すくり~んエッセイ  名画座という名のタイムマシン

◆池袋・文芸坐までのロング・アンド・ワインディング・ロード <その1>

 今、池袋の東口っていえばビックカメラヤマダ電機 だが、昔、あのあたりには中小の映画館があった。

 大学が江古田にあったから、観に行く映画館(こや)で一番多かったのは池袋界隈の劇場だったけど、西武は「東口」、東武は「西口」にあったから、だからコレを〝東西・出口逆〟と覚えていて、(立教大学のある)西口には確かロマンポルノをやってた「池袋にっかつ」(漢字の〝日活〟じゃなく、ひらがなの)があった。ジャズ野郎がそこに入ったのは、その「にっかつ」が〝最後のロマンポルノ〟と銘打った『ラスト・キャバレー』(昭和63=1988年、金子修介監督)の時だったか(大学出た後ですが)。
 いや、『ラスト・キャバレー』って観たかな? 観た記憶があるような、ないような(根岸吉太郎監督の『キャバレー日記』 〔昭和57=1982年〕 は見てるが)・・・もし観てなかったら、「池袋にっかつ」には入った事ないな(因みにロマンポルノをやめた「にっかつ」はロッポニカをスタートさせるのだが、裕次郎時代はおろかポルノ時代にもあった〝昔日のブーム〟は蘇らず終了)。

 この西口には90年代に入ってシネマ・ロサって劇場が出来て、そのビル(劇場)の前が10代の少女(不良ギャルさん達)の溜まり場になって風紀上どうだとかって事で話題になったけど、その頃にはもう池袋~練馬には住んでいなかったので、よくは知らない。

 とにかく学生時代(80年代)よく行ったのは、同じ池袋でも 「池袋・文芸坐」 (現・新文芸坐) のある東口だった。先にも書いたように、今、ビックカメラがデ~ンとある辺りにいくつか劇場があったんだけど、まず西武線の東口を出て左に行くと、最初に出くわすのが 「池袋東急」 じゃなかったかな。ココでジャズめは大島渚の『戦メリ(戦場のメリークリスマス)』 (昭和58=1983年)を観ましたよ。その次が大勝館だったか、日勝館だったか、なんかそんな名前の松竹映画をかけていた劇場、洋ピン(アメリカやヨーロッパのピンク映画。ピンク映画ってのはポルノ映画の事・・・て解説も、今はしないと判らないでしょうね)をかけてた地下の小さな映画館がいくつかあった。

 そしてウジャウジャとキャバレー、ピンサロ(ピンクサロン。ジャズめは入ったことないからキャバレーとピンサロの違いは分かりません。どちらもフーゾクなんでしょう)、またこの当時流行っていた覗き部屋の類がワンサとあって、そこがマジで嫌だった。
 店の前で捻り鉢巻きした呼び込みのニイちゃん(客引き、ですな)がいつもワンワンやってる。ダミ声の大声を張り上げて、道行くサラリーマンに声を掛ける。声だけじゃない、通行人の腕を掴んで引っ張り込んだり、肩に手を回して引き寄せたり、とやりたい放題だった。

 田舎から東京に出て来たばかりの、二十歳前のいたいけなジャズ野郎にしてみれば、もう、いかがわしいその店先を通るだけでも嫌なのに、どうしたわけか、必ず呼び込みのニイちゃんに捕まえられて、店の入口まで強引に持って行かれそうになる。

 ニイちゃん 「オッ、兄さん、一人?」(と近寄ってきて腕を引っ張る)
 ジャズ野郎 「アッ、ヤメて下さい!」 
 ニイちゃん 「遊んでいこーよぉー、お兄さ~ん」(と馴れ馴れしい) 
 ジャズ野郎 「イヤ、いいです。入る気ないです」
 ニイちゃん 「そんな事言わないでサァ~」
         とこう言いざま、決まってニイちゃん達は、チョンチョンと
         下半身を触ってくる。
 ジャズ野郎 「アッ、金ないッスからッ、イーです!」

なんて言って掴まれた腕や肩をふりほどいて脱兎の如く駆け出し、ようやくお目当ての「文芸坐」にたどり着く。

 大体、毎回こんなふうでありました。           <続く>


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すくり~んエッセイ  名画座という名のタイムマシン

◆ 池袋・文芸坐までの ロング・アンド・ワインディング・ロード  <その2>

 池袋の「文芸坐」ってのは今もある、名画座の老舗も老舗(現在は新文芸坐)。

 かつては「人生坐」って館名で、大島渚監督が松竹を退社するキッカケとなった曰くの『日本の夜と霧』(昭和35=1960年)を敢然と上映した映画館ってことで有名で(って事は後で知ったけど。※1)、今村昌平監督の鬼ような傑作『復讐するは我にあり』(昭和54=1979年)で殺人犯の緒形拳が愛人の小川真由美と戦争映画 『ヨーロッパの解放』 (第三部「大包囲撃滅作戦」、1971)を観に行くシーンで、この文芸坐のエントランスがドーンと出てくる。入口の四角い枠に、アラン・ドロンやカトリーヌ・ドヌーブ、キャサリン・ロスやダスティン・ホフマンなどの顔写真ズラ~ッと張られた、いかにも〝シネマ~〟な感じのファサードが好きだった。

 ・・・で、ジャズ野郎は毎回、フーゾク店のしつこい客引きを振り切ってこの「文芸坐」の入り口に飛び込むような調子で・・・それがシンドかった。そのうち、「文芸坐」に行く時には、東口からストレートにソッチ方向に行くんじゃなくて、通りの向かいにある三越の側に渡ってそこから迂回(立ちそばの「富士そば」なんかがあった方)して、遠回りして「文芸坐」に行ったもの。

 とにかく、あの界隈の汚らしい、場末を絵に描いたようなキャバレー街、フーゾク街はイヤだったネ。映画は観たかったけど、あの中を突っ切っていくのは嫌だった。

 普通ならこんなふうに書いた後、

              「でも今はいい想い出デス!」

 なんて有り体に締めるもんだけど、とてもそんなふうには締められない。いい想い出なわきゃあないんだもん。新宿・歌舞伎町の中を突っ切ってミラノ座や東宝プラザに行くのも苦痛だったけど、あそこはまだ舗道が広いし、劇場に行くのに幾つかルートがある。池袋東口から文芸坐までは、あの細い、ゴミゴミした、ゲロの匂いが漂っているような中を行かなきゃいけない。

