名作・迷作探訪 〔邦画篇〕  メガヒット映画の功罪 <その9>

◆ 『籠の鳥』  映画界を引っかき回した立石駒吉 <中篇>

 立石駒吉 は生粋の映画人ではなく、企業乗っ取りや仕手相場などに顔を出す右翼筋の総会屋みたいな人で、この時期、好況を誇っていた映画界に首をつっこんではいろいろと良からぬ工作を行った。帝キネに潜り込んだ立石は、柴田勝が言うように『籠の鳥』で儲けた金で、他社の人気スターを大量に引き抜いた。引き抜かれた側の松竹・城戸四郎(当時、蒲田撮影所所長)はこう書いている。

 それは蒲田のスターとしてヴァンプ役で賣つていた五月信子をはじめ、正邦宏、藤間林太郎〔藤田まことの父〕、それに監督の小澤得二等が五六人そろつて帝キネという会社に引抜かれたからだ。…(略)…。又 正邦宏というのは人がいい。相済みませんけれどもということで、姉に通して頼みに来た。僕の方は丸つきり知らなかったので、驚いて聞いてみると、立石駒吉が帝キネの金を使つて〔引き抜きを〕やつていることがわかった。
 …(略)…
 立石という男は、顔中髯を生やした刑事タイプのボスで、釆女町の〔松竹の東京〕本社にいた頃よく逢ったことがある。…(略)…。
   (『日本映画傳 映画製作者の記録』城戸四郎、文藝春秋新社) ※〔〕内、ジャズ野郎註。


 そして、引き抜きの一方で、アメリカ映画の排斥運動を仕掛けるのであるが、なんとコヤツはスター引き抜かれた側の被害者である城戸の前にヌケヌケと現れて、いけしゃあしゃあと「今こそアメリカ映画をボイコットしましょう!」てな調子で協力(共闘)を唱えるのであった。       〔続く〕


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