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新作プレビュー 『ラン・オールナイト』<3>

新作プレビュー
05 /18 2015

◆ エド・ハリスとR・ニーソン、夜を徹した〝男の闘い〟

ラン・オールナイト 4 250
▲ 腹を決めてレストランで向き合うジミーとショーン(E・ハリス、左)
(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

 そんでもって最後は エド・ハリス ですか。

 なんだか、随分、お久しぶりな感じだけど、歳をとってさらに渋さが増しました。 うーん、なんだろう、この人の場合はハゲてても、ハゲてなくても、どっちでもかっこいいんだよね。こういう男になりたいよネ(なかなかなれないけれど)。

 エド・ハリスは前の『ラン・オールナイト』< 2 > のストーリーでも触れたけど、殺し屋ニーソンの親分役で、まあ、いろいろあって、結局・・・・と書き進めちゃうと、ストーリーの美味しい部分をネタバレさせちゃうので書けないけれども(といっても、まあ、判りますよね)、とにかくニーソンと構えるような、そういう状況になっていく。そうなった時のハリスの迫力というか気魄が凄いんだ。マフィアの凶悪な凄味ってのが、ギラッと表面に出てくる。

 さすが ・・・ と思いました。

 この人がこの手の殺伐系アクションで、こういう鬼神に満ちたツラを見せるのは、フィル・ジョアノー監督の佳作 『ステート・オブ・グレース』 (1991・米)以来かな、いや10年前の 『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(2005・米、デビッド・クローネンバーグ監督) でも片目の恐ぇ~男を演ってたっけ。

 その頃からエド・ハリスは心身ともにちっとも、なまってない。なまってないどころか、凄味が増している。
 リーアム・ニーソンの殺し屋は「怖い」とは思わなかったけど、エド・ハリスのショーンが怒った時はマジで「恐い」と思った。

 ショーン・ペンとかコリン・ファレル、ダニエル・クレイグなど、そのまますぐにヤクザ役が出来そうなゴロツキ顔っていっぱいいるけれど、とどのつまり、エド・ハリスみたいに普通は温厚そのものってなフツー人タイプには敵わない。こういう知的な感じでグレてるヤツが一番凶暴なんだ。

 だからエド・ハリスとリーアム・ニーソンの対峙ってのは、この映画のひとつのクライマックスなんだけど、それだけじゃない。趣向はまだまだいっぱいあって、こんなにいろんな事件があるってのに、一晩で描ききれるのかよ、って観てて思った。

 とはいえ「陽はまたのぼる」ってわけですよ。どんなに長い夜でも朝は必ずやってくる。
 この、先の見えない、先の読めない、逃走と追跡にも終わりはやって来る。

 その終焉がどんな具合に訪れるのか ・・・ まぁ、それを見ないでは死ねない、ですな。 <続く>

★★★ 公式サイト ★★★

■ 5月16日より東京・丸の内ピカデリー、ユナイテッド・シネマ札幌ほか全国ロードショー 配給:ワーナー・ブラザース映画 ■
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高村 英次

札幌在住の映画ライター。2013年よりスタートしたこのブログの他に「はてなブログ」でフォトブログ「日暮らしフォトブック」を公開中。

< プロフィール >
趣味:デジカメ撮影、動画制作、SNS
好きな作家:レイ・ブラッドベリ
好きな歌手:エラ・フィッツジェラルド
好きな場所:豊平川、北海道神宮、北大、八紘学園農場
好きな番組:「映像の世紀バタフライエフェクト」「アナザーストーリーズ」「ファミリーヒストリー」(NHK)/「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」(NHK Eテレ)/「イタズラジャーニー」(CX)/「錦鯉が行く!のりのり散歩」(HTB)/「サンドのぼんやり~ぬTV」(tbc)