                でも、行きましたよ。映画観たかったからね。

黒澤明や今村昌平、川島雄三岡本喜八の映画に出会うために、嫌悪感に耐えて通り抜けた。


         そういう意味じゃ、やっぱり〝いい想い出〟なのかなあ・・・。       <続く>


※1 『日本の夜と霧』上映中止事件  大島渚が脚本・監督した、60年代の安保闘争をめぐる世情不安と学生運動の挫折を鮮やかに叩きつけた政治討論(告発)映画。元来、女性映画がウリのナンパな松竹では通るハズもないこんなヤバい企画を、大島監督とその一味はお堅い松竹映画の上層部( 城戸四郎 )をダマくらかして、当日、撮影する分のシークエンス(シナリオ)をその日その日〝号外(改変もしくは書き直したシナリオ)〟として俳優やスタッフに配ったり、ワンシーン・ワンカットの早撮りで素早く仕上げて、堂々全国公開(昭和35年10月9日)させるに至ったが、その上映4日目に日本社会党・浅沼委員長刺殺事件(同年10月12日)が発生すると、松竹は直ちに同作の上映を中止した。
 表向きの中止理由は「興行不振」だが、浅沼事件を誘発したとの批判を避けるためだった模様(一説にはさる方面から圧力が掛かったとか。最近のテレ朝「報道ステーション」の古賀氏降板騒動じゃあるまいし、そんな事あるわけないよね・・・ン?)。
 とにかくそんな中、人生坐はオクラにされた『日本の夜と霧』を上映し、マスコミや知識人の喝采を浴びたのでありました。


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◆ 第3 の文芸坐、ル・ピリエの想い出  

 当時、池袋・文芸坐ってのは、洋画の名作(全国公開のロードショーが終わった新作とか『ローマの休日』といった往年の名作)をかける地上(1階)の「文芸坐」と、日本映画をかける「文芸地下」(後に「文芸坐2」)とひとつの建物に2館あって、「文芸坐」と「文芸地下」とは入り口が別っこで離れていた。で、その真ん中に芝居をかける 「文芸坐ル・ピリエ」 ってのがあって、ココは小さくて狭い、たしかすり鉢型の劇場で、芝居を演る時はその(すり鉢の)底(のステージ)でやるんだろうけど、ココでも映画の上映があった。

 オーソン・ウェルズ 『市民ケーン』 (1941)を初めて観たのはココで、大学に行く前にココでソレを観て感激し、大学に講義を受けに行ったもののその感動が抑えきれず、ノコノコともう1度観に行った。つまり1日に同じ映画を2度観に行ったのだが、劇場に居続けして2度観る事はあったけど、1度出てまた入館して観たってのは『市民ケーン』だけ。その1度目か、2度目の時かは忘れたけど、スタッフ・クレジットの所で

            「編集 : ロバート・ワイズ マーク・ロブスン

の名前を発見した時には感激した。その事を知らなかったから。

            「エエッーーーッ?! オオオオーーーーッ!!!」てなもん。

 ロバート・ワイズ( 『ウエストサイド物語』 『サウンド・オブ・ミュージック』の監督) も
 マーク・ロブスン( 『チャンピオン』 の監督)
 も知らない人には何のコッチャの話でしょうけど。

 ル・ピリエでは マーロン・ブランド (初)監督・主演のカッタるい西部劇 『片目のジャック』 (1960)と スティーブ・マックィーン の復讐ウエスタン 『ネバダ・スミス』 (1966)も観たんだよね。『ネバダ・スミス』はTVで観てたけどノーカット版は初めてで、ダラダラと長ったらしくて、マックィーン・ファンだったけれどエラく退屈した記憶がある。いかにテレビで巧く切ってたか、ってことですよね。テレビ放映版ってのもバカに出来ない。

 でも、このル・ピリエで上映していた名作映画はきっと16㎜プリントだったと思う(確か貰ったプログラムにも16㎜って但し書きがあったような)。当時はビデオのレンタルが始ったばっかで、ビデオデッキなんか高額で、当然、ジャズめは持ってなかったから、こういう観たい過去作品を観れる機会は貴重だった。16㎜でもなんでも良かったんだ。

               *     *      *

 大学2年の年(昭和58=1983年12月5日)に、ハリウッドの男性派アクションの巨人、ロバート・アルドリッチ監督が亡くなった。その年末か翌年の1月か2月に「アルドリッチ追悼」と題して恵比寿の小さなホールで上映会があった。それも確か16㎜のプリントだったと思う。上映した団体は「捜索舎」(*1)といったから、きっと映画好きな人達だったと思うけど、上映されたアルドリッチ作品 『特攻大作戦』 (1967)を観ていたら、後半、いきなりラストに出てくると思われる襲撃シーンが始まった・・・・そう、フィルムを間違えてかけてしまってたんですよね。終わりの巻を、その前の巻と間違えてかけてしまった!
 ジャズ野郎はこの映画初めてだったけど、集まっていた面々は観ながら薄々、

         「コレ、ラストの巻じゃね? フィルム、間違えてね?」

って思ってた。案の定、映画が終わって室内が明るくなった時、「捜索舎」の人が「スミマセン、フィルムを掛け間違えました。一つ前から始めますので、よろしくお願いします。本当にスミマセン」
 と平身低頭、謝罪して、ラストの1つ前の巻から再度の上映が始まった。始まったけれども、その後のクライマックス、襲撃シーンをあらかた観てしまっていたので、ノレず、白けてしまった記憶がある。

 でも、こういう事は当時、よくあった。一流の名画座でだって、フィルムの掛け間違いなんか、さんざんあったからネー。謝って、再度上映してくれた「捜索舎」さんなんか、むしろ良心的な方です。

 ま、コレは文芸座ル・ピリエとは何の関係もない話ですが。同じ小さなホールの上映会だったから、思い出して書いてしまいました。 <続く>

*1 「捜索舎」 これも映画マニアには説明の要はないと思うけど、ジョン・フォード監督の名作ウエスタンに『捜索者』(1956)というのがあって、この団体名はきっとそれのモジリでしょう。映画好き、って事ですよね。


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
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すくり~んエッセイ  名画座という名のタイムマシン

