新作プレビュー  『 42  世界を変えた男 』(1)

◆ 人種差別という<イジメ>に立ち向かった、魂の物語!

 本日10月25日から11月4日まで、【名作・迷作探訪】の連載を中断し、〝秋の新作プレビュー・ウィーク〟と題して、お気に入りの新作2本をご紹介。まずはコチラ・・・。

                  *****

 毎年、 4月15日 になると全メジャーリーガーは同じ背番号のユニフォームを身につける。その番号 - 42 -。
 その日は、アフリカ系アメリカ=黒人が初めてメジャーリーグのグランドでプレーした日であり、その黒人選手 ジャッキー・ロビンソン を讃えるための記念日である事は日本でもよく知られている。ロビンソンの話はそれほど有名なんで、伝記映画が出来た、と聞いた時は「今さら映画化?」という気もしないではなかったが、人種差別に立ち向かった男の忍耐と闘魂の物語だから、見れば、そりゃ、胸熱くなる話ばっかで、もう何回泣いたか・・・。

 それは起こるべくして起こったのであり、誰かが傷つかなければならなかったのだ。

 から始まる作家 ウィルフリッド・シード のコラム 「 一番、セカンド …… ジャッキー・ロビンソン 」( 常盤新平訳、『「エスクァイア」 アメリカの歴史を変えた50人 (上) 』 新潮社) の中に、ロビンソンが下部リーグからブルックリン・ドジャーズに昇格した当時の状況がこんな風に書かれている。

 南北戦争後の南部諸州再統合以来の反動的な運動によって、爪はじきされ、踏みつけにされ、殴られ、唾を吐きかけられながら、ジャッキーはキリストに似た我慢のこころをもって黒人選手の重荷を一身に背負った。百人のハンク・アーロンが素質を開花させることができるくらいの苦労に、二年以上も耐えた。その間、彼は私たちにとって公民権運動そのものだった。  

 文中の〝ハンク・アーロン〟をまさか知らない人はいないと思うが、しかし、今の若い人達は田中角栄も知らないっていうから、ちょっと説明しとくと、今、ソフトバンク・ホークスの球団会長である〝世界のホームラン王〟、王貞治さんがホームランの世界記録(打った本数)を塗り替えるまで、その座にいた人。いや、アメリカではおそらく今でも〝世界のホームラン王〟扱いされているのがアーロンで、そのアーロン百人分の苦労をロビンソンはたった一人で耐え忍んだ、というわけである。『 42 』で描かれるのは、その〝傷つかなければならなかった誰か〟の壮絶なる苦闘のドラマである。まずは粗筋をば--。

〔 第二次大戦が終結した1945年、ブルックリン・ドジャースのやり手会長ブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)は、グランド内での黒人差別の撤廃と観客数の増加を目論み、足の速い黒人選手ジャッキー・ロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)を黒人リーグから傘下のマイナー・チームにひっぱってくる。当時は、黒人は白人と同じ職場で働いてはいけない、同じ施設を使ってはいけない、といった人種隔離策を公認したジム・クロウ法が、南部には厳然としてあった(1876-1964年、施行)。
 しかし、リッキーは敢えてロビンソンをメジャー・リーグの大舞台に立たせるために、彼を加入させたのだ。バッターボックスに立つ前から、敵・味方より強烈なブーイングを浴び、わざと顔にビーンボールを投げられ、ロッカールームでも差別的扱いと言辞を浴び続けるロビンソン。
 2年後、その活躍が認められて、ドジャースに昇格し、黒人選手として晴れてエベッツ・フィールド(ドジャースのNY時代の本拠地スタジアム)の土を踏むのだが、そこでも観客や敵チームから猛烈なヤジとブーイングを浴び、チームメイトからも白眼視を受ける。
 しかしロビンソンは、リッキー会長から厳命された〝やり返さない勇気〟の心を忘れずに、ダイアモンドを駆け回る。そんなロビンソンの姿に、チームメイトの一人一人が考えを変え、彼と心を合わせていく・・・ 〕


 なんだかストーリーを書いてるだけで泣けてきますな。
 ロビンソンを演じる チャドウィック・ボーズマン は、容姿がロビンソンとクリソツってことで抜擢された若手の俳優さんですが、その芸歴のスタートは演劇畑で、そこで劇作も演出もやってきた才人。本格主演は今回が初めてですが、〝やり返さない勇気〟を黙々と演じてます。ロビンソン本人よりも、ちょっとだけハンサムですけどね。  〔続く〕

■ 11月1日より東京・丸の内ピカデリー、札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌ほか全国ロードショー 配給:ワーナー・ブラザース映画 ■


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