新作プレビュー 『 ラッシュ / プライドと友情 』 <その2>

◆70年代の物語を70年代 <アナログ> な質感で再現

ラッシュ ハントのシャンパン・ファイト
▲ ラウダのライバル、ハント(クリス・ヘムズワース)のシャンパン・ファイト
(C)2013 RUSH FILMS LIMITED/EGOLITOSSELL FILM AND ACTION IMAGE.ALL RIGHTS RESERVED.


 熱きニキ・ラウダのレース人生は、彼一人だけで創られたのではない。ジェームス・ハントという最強のライバルがいてこそ成り立った。この二人の意地の張り合い、というか、火花散る敵愾心の激突 -ドラマ- が面白いから、惹きつけられるんです。 粗筋をば・・・。

〔 ともにカーレースの最高峰、F1グランプリへの出場を目指すレーサーのニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)とジェームズ・ハント(クリス・ヘムズワース)は考え方から性格まですべてが正反対。ラウダは超慎重な理論派、かたやハントはレース開始直前まで酒をかっくらって女とイチャついてるような、自堕落な、天才肌の〝本番に強い派〟。
 だからハントはF3時代からその天分で勝ち進んでいき、事前準備もなんもしない。金持ちの友人をパトロンに持ち、彼らを頼って「来年はF2で、再来年はF1(昇格)かな」などと人任せに考えている。
 一方、家が富裕なオーストリア人のラウダは、レーサー志望に反対する父親に逆らい、自分で金を集めて金欠なレーシング・チームに貸しを作って入り込み、いきなりF1レーサーになってしまう。
 コレを知ったハントはさすがに焦り、俄然、やる気を出して自らもF1レースに参戦。ラウダと熾烈なレースを演じて、年間チャンピオンを競い合う。
 そして〝F1史上もっとも劇的なシーズン〟と言われる、運命の1976年を迎える・・・ 〕


 その、もっとも劇的だった'76年シーズンのドイツ・グランプリ、雨のニュルンブルグでのレースで、例の、ニキ・ラウダが火炎に見舞われる大事故が起こるわけだが、そこへ行くまでに何度か描き出されるレースシーンは、まぁ、スピーディー(!)でダイナミック(!!)で、レーサー目線の主観ショットもあって(1シーンに30台ものキャメラを使用)・・・さらに言えばシンプル(短い !!!)なのがイイですな。シンプルで、かつダイナミック。
 ババババ・・・とスパークするよな編集で、まさに〝快感〟です。

 CG&デジタルの時代だから、これぐらいは撮るでしょう--コレぐらいのレース再現は簡単に出来る--なんて思われるかもしれないが、この映画、デジタルシネマであるにも拘わらず、オープニングから終わりまで、その色彩(映像)は70年代当時のちょっとモヤっとした、アナロギーなカラーで撮られている。
 これにまず「オー!」と思いましたね。1970年代の話だからカラー調整をそんな感じに、70年代レトロにしたのは当然だけど、例えば、昨年の『スティーブ・ジョブス』みたいな70・80年代を再現した作品(『ミルク』『アルゴ』など)では、衣装や髪型は当時のままでも、それを写した映像はあくまでもクリアなデジタルな質感で、フィルムのアナログ感ってものは感じられなかった。全篇、キラキラっとしてる。

 それが『 ラッシュ 』は、クリアなメリハリこそないが、最初から僕らが少年時代に映画館で観ていたフィルム特有の軟らかく、温かな人肌感覚のカラー(色彩表現)なんですよね。この質感、どうやって質感を出したかなぁ。

                            ラッシュ ハントと女たち
                            ▲ ハントと取り巻きの女たち
(C)2013 RUSH FILMS LIMITED/EGOLITOSSELL FILM AND ACTION IMAGE.ALL RIGHTS RESERVED.

 クリアなデジタル・ヴィジュアルが主流になって、時にはフィルム(映画)特有の曖昧で甘い質感や、8ミリ(映画)独特の粒子の粗い、クレヨンの殴り書きのような画面(えづら)を恋しく思う、ジャズ野郎にとっては、まさに、ガキの頃のラウダとハントの物語をそんなエマルジョン感覚な映像で描いてくれた事が、ことのほか嬉しゅうございました。    〔続く〕
 
     ■ 2月7日より東京・TOHOシネマズ日劇、札幌シネマフロンティア、
              ユナイテッド・シネマ札幌ほか全国ロードショー 配給:GAGA ■



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