◆ 文芸坐とて 極楽 <パラダイス> ではない ・・・  <その1>

      文芸坐リーフレット
      ▲ 文芸坐リーフレット。今手元に残っているのは、なぜか1984年
        (昭和59年)のものばかり。


 文芸坐もよく通ったのは、洋画をかける「文芸坐」よりも、邦画の旧作をかける「文芸地下」の方だった。劇場スタッフが「小津安二郎週間」とか「任侠映画特集」とか頭をひねって企画を立て、番組を組んで、それで

           「オ、今週は溝口健二か」とか
           「来週から鈴木清順特集なんだ」
           「次にやる川島雄三は全部観よう」

といった具合にチェックして、手帳にそのスケジュールを書き込んでセッセと観に通う。

 前にも号外コラムの 【人生で一番長~~くいたい場所 <その12>】 (2014年7月2日付) で紹介したけど、映画を観に文芸坐に行き、入口で半券を切ってもらう時、二つ折りの小さなリーフレット 「ぶんげいしねうぃーくりぃ」 をくれるのだが、そこに月間の予定と細かい週間の上映作品リストが載っていて、それを観て上映作品をチェックした。
 その裏には、確か週末のオールナイト 「文芸坐10時20分」 の特集上映の番組が書かれてあって、そのタイトルが洒落ていた。

       「 悪魔 <シネマ> が夜くる 」

 説明する必要はないと思うけど、これはマルセル・カルネ監督の名篇 『悪魔が夜来る』 (1942・仏)のモジリ。映画ファンはモジリ好きです。。。

悪魔が夜くる
▲ 「悪魔が夜くる」 は文芸坐オールナイトの名惹句。


 で、そのオールナイトの番組に〝仁義なき戦い〟シリーズがよ~くかかってた。何かっていうと『仁義なき戦い』5部作(昭和48~49年・東映)一挙上映じゃなかったかな。『新・仁義なき戦い』全3部(昭和49~51年・東映、以上、監督は深作欣二)と工藤栄一監督による『その後の仁義なき戦い』(昭和54=1979年・東映)もまとめて、とかいったプログラム。あと小林正樹監督の『人間の条件』全6部(昭和34~36年・にんじんくらぶ他)とか、山本薩夫監督の長~いシャシン--、『戦争と人間』3部作(昭和45~48年・日活)とか『華麗なる一族』(昭和49=1974年)、『金環蝕』(昭和50=1975年・大映)、『不毛地帯』(昭和51=1976年・芸苑社)--かね。記憶にないけど、市川崑の金田一シリーズ(昭和51~54年)なんかもやってたんじゃないかな。
 やってたんじゃないかな・・・なんて言ってるのは、私、文芸坐、文芸地下(の昼間)はよく通ったけど、ここのオールナイトに行った事がないんです。

           な~んか、おっ怖くて・・・。

 オールナイトのラインナップに、去年亡くなった(高倉)健さんの任侠物( 『昭和残侠伝』 『日本侠客伝』 の人気シリーズ)や藤純子の〝緋牡丹博徒〟シリーズなんかもあったと思うけど、こうしたヤクザ物に当時、エラい拒否感がありまして。で、そういうのを観に来る客ってのは、そういう方面の人が多いんじゃないかと。スジもんじゃなくても、任侠・実録モノの映画に熱狂する人達ってのは、同じ映画ファンでもどうも、なんか、怖かった。怖い雰囲気があるような気がして、だから映画観てても、突然、刺されたり、殴られたりすんじゃないか、って・・・。

オールナイト
▲ 文芸坐リーフレットの裏表紙にオールナイトのプログラムが載っていた。
 この時は長谷川一夫特集に、日活アクションのアンソロジー『アゲイン』を
 始めとした日活作品、キューブリック特集に「工藤栄一の美学」、神代辰
 巳のロマンポルノ傑作選なんていかにもオールナイトなプログラムですナ。


 そういう恐怖心(ビビリ)から文芸坐のオールナイトには行かなかった。ジャズ野郎が初めて行ったオールナイトは、新宿・歌舞伎町にかつて「歌舞伎町松竹」って劇場があって、そこでやった今村昌平特集。確か今村作品を3本上映したと思うけど、他の2本は忘れたが、『神々の深き欲望』(昭和43=1968年・今村プロ)を上映したのは覚えてる。そして、そのほとんどを寝てしまった! 
 最終の3本目が『神々~』で、確か一番眠い深夜の3時、4時ごろ。しかもこの映画長いんだよな、3時間くらいある。寝て起きたら、まだ三国連太郎が始まった時と同じ感じで沖縄の海に浮かんでたから、「アレ、まだ同じトコやってんだ・・・」なんて思ったけど。太陽のドアップが出てきて、な~んか意味深な感じではあったが、内容はさっぱり(この映画を確実にチャンと観たのは、4、5年前、DVDで)。

 それはそうと、ヤクザ映画を上映してるからって、それを観に来てる客が殴ったり蹴ったりと暴力ふるうことはない・・と思うでしょ? 
 ところがジャズ野郎はそれを目撃したんです。  <続く>


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
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新作プレビュー 『 マジック・イン・ムーンライト 』   <前篇>

◆ 今、最後のピークがウディ・アレンに来ている!

             マジック ポスター
             Photo: Jack English (C) 2014 Gravier Productions, Inc.


 この『マジック・イン・ムーンライト』の配給はロングライドさんだが、そこが配布してくれたマスコミ用プレスを見て驚いた。

 本作の監督・脚本の ウディ・アレン 氏はその頃から、つまり、1965年に俳優として初めて映画に出た 『何かいいことないか子猫チャン』 の時以降、ほぼ毎年映画に出たり、または映画を監督しているのである! 

