新作プレビュー  『 42  世界を変えた男 』 (2)

◆ ロビンソンをいきなり殴りつけたリッキー!

 『 42 』はメジャー初の黒人大リーガー、ジャッキー・ロビンソンの苦闘の物語と同時に、彼をメジャーに引っぱってきた偉大なる会長 ブランチ・リッキー の挑戦の物語とも言えます。リッキーとドジャースについては映画評論家の 川本三郎 さんが見事な解説を書いております。

 ドジャースはニューヨークの下町のチームだった。同じニューヨークに本拠地を持つヤンキースがマンハッタンのWASPに人気があったチームとすれば、ドジャ-スはアイリッシュや黒人らマイノリティに支持されていた。組織的な常勝チーム、ヤンキースが巨人とすれば、ドジャースは阪神のような存在だったといえばいいだろうか。
 
 そう、ドジャースは今でこそロサンゼルス・ドジャースだが、もともとはニューヨークはブルックリンにあった下町のチームであり、ドジャースの〝DODGER〟はブルックリンを走る路面電車にぶつからないように〝身をかわす人(トローリー・ドジャース)〟からきている・・・と、こういう細々したことを書いているとキリがないのでやめますが、そのリッキーを映画ではあの ハリソン・フォード が演じてます。うーん、どうでしょう、太っ腹なリッキーに見えますでしょうか? (ついでにハリソン、本作の製作にもかんでます) 

 ブランチ・リッキーはジャキー・ロビンソンのその過去に注目した。そして一九四五年の八月、球団事務所にジャッキーを呼んだ。面接試験である。

 文中の〝その過去〟とは、テキサスで白人兵士とケンカしてブタ箱にぶち込まれたロビンソンの武勇伝のこと。普通、そうしたトラブル持ちの選手は敬遠して、より穏健な人材を選ぼうとするものだが、そこは過去に監督も経験しワールドシリーズを制覇したリッキーだ。むしろそうした血の気の多い人物の方が、世間の囂々たる非難や迫害に耐え得る肝っ玉を持っていると読んで、ロビンソンに白羽の矢を立てた。
 リッキーは〝面接試験〟でロビンソンに差別的な発言や嫌がらせに、暴力で応じないこと(やり返さない勇気)を切々と解き、その終わりに--

 そしてブランチ・リッキーは椅子から立ち上がるとジャッキー・ロビンソンのところにいき、自分を見下ろしている黒人の大男の右頬をいきなり殴りつけた。
 殴られたロビンソンはにやりと笑っていった。
「私には頬がもうひとつあるのをお忘れですか」。
 それでジャッキー・ロビンソンのドジャース入りが決まった。
                    (以上、『スタンド・アローン』川本三郎、ちくま文庫)


 引用しておいてなんだが、この〝殴る〟件は映画には出てこない。出てこないのに何故紹介したか、というとお話として面白いからである。それに、『 42 』について書いてるのになんですが、ジャズ野郎は劇中で描かれるロビンソンの苦闘をあまり紹介したくないのです。
 なぜならば、そのロビンソンの物語は、その目で、スクリーンで、実際に見てほしいから・・・なんです。

 監督は、クリント・イーストウッドの『ブラッド・ワーク』(2002)、『ミスティック・リバー』(2003)のシナリオを書き、秀作『L.A.コンフィデンシャル』(1997)でオスカーを受賞し、時々監督もする ブライアン・ヘルゲランド が担当。今も全米各地に残る1940年代当時のクラシックなスタジアムをロケ場所に使っているから、

               ♪ 私を野球に連れてって ・・・♪ 

 といったレトロなイイ雰囲気が出ています。       〔続く〕

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