新作プレビュー  『 悪の法則 』  <後編>

◆ 一番の〝悪〟は・・・コレを見てニンマリするア・ナ・タ!

 犯罪映画もいろいろありますけど、この『悪の法則』で感心したのは、例えば事件の発端にあたる、ブツが盗まれるとか、その争奪戦での暗殺とか銃撃戦といったシーンは、第一の見せ場で普通は最初に描かれるものだが、それがないんですな。
 ないから、きっといつかは描いてくれるんだろう・・・と思ってましたが、最後までそれなしで進む! 本来なら、こういう事をしちゃ、オモロクならないんですが、そこんところがチョイと違う。その発端部分ってのは、実は弁護士やライナー、ブラピのブローカーなどが出て来るよりも前に、オープニングからずっと見せつけられていた、 〝ある物体(モノ)〟 だったのです。これを巡ってドンチャカ起こるわけ。

 で、その〝物体(モノ)〟っていうのは・・・もちろん、オフレコですわ、知りたかったら映画館へ行っておくんなはれ。

 そうですね、毎年作られてる犯罪映画を全部見ているわけではないんですが、こんな〝物体(モノ)にブツを隠す〟というその着眼の見事さ(というかエゲツなさ)は、もしかすると『マトリックス』(1999年)を作った ラナとアンディの兄弟監督ウォシャウスキー(*1) の初期の秀作 『バウンド』 (1996年)での現金の隠し場所以来じゃないですかね。
 純真な(?)ジャズ野郎などは、映画が始まって、ただボーッと見ていたけれど、途中で「エッ?! そうか、この中にあんのか!!!」って・・・もう声(ヘド)が出そうになりましたが、みなさん、どうご覧になるでしょうか?

 でも、この映画に登場する醜悪な人間達や展開するエゲツない事件の数々を見るに付け、〝この中に隠す〟というのは正解かもしれないな、と思いました。どいつもこいつも、この物体(モノ)と同じか、それ以上にダーティ(汚ッタネ)な奴らかもしれない。

 ダーティなモノや人間は出てくるし、キャメロン・ディアスのエロ過ぎるお馬鹿シーンはあるし、見所マン載で、結構、イッチャッテます。御年76才のリドリー・スコット監督にしちゃあ、上出来ジャンか! なんて思っていたら、脚本を書いたコーマック・マッカーシーはその監督を上をいく80歳だってんだから凄い。そんな高齢(おとし)で、こんなヒップでエロくてグロいクライム・スリラーを仕組むなんて・・・そのパワフルさに脱帽です。

 もう、ジジイなんて呼ばせないゼ、って感じですナ。

 片や、このお二人に比べれば、ジジイ歴で随分劣るジャズ野郎は、
「こういうテイストの犯罪映画って 『グリフターズ』 (1990年、スティーブン・フリアーズ監督)や 『ファイヤーワークス』 (1996年、マイケル・オブロヴィッツ監督)以来だなぁ」
てな感じで喜んでおりましたが(同種の作品に『氷の微笑』〔1992年〕てなポルノもありましたが・・・)、この両作はどちらも ジム・トンプソン 原作。トンプソンはあのペキンパー&マックィーンの 『ゲッタウェイ』 (1972年)の原作者。

 だからなのか、この『悪の法則』、どこかジム・トンプソンっぽい臭いがする。ねっとりした〝悪の華〟って匂いが・・・。その〝悪の華〟の甘くて痺れるような香りに鼻孔をくすぐられれば、思わずニンマリ。でもニンマリしたら(って誰もがニンマリすると思いますが)、貴方もコイツらと〝同罪〟ってことでっせ。心してご覧アレ!

       ■ 11月15日より全国ロードショー 配給:20世紀フォックス ■

*1「ウォシャウスキー兄弟」 そう、兄弟(監督)であったハズのこの二人、なんと兄のラナの方が性転換して女になった、とかでウォシャウスキー姉弟になってしまったらしい。うーむ、なんでだろう? とりあえず、そういう事ですから、ヨロシク!


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
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『 ラストシーンの余韻 』 発売中!
映画ライター・高村英次、初の書き下ろし長編 『 ラストシーンの余韻 酒乱と失態、女難と頑迷、監督・溝口健二の狂おしき人生 』

高村英次

Author:高村英次
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