 ホントにほぼ毎年なんだもんネ! 監督作を出してない時は、俳優として映画に出ていたり、時には年に2、3本の映画に関わるなど、まー、そのフットワークの軽さったらない。だけど映画は監督するのはもろん、脇役でちょっと顔を出すだけでも結構疲れる作業だから、こんなふうにのべつまくなし出てる(関わってる)、ってのは容易な事じゃない。フィジカルのみならず、メンタルだって相当にくたびれるもの。しかも、御承知のように、アレン氏はあの風体だ。あの虚弱(に見える)な体格、スタミナなんかありそうにないヤワな小男なわけで、エネルギッシュに映画の製作現場をこなしていく、って感じではまったくない。

 80歳になんなんとしても未だ女性問題を起こすクリント・イーストウッドならば、まだ判る--『アメリカン・スナイパー』みたいな重い映画を撮るのも、そしてアレン氏同様、年ごとにコンスタントに映画を監督するのも。
 あの鍛えられたボディに精悍なマスクだ、十二分にタフでまだまだ意気軒昂だものね、クリントさんは。

 ウディ・アレンはイーストウッドとは対照的というか、そのアンチテーゼみたいな人で、1970~80年代の 『アニー・ホール』 (1977)とか 『ハンナとその姉妹』 (1986)なんかじゃ、セクシーなマッチョ野郎を小馬鹿にし卑下したコメントをのたまわっていた我らのヒーロー(我らの、って〝ジャズ野郎の〟って事ですが)だった。普通に考えれば、もう映画は充分に撮ったから引退していい年頃なのに、未だコンスタントに1年1作である・・・・凄い、というか、なんなんでしょうね、このエネルギー。

 しかも毎年、作品を発表してるだけでなく、その内容が充実してて完成度が高く、平均点以上に仕上げてる。7割方、出来がイイんじゃないですか。プロ野球のバッターだったら、凄い打率です。


 ホントいうと、ジャズめはここ数年のアレン作品はあまりコンスタントに観てはいないんです。いろいろありまして・・・。で、ちょっと前に試写会で 『ミッドナイト・イン・パリ』 (2011)を観た。コレが・・・! まー、いかにもこの人が撮るような映画で、シャレててオモロかった。同じタイムスリップするって趣向でも、有名な文豪が集う1920年代のパリに飛ぶ、ってのがいかにもアレン氏の頭脳(アイデア)ですな。しかもとても展開が面白い。終盤に突然出てくる、あるシーンには大爆笑したし・・・。

 でも、「コレ、たまたま良かったんじゃないかァ」みたいにナメてたら、去年公開の 『ブルージャスミン』 (2013)。これがまた「なんて〝巧いんだい!〟」ってな仕組みで。
    コレ、試写で見逃してDVDで観たんだけど、ゴッツゥまいりました。


 ウディ・アレンは最初に書いたように、1960年代の後半からずーと映画に出、出るよりもかなり多くの映画で自ら監督をしていて、その長い経歴の中でピークと思われる時期が何度かあります。そのピークを説明すると長くなるのでやめますが、気付いたのは、

 アレ、今、晩年のアレン氏に、最後の全盛期ってのが来てるじゃないのか!

って事。

 今回の、手品師のオッサンと透視能力を持った不思議娘のロマンチック・コメディ、 『マジック・イン・ムーンライト』 は、もう、なんていうんですかね。古今亭志ん生(五代目)、桂文楽(八代目)ってあたりの落語の大師匠の域(呼吸)じゃないですかね。


       粋で洒脱で・・・つまり 〝名人芸〟 ってことですが。      <続く>


  マジック サブ1
  ▲ うら若き女占い師ソフィ(エマ・ストーン、左)を疑う〝東洋の魔術師〟ウェイ・リン・スーこと
    スタンリー(コリン・ファース)。Photo: Jack English (C) 2014 Gravier Productions, Inc.

     『 マジック・イン・ムーンライト 』 公式HP : http:// www.magicinmoonlight.jp

 ■ 4月11日より東京・新宿ピカデリー &丸の内ピカデリー &
        Bunkamuraル・シネマ & シネ・リーブル池袋&品川プリンスシネマ、
        札幌シネマフロンティアほかにて全国ロードショー
               提供:KADOKAWA、ロングライド     配給:ロングライド ■



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新作プレビュー 『 マジック・イン・ムーンライト 』   <後篇>

◆〝ワケありの恋〟はアレン映画の常、でも最後の最後に・・・

  マジック メイン
  ▲ 腹の探りをするスタンリー(コリン・ファース)とソフィ(エマ・ストーン)。
    そんな二人がいつしか恋に・・・。
    Photo: Jack English (C) 2014 Gravier Productions, Inc.


 お話は、毎度お馴染みのトラブリィな、ワケありの、そしてどこかコミカルな恋愛話・・・・・・・・・・・・・・なのに楽しい!
               なのに可笑しい!

加えて申せば、

               なのに泣ける!!! ですか。

 マジック、マジシャンが主人公だけにタネも仕掛けも大ありなので、あんまり詳しいことは書けないが、それでもちょっぴりストーリーを紹介すると--

〔 時は1928年--ベルリンの大劇場で、奇抜な大魔術をして見せて観衆のド肝を抜く中国人奇術師のウェイ・リン・スー(これがいかにも フーマンチュウ って感じで)。このスーさん、実は中国人ではなくイギリス紳士のスタンリー (コリン・ファース)が変装した仮の姿なんであるが、そんな彼の許に幼なじみのハワード (サイモン・マクバーニー)がやってきて、「ちょっと相談にのってくれないか?」。
 その相談とは、資産家のカトリッジ家になにやら怪しい女占い師が入り込んで、カトリッジ家の御曹司ブライス (ハーミッシュ・リンクレイター)をたぶらかして玉の輿に乗ろうとしているから、その悪企みを暴いてくれ、と。
 占いだけでなく過去の出来事までズバリ当てちゃう女占い師のイカサマを見破って欲しい、との依頼を受けて、誇り高きマジシャンで自信家のスタンリーは、カトリッジ家の別荘のある南仏へ。
 そこで彼は女占い師ソフィ (エマ・ストーン)と顔を合わせるが、食わせモノと思い込んでいたその女は意外に若くて聡明な娘さんでありまして・・・。 〕



 『英国王のスピーチ』 (2010)でオスカーを受賞してアメリカでも〝全国区〟になった英国俳優の コリン・ファース と、『アメイジング・スパイダーマン』(2012)のヒロイン役や『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(2011)、今回アカデミー作品賞に輝いた『バードマン』(2014)に出演して心境著しい エマ・ストーン が繰り広げる、恋のさや当て、というか、恋の化かし合い。
 これは、今まで何度もアレン氏が描いてきたプロットだし、オールディーズなジャズをバックに、白抜き文字で出されるタイトル&クレジットの出だしも(そしてエンディングも)何度観たか分からない。それは今回もまったく同じで、淡々としたいつもの調子。

 あー、またこの調子かい・・・と最初はやや飽きもするんだが、観ていくとアレン氏の巧みな演出にのっけられて、笑わされて、スカされて、翻弄されて・・・とこれまた、毎度のようにたっぷり楽しまされた。

