っているのは、この映画の製作された時機がトーキーになったばかりの頃で、まだ映画の中で音や音響、音楽を、効果的に、映画的にどう使ったらいいのかを模索していた時だったので、ジリジリした駈け引きの末に相手を刺し殺した瞬間、塹壕からシャンソン 「サ・セ・パリ」 (*1) が流れてきたってのが、衝撃的だったんでしょう。
 このシーンの音楽の効果について、黒澤と早坂は意見が一致して、その後、昭和30年(1955)に早坂が亡くなるまで厚い友情で結ばれる。

 ま、コレは〝アメスパ〟には関係のない話ですが ・・・。

 だから『アメリカン・スナイパー』を見ながら、イーストウッドがこの古い旧ソ映画を見ていて、作品のどこかに〝引用〟したりしてるのかな、なんて思ってましたが ・・・ さて、どうでしょう。劇場のスクリーンで、その痕跡を探してみて下さい。                         〔続く〕

  軍用機
  ▲ 戦地イラクに送りこまれる軍用機の中で、クリスは何を想う・・・。
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          『 アメリカン・スナイパー 』 公式HP : www.americansniper.jp

■ 2月21日より東京・TOHOシネマズ日本橋、丸の内ピカデリー、
   札幌シネマフロンティア、ユナイテッドシネマ札幌、ディノスシネマズ札幌劇場
           ほかにて全国ロードショー      配給:ワーナー・ブラザース映画 ■


*1 シャンソン「サ・セ・パリ」  『狙撃兵』の音楽の使い方に感心した黒澤明は、後にコレを自作に引用。再び『黒澤明と早坂文雄』より

 また「サ・セ・パリ」は、『野良犬』のなかに、ピストル屋の女(千石規子)を村上刑事(三船敏郎)が捕まえる時に、そこの喫茶店で鳴っている「サ・セ・パリ」が高鳴るというシーンがあった。

 というわけで『野良犬』< 昭和24=1949年 >の中で使ってる。黒澤明の映画表現の源は、すべて自分が見たり聴いたり読んだりした記憶。それを忘れずに、作品にブッ込むところが世界のクロサワの〝芸〟ですな。


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
  確執とともに描いた、
        『 ラストシーンの余韻 』 〔電子書籍版〕、
                アマゾンkindleストアから発売中! >





新作プレビュー  『 アメリカン ・ スナイパー 』  < その 4 >

◆ 主演と製作総指揮を兼務した ブラッドリー・クーパー の 誓い

  結婚式
  ▲ 入隊後、タヤ ( シエナ・ミラー、左 ) と結婚式を挙げるクリス (B・クーパー)
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 「情報めいた事は何も書きたくないんです」・・・なんて言っといて、いつも以上にいっぱい書いてしまいました。もう終りにしたいですナ。でも、あと1ネタだけは、どうしても・・・。

 それは主人公の狙撃兵、精鋭部隊ネイビーシールズきっての優秀な兵士、クリス・カイル を演じている ブラッドリー・クーパー のこと。この人、去年は 『アメリカン・ハッスル』 <2013> でアカデミーの助演男優賞、今年は『アメリカン・スナイパー』で主演男優賞と連続ノミネートですが、一昨年も 『世界にひとつのプレイブック』 <2012> で主演男優賞にノミネートされていて、つまりは3年連続。今年も主演男優の本賞は逃しましたが、優秀ですよね(今回の主演男優賞は『博士と彼女のセオリー』でホーキング博士を演じたエディ・レッドメイン)。

 最初にノミネートされた『世界に~』は、当ブログ【 2013年1月28・29日付け 】にて、『アメリカン・ハッスル』についてはちょうど1年前の【2014年1月31日、2月2日】で紹介しているので、そちらも合わせてお読みいただきたいんですが、パッと見、いかにも〝アメリカン〟な色男風。彼を一躍売れっ子にしたトッド・フィリップス監督のお馬鹿コメディ『ハングオーバー』3部作 < 2009~2013 >のでセクシーなニヤけ顔が似合ってたから、
「あー、コイツはこの線だな。この線がピッタリだ」
 と思いましたよね。
 〝この線〟ってのは、エグゼな夜遊びシティーボーイとか女をとっかえひっかえする不実なエリート、もしくは色悪なビジネスマンといった役柄です。