 たとえば、『メリンダメリンダ』(2004)や『マッチポイント』(2005)を出した頃は手詰まり感があったよね。『マッチ~』は批評ウケが良かったから観に行ったら、なんてこたぁない、昔の 『インテリア』 (1978)とか 『重罪と軽罪』 (1989)の蒸し返しって感じで、軽味がなくってタイクツした(もっともアレン氏の映画には大別して、軽いヤツと重いヤツと2つあると思うのですが、『マッチ~』は後者だったような)

 だから、この人もそろそろ(終わり)かなぁ、なんて思ってたら、80歳になんなんとして、こんなシャレたヤツを出してきた。それに驚いたし、ウーム、マイッタってところですか。

  マジック 降霊祭
  ▲ 富豪一家に招かれて、リビングルームで降霊術を行うソフィ(E・ストーン)。
    そんな彼女のウソを見抜こうとするスタンリーであったが・・・。
    Photo: Jack English (C) 2014 Gravier Productions, Inc.


 何度も言うけどマジック=ダマシ、マジシャン=詐欺師、トリック=ひっかけ が仕掛けられてる映画だから内容に則したことはあまり書けない。
 でも観ながら思ったのはヒッチコック 『ファミリー・プロット』 (1977)ですかね。ヒロインのソフィが透視能力を活かして降霊術をやったりするシーンがあるから、同様のシーンのある『ファミリー・プロット』が思い出されたんだけど、それだけじゃない。
 だけどその〝それだけじゃない〟理由は語れない。『マジック・イン・ムーンライト』のネタ(オチ)にも関係しちゃうから。

 それにウディ・アレンの映画とヒッチコックの映画って、似てんだよね(おそらく誰も指摘してないだろうけど)。内容はともかく、仕組みが似てる。二人とも監督としては同じテクニシャンで、出来上がりが、いつも同じ感じで・・・誰が観ても、「あ、コレってウディ・アレンの映画だろ」とか「コレ、絶対ヒックコックじゃん」と思わせる(判らせる)あたりの極まった作風ってのが同じだ、と思うんですけど・・・。

 最後に、劇中で気に入ったセリフがあったのでメモってみました。今回のアレン作品のテーマは、これに尽きますな。


          〝 たとえ神がいるとしても、この世はマジックでまわってる 〟


   『 マジック・イン・ムーンライト 』 公式HP : http://www.magicinmoonlight.jp

■ 4月11日より東京・新宿ピカデリー & 丸の内ピカデリー &
          Bunkamuraル・シネマ & シネ・リーブル池袋 & 品川プリンスシネマ、
          札幌シネマフロンティアほかにて全国ロードショー
                 提供:KADOKAWA、ロングライド   配給:ロングライド ■



< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
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新作プレビュー  『 妻への家路 』   < 前篇 >

◆ お久しぶりのコン・リー、入魂の演技

  コン・リー メイン
  ▲ チャン・イーモウ映画のアイコンとして『紅いコーリャン』『菊豆』『紅夢』『秋菊の物語』『活き
    る』『上海ルージュ』『王妃の紋章』に、またチェン・カイコー作品『さらば、わが愛/覇王別
    姫』などに出演してきたコン・リー。〝中国の(山口)百恵ちゃん〟なんて呼ばれてたのも
    今は昔。 (C)2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved


 お久しぶり、 っていうのはジャズ野郎がこの人の映画を最近観てなかっただけのことで、この間も堅実にお仕事してたんだろうけど、プロフィールを見たら5年前の 『シャンハイ』 (2010)に出てる。この映画観てるけど「出てたかなぁ」ってほどの希薄な印象でありまして、やはり コン・リー といえば 『紅いコーリャン』 (1987)あたりから続く チャン・イーモウ 監督とのコラボ作、当時(90年代)話題になった〝アジアン・ニューウェイヴ〟の諸作が有名で、評価も高い(因みにチャン監督は中国映画界の第五世代)。

 そのチャン監督とリーさんは、一時、不倫関係にあって、それでチャン監督は前妻と別れることになったのだけれど、結局、二人は一緒にならず。コン・リーはシンガポールの実業家と結婚(中国国籍からシンガポール国籍になったことで、中国ファンから〝中国を捨てた〟などと批判された)したが、その後、離婚。
 一方、チャン監督は再婚した妻との間に子供を3人もうけており、さらに隠し子が複数あって計7人の子供がいることが当局にバレ、それが「一人っ子政策」に違反するとかで罰せられ、17億とも26億ともいわれる莫大な罰金を支払うことに(実際の罰金は1億3千万円だったようだが)・・・などといったネガティヴイなデータは、配給元のプレスには書いてないけれど、今回の作品の場合、むしろ載っけといた方がいいんじゃないですかね。

 実人生における二人の〝愛と事件〟を頭に入れて観た方が、より感慨が増しますから。


 ともかく--そんな〝花も嵐も踏み越えた〟二人が、今ここで再度タッグを組んで見せてくれるのは、なんと涙涙の夫婦愛の物語だッつうから、なんとも皮肉! 
 でも中味は良いです。
 「アン・リー監督が絶賛した」 とか 「スピルバーグ監督が観て1時間も泣いていた」 っていうのも、分からないではないが、この作品は甘くない、甘い涙は一滴も流れない
 最近の中国映画事情はよく知らんけど、こういう作品が出て来るってのはちょっと驚きでしたね。「エッ、こんな題材、厳しい統制下にある一党支配の中国で作っていいの?」って観ながら思いましたもの。

 描いてる時代背景が現代(の中国)じゃなく、文化大革命前後だからオーケーなのかな、などとジャズめは思いましたが、胸にジーンときましたよ。

 国家政策(権力)に圧殺される、一組の夫婦の愛と絆を厳しいタッチで描いてる。

 ここ5年間、ずっーと溝口健二って監督を追いかけてきたせいか、この映画を観ていると、コン・リー扮する女房の姿が、時折、溝口映画のヒロインのように思えてしまった。

 過酷な運命に弄ばれる、溝口描くところの非業な女たち、のように思えた。

 ストーリー展開も、本来ならば、いや、今の日本映画で描かれるとするならば、それこそ甘ったるい、予定調和な(下らない)話になりがちなものをググッと引き締めて、そして突き放す