 だから今後も〝アメリカ~ン〟な、軽~い男を十八番にしていくんだろう、と思い込んでいた。

 ところが『世界に~』を見て、「おッ・・・!」と思った。統合失調症を患っている青年の役、格好良さとは対極にある役柄に敢えて挑戦してた。その演じ方が実にユニークだった。一口に、統合失調の患者さんって言っても、行動から仕種から一人一人がすべてが違う。精神障害者をステレオタイプな演技ではなく、さんざんリサーチした上で自分なりの〝心の病を患っている人〟を創り上げていた、と思います。

 コレでアカデミー賞にかかった。なのでジャズ野郎は、
「そうか、賞レースに絡みたいから、こういう役にアプローチしたんだ」
な~んて思ってた。

 ところが次の『アメリカン・ハッスル』、略して〝アメハス〟では、髪の毛を気にする、ちょっと間抜けな刑事役を演じて、コレでまたオスカーに。『世界に~』と同じ監督(デビッド・O・ラッセル)のこの作品は、ブラッドリーの役だけでなく、クリスチャン・ベイルといい、エイミー・アダムスといい、ジェニファー・ローレンスといい、出てくる面々がみんな変人、愛すべきヘンテコリンな人達だったから、彼が演じた間抜けな刑事役なんかむしろ目立たない方だったけど、それでも毎日、チリチリにしたパーマヘアを几帳面にセットするあたりのバカげた神経質さには笑った。


  娘と
  ▲ 愛妻タヤとの間にカワイイ娘も生まれて幸福な中、クリスは再び戦場へ。
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 ところがところが、今回の〝アメスパ〟では百発百中の狙撃兵役で〝アメハス〟とは180度違ったシリアスな役。しかも、見てると、その人物カイルがだんだんブラッドリーに思えなくなってくる。兵士役を演るために体重を増やしたらしく、なんというのかな、ただの筋肉質なパワフル・マッチョではなく、レスラーみたいな体型になり、首廻りなんかエラく太い。髭ズラを生やしたその顔は、時折、昨年亡くなったロビン・ウィリアムズにも見えた。プレスシートによると、徹底した肉体改造をして撮影に臨んだらしいが、その体型を維持するために自分の出番がない時も、ミルクセーキや栄養食を摂り続けたとか。

  「…(略)…。撮影最終日には、〝助かった、これでもう食べなくて済む〟と言っていたよ」
                 ( 『アメリカン・スナイパー』のマスコミ・プレスより  ※ )


とは監督イーストウッドの弁。しかも、そのブヨ~い身体で、過酷なネイビー・シールズの養成訓練を受けて、肉体をいじめている。どんだけキツかったか・・・。

 だからあのセクシーなマスクや均整の取れたスタイルが、モサくて、どことなく殺気立った暗い表情とデブな身体に変身。だけど、役者としてのセールスポイントだった容姿をかなぐり捨てて役作りに没頭している姿には圧倒されるし、その気迫が画面から伝わってくる。

 コイツは相当なヤツ <演技者> なのかもしれない、と思い直し、最敬礼しましたね。


 実はこの映画、主人公のシールズ狙撃兵、クリス・カイルの手による原作が出来る前から、映画化が進行していて、撮影に入る前にブラッドリーはイーストウッド監督とともに、カイルの住んでいたテキサスを訪れ、彼の家族に会って交歓した。その時、ブラッドリー・クーパーはある決意をした。

    「僕らはこの映画をクリスの名に恥じないものにすることを…(略)…誓った」
                                    ( 前掲プレス ※ )


      ブラッドリーの誓い、見事に達成されてるんじゃないですかね。


ワーナー映画 『アメリカン・スナイパー』 マスコミ・プレスシート中の記事より引用させていただきました。


  妻タヤと
  ▲ 本国に帰還してタヤと抱擁するクリス。だが彼にとっての < home > は、
  もはや心休まる安らぎの場所では・・・。

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