     突き放すんですよね。ココに関心した。スゲェな、と思いましたよ。


 厳しい冬が永遠に続くような、この映画の寒々としたルック(映像の外観的ムード)、そして妻のコン・リーと夫役のチェン・ダオミンの交流は、〝名もなく、貧しく、美しく〟という感じで、どーしよーもない悲嘆の極地に観る者を突き落とす。

 泣きたい人はどんどん泣いて下さい。でも泣くよりも辛いこと(現実)がある--と思い知ることになります、きっと。
<続く>

ポスター
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          『 妻への家路 』 公式HP :http://cominghome.gaga.ne.jp/

 ■   3月6日より東京TOHOシネマズ・シャンテほかにて全国で順次公開中、
       4月18日より札幌・シアターキノにてロードショー  配給:ギャガ  ■


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
  確執とともに描いた、
        『 ラストシーンの余韻 』 〔電子書籍版〕、
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新作プレビュー  『 妻への家路 』   < 中篇 >

◆ 〝心の旅路〟を終えても、埋まらない〝空白〟と〝孤独〟

 駅での激走
 ▲ ワンイー(コン・リー)は手作りの饅頭と衣服を渡そうと夫に駆け寄るが、
   駅構内にはすでに当局の張り込みが・・・。
   (C)2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved


 先に〝名もなく、貧しく、美しく〟なんて書いちゃったから、ちょっとした映画ファンなら、松山善三監督の秀作 『名もなく貧しく美しく』 (1961)のような障害者(聾唖)夫婦の物語なのかな、と勘ぐっちゃうでしょうが、そうじゃありません。でもややそれに近い部分はあります。粗筋をば

〔 大学教授のルー・イエンシー(チェン・ダオミン)は、共産党体制に逆らう〝右派〟と目されて逮捕され、家族と引き離されて、地方で辛い強制労働を送っていた。しかし文化大革命まっただ中の1974年にこっそり村を脱走、妻ワンイー(コン・リー)と娘タンタン(チャン・ホゥイウエン)の住む都会に戻ってくる。
 党当局は先回りしてワンイーの自宅に押しかけ、「夫が帰ってきたらすぐに通報せよ」と釘を刺していく。土砂降りの夜、イエンシーは官憲の目をくぐり抜けて、妻子のアパートにやって来て、ドアの下に伝言を残す。

             「明朝8時に、駅の陸橋で」

 夫の待つ駅に向かうワンイー。しかし、そこにはすでに夫を検挙する人員がくまなく配備されていた。再び引き離されるイエンシーとワンイー。
 それから3年後、文革が終わり、ようやく解放されたイエンシーは家族のいるアパートへ向かう。そこで彼を待っていたのは夫の姿を認識できなくなった愛妻の憔悴した姿だった ・・・ 〕



 再会
 ▲ やっと夫と再会できたのに、ワンイーには目の前の人物がイエンシー(チェン・ダオミン)だと
   認識できない。(C)2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved


 〝名もなく~〟もそうだけど、〝妻への家路〟ってこの邦題がミソですよね。これを聞いて、「コレって、きっとアレじゃない?」って考えたアナタは察しが早い。そう、ジャズ野郎もすぐにコレは マーヴィン・ルロイ 監督による往年の名作 『心の旅路』 (1942)にひっかけた題名じゃないか、と思いましたよ。この映画タイトル、原作本(邦題)からしてそうだから、この書名を付けた人がヒネッたんでしょうが、巧いネーミングですよね(映画の原題はただの〝帰来(帰郷)〟=Coming Home 。原作本の中国語の原題は難しい漢字表記なので省略)。

 映画『心の旅路』は戦争で負傷して記憶喪失になった夫(ロナルド・コールマン)の記憶を甦らせるために、妻のグリア・ガースンが夫の秘書になって献身的に仕え、ついに彼(の記憶)を取り戻すまでの感動篇。コールマンは記憶喪失だから、自分の妻が秘書になって甲斐甲斐しく働いてても、その女性が我が妻だとは気付かない--夫の容姿が判らない妻に、夫が自分の手紙を読み聞かせる『妻への家路』と設定が逆ですけど、通底するものがあります。

 この『心の旅路』の、クライマックスに向かう途中で、

             〝豆スープみたいな霧だ〟

 って台詞が出てきますが、これは映画マニアの和田誠さんが自著の名台詞集 『お楽しみはこれからだ!』 (文藝春秋) の中で書いてくれていて、ジャズめもそれで覚えてる。その時はまだ『心の旅路』を観ていなくて、後にこの映画を観た時、この場面にきたら、すかさず声に出して「豆スープみたいな霧だ」って一緒に言ったもの。
 これは、豆スープみたいに、深く煙った濃霧だ、って意味だけど、『妻への家路』にこの霧は出てこない。霧のかわりに出てくるのは、寒々しい冬景色と冷たい雨と雪だけ。

 この寒々しい冬景色と雨・雪は、一定の安定は取り戻したけれども張りと艶を失った、文革後の中国庶民の心象風景のよう。脱色したその風景がレンガ造りの古ぼけた家や煤けたアパート群とともに、いつまでも心に残る。

 そんな街の中で、精神を病んだ妻と、その妻に追放中に自分が書いた手紙を読む〝親切な人〟となって読み聞かせる夫の数十年に渡る交流が淡々と描かれる。ある瞬間には優しくなったり、記憶の一部を思い出したりするが、急に邪険になって夫を「泥棒」「暴漢」扱いして追い払ってしまう妻。彼女は夫を夫だと認識できないから仕方がないのだが、それにしても切ない。切なすぎる。    <続く>

 手紙の存在
 ▲ 地方で強制労働している夫が出した手紙を引っ張り出して読むワンイー。この手紙がワンイ
   ーとイエンシーを結ぶ絆に・・・。左は娘のタンタン(チェン・ホゥイウエン)
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            『 妻への家路 』 公式HP :http://cominghome.gaga.ne.jp/

 ■   3月6日より東京TOHOシネマズ・シャンテほかにて全国で順次公開中、
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新作プレビュー  『 妻への家路 』   < 後篇 >

◆ コン・リー、愁いを帯びたその視線のゆらぎ

  老け役のコンリー
  ▲ 一見、健康そうに見えるワンイー(コン・リー)だが、その内面(精神)は
   元に戻らぬほどに重く・・・。
   (C)2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved


 妻のワンイーがこんなになってしまったのは、もともと支配体制の横暴、つまり政府の急進的な政策転換のせいだから、それってそのまま政府(共産党)批判にも繋がる気がするなあ・・・。

 などと考えていたら、プレスシートの中で、中国語翻訳家で通訳の水野衛子さんという方が興味深いことを書いている。


 中国映画では、文革を描くことよりも反右派闘争を直接描くことのほうがある意味タブーとされているとも聞く。                         (『妻への家路』プレスシートより)


 この場合の、中国における〝右派〟とは(タカ派的意味合いの)右翼ではなく、共産党に批判的な自由主義者のことを指すのだそうで、彼ら右派を弾圧する側の国家権力(共産党)と右派との戦いが 〝反右派闘争〟ということで、『妻への家路』の背景にあるのはまさにこの反右派闘争であり、右派に属するチャン・イーモウ監督がこれ(タブー)を描くということは、まさしく〝命がけのプロジェクト〟ってことになる。

 チャン・イーモウとコン・リー --それぞれ人生で痛みを経験した、かつての恋人同士が力を合わせて、このタブーな題材に身体ごとぶつかっている、と考えると感動が倍加する、と思うんですけどネ。

 それにしても、娘のタンタン(チャン・ホゥイウエン)の顔は判るのに、あれだけ待ちこがれた最愛の夫の顔が判らない、という 心因性記憶傷害 に罹ったワンイーを、コン・リーはうつろな目(目線)でよく演じている。美形で男好きする容姿だからチャン・イーモウ監督作 『上海ルージュ』 (1995)で見せた、ギャングの情婦の歌姫みたいな艶っぽい役も似合うんだけれど、個人的には同じチャン監督作品の 『秋菊の物語』 (1992)での、役人に食ってかかる地方村の学のない田舎っぺなオッ母さん役が好きで、これは大いに可笑しかった。母は強し、というか、がむしゃらに生きてる庶民の逞しさ、大らかさが満ちあふれてて、「へー、こんな役も演れんだな」なんて感心したもの。

 今回、コン・リーは精神に異常を来した、この妻を演じきる。認知力に不安はあってもシャンとしていて凛々しい。でもその凛々しさが却って痛々しく感じられて、彼女を襲った悲劇が余計に過酷に思え、意地の悪~~い因果な宿命に思えてくる。
 しかもこのドラマは数十年にも及び、コン・リーは白髪の老女になってきて、つまり老け役を演ることになる。 『紅いコーリャン』 から20年以上も経っているのだから、老け役はもはや〝老け〟ではなく、年齢(今年、五十路)よりちょっと上で、ある意味、歳相当と言ってもいい。とはいえ、まだ充分キレイだから遜色はないのだけれど・・・。

     ただ、愁いを帯びて、宙をさまよう、その視線のゆらぎ、がとても切なかった。

        またそんな彼女を支え続け、見つめ続けるチェン・ダオミンの夫も・・・。


  妻のために手紙を
  ▲ 保存していた夫の手紙を大事に手に取るワンイー。イエンシー(チェン・ダオ
    ミン)は自分で 出した手紙を妻のために朗読する。自分がココにいることを
    知らせるために、そして自分の〝かくも長き不在〟を終わらせるために。
    (C)2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved


 この映画は文化大革命のさ中、もしくはその後の物語だけど、その文革時代の政策に 「下放政策」 (1968~1978)ってのがあって、思想的に問題のある人物(共産党の主流派に批判的な党幹部や文化人、インテリ・マスコミとその親族)を毛沢東の命により、地方に送り出し(追放)、数年間は中央に戻さなかった。そんな地方隔離みたいな時期があり、チェン・ダオミンが扮した夫はまさに思想犯として下放されたのだけれど、その頃を描いた映画に 『小さな中国のお針子』 (2002・仏、ダイ・シージエ監督)というのがあって、これもいい青春映画だった。
 反革命分子の子供だというだけで、親と引き離され、地方に送られた二人の青年が、現地の村の少女と出会い、二人ともその娘が好きになって・・・というトライアングル・ラブ物だったけど、若い演者とタッチが瑞々しくて、とても豊潤な気がした。

 厳しく、突き放した『妻への家路』を観ながら、甘くメランコリックな『小さな中国のお針子』が時折、脳裏に閃いた。


        ひと口に中国といっても、いろんな 貌 <かお> があるんだネ。


  夫のイエンシー
  ▲ アパート上階の部屋にいる妻を、そのそばにある陋屋から見守り続けるイエンシー。
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新作プレビュー    『 セッション 』









       D o n ' t  M i s s  I t! ・・・・・・・  見 る べ し !










               『 セッション 』 公式HP : session.gaga.ne.jp


   セッション
   ▲ フレッチャー( J・K・シモンズ )という名の〝 鬼 〟を目撃する。
     (C)2013 WHIPLASH, LLC. All Rights Reserved.


           ★ 監督 & 脚本 : デイミアン・チャゼル
           ★ 撮影      : シャロン・メール
           ★ 編集       : トム・クロス
           ★ 音楽       : ジャスティン・ハーウィッツ
     ★ CAST : マイルズ・テラー / J・K・シモンズ / メリッサ・ブノワ

 ■  4月17日より東京・TOHOシネマズ新宿、
    札幌・ディノスジネマズ札幌劇場ほかにてロードショー   配給:ギャガ   ■



< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
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すくり~んエッセイ  名画座という名のタイムマシン

◆ 文芸坐とて極楽 <パラダイス> ではない・・・ <その2>

     また青春時代の名画座巡りの話に戻ります。しばし、お付き合いを・・・。

                 *****

 あゝ、あれは忘れもしない、昭和57年(1982)の秋、暴風雨の日曜日。
 下宿の窓ガラス、いや雨戸が風でガサガサ揺れて、打ちつける雨の勢いがハンパなかったからその朝、「あー、今日、観に行くの、止めようか」と何度思ったかしれない。

 でも、(小津の)何の作品だったか忘れたが、文芸地下で 小津安二郎 の映画を上映するんで、小津作品に疎かったジャズ野郎は、この機会に観ておこうと心に決めていた。
 ホントは小津なんて関心なかったんだけど、ま、やっぱり、教養のひとつとして観ておこうと。大学で、小津の話になっても話に乗れないと恥ずかしい・・・なんて事もあったし。

 ンでもって、意を決して、下宿を出て池袋へ。・・・でも今考えれば、ヤメときゃ良かった。

 文芸地下に着いて、真ん中からやや後ろの席に座って上映を待つ間、な~んか、変な感じがした。場内の雰囲気がオカシイ。どう見ても、小津映画を観に来るようなメンツじゃないのが客席にいる。チンピラ風というか、トッポそうな若いヤツ、そして酔っぱらったオッサンか肉体労働者ふうの方々。
 もっとも、文芸坐文芸地下ってのは、前のコラムでも書いたように、下品な場末のキャバレー街の中にあったから、例えば黒澤映画を上映するような時でも、そういう人達が客席に多くて、時折(というか、しばしば)、大声を上げたり、場違いな笑いを発してた。

 確か、黒澤監督が 『夢』 (平成2=1990年)を撮った時、ビートたけしがよく言ってた事に--

「 オレよ、『夢』観ようと思ってサ、池袋まで行ってヨ。そう、文芸座で。そしたらヨ、アソコ、柄悪いんだよナ、来てる客が。
 ド○タのオッサンやニイちゃんばっかでヨ。
 昼間から酒くらって、客席に大の字になって寝てヤンノ! 
 でよ、〝バカヤロー! 早く斬り合いヤレー!〟なんて、怒鳴ってやがんだゼ。
 クックック。だって黒澤の『乱』と間違って観に来てんだもん。
 ホント、どーしよーもないゼっての。
 『乱』も『夢』も漢字1字だろ、だから間違っちゃってんの。
 そんなもんコイツラに判りゃしねぇ、つゥーの!!! 」

ってのがあったけど、たけしが言ったように、文芸坐・文芸地下の客層ってのはそうしたものだったから、小津を上映するその日も同じような顔ぶれで、そんなに違和感を感じない・・・ハズだったが、それでもどうも荒々しいっていうか、落ち着かない感じだった。

 やがて、場内が暗くなって、映画が始まった--最初、アレ、コレって予告編かな、と思って観ていたが、一向にその予告編が終わらない。終わらないどころか、それこそが本編だったのだ。

 なんと、上映されたのは小津安二郎の端正かつ上品で閑静な〝美しき家族劇〟とは正反対の、石井聰亙監督によるブチャくれた 『爆裂都市 Burst City』 (昭和57=1982年)でありました!!!

      何で? イヤ、何なのこの映画?? 何でコレ上映すんの??? 
                小津安二郎はどうなった????

 とココにいたってもまだ事態が呑み込めぬジャズ野郎はそれでも黙って、その猛々しくも荒々しい『爆裂都市』を観たのでありました。暴走族まがいの武装集団がワイワイ叫んでケンカする様を全編暗~い感じで撮った『爆裂都市』を観続けたのですが、〝事件〟はその上映中に起こったのです。     〔続く〕


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
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すくり~んエッセイ  名画座という名のタイムマシン

◆ 文芸坐とて極楽 <パラダイス> ではない ・・・ <その3>

 スクリーンに向かって上手(右側)の前列端の方に、何人かの客が座っていて、その一番端の男が上映中にいきなり立ち上がった。

 上映しているのは前にも書いたヤンチャなヤンキー VS 暴走族のクラッシュ・ムービー『爆裂都市』だから、その熱気に当てられて騒ぎたくなったのか、と瞬間、ジャズ野郎は思いましたが、その男は隣りに座っていた男を
 「テメェ、何しやがんだ、この野郎!」
    と怒鳴りつけ、
    怒鳴られた方も向き合って
  「何だ、このヤロー!」
    と応じた。
 ふた言、三言、言い合っていたと思ったら、最初に立った男が傘(暴風雨の日だったから、みんな傘持ってますわな)でその男をバッシ!バッシ!と殴ったり、突いたりし出した。
 ケンカがおっ始まったから、もー場内は騒然、ジャズ野郎は蒼白!!!

        エー! なんでケンカ始めるン?   映画、観に来て・・・???

 やがて、お決まりのように取っ組み合いのケンカになって、前の方で怒声を発して殴り合ってる。もはや映画どころじゃないけれど、居合わせた観客はそれを「もっとヤレヤレー!」と囃し立てるふうでもなく、割りと静かに静閑してんですよね。コレには驚いた。いや、中には囃し立ててた輩もいたかもしれない。今、ジャズめが思い出すのは、突然立ち上がって傘でブン殴ってケンカしている二人の遠景、そのワンシーンだけ。
 雨風の強い日で傘の湿っぽい匂いが場内に充満し、肌寒かったから妙にうら寂しい気持ちでいたのに、その上に物騒なケンカがおっ始まったもんだから、もー

              「こんなトコにいたくない!!!」

 って半泣きになった。

 そして思ったのは「アレ~? 警備員はどうしたんだ?」ってこと。だって、文芸坐は警備員を常駐させてるってことで、映画の上映前にはいつも
「館内には警備員を配置しています。ケンカや痴漢などの迷惑行為をされたお客様には退席していただくこともあります」
 って場内アナウンスが流れていた。

 その迷惑行為が今まさに起こっているのに、どうした警備員!  なぜ来ない!

と思っていたら、かなりケンカが進行してから、のこのこ出てきて、主に傘で殴ってる男を制して場外へ連れ去っていった。殴られた男は、嗚咽か、酔っぱらっての呻きか知らないけど、ウーウー言いながらしばらく席にいて、やがて出て行った(と思います)。      〔続く〕


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『 ラストシーンの余韻 』 発売中!
映画ライター・高村英次、初の書き下ろし長編 『 ラストシーンの余韻 酒乱と失態、女難と頑迷、監督・溝口健二の狂おしき人生 』

高村英次

Author:高村英次
電子書籍版はアマゾン Kindleストア 及び 楽天ブックスから、紙の書籍版は製本直送.comより発売。直近の各コラムの末尾にある発売告知から販売サイトに遷移、またはポップアップ画面が出ますので、そこで購入できます。 

< プロフィール >
血液型:A型
趣味:サイクリング&ウォーキング&クッキング、デジカメでの写真・動画撮影
好きな場所:札幌ドーム、中島公園、中央図書館、豊平川
好物:コーヒー、ジンギスカン、スープカレー、ラーメン、「ロイズ」のソフトクリーム、「シャトレーゼ」のアイスバー・ピュルテ(塩キャラメル味)、びっくりドンキー、はま寿司、セイコーマート

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