新作プレビュー  『 トランセンデンス 』  <後篇>

◆ 〝暴走するコンピューター〟映画の進化形

 コンピューターやロボットが人間の意志や感情を持ち、それが高度化しすぎて人間を追い越し、逆に人間に向かって反抗・支配するようになっていく、という映画は今までにもいくつかあって、有名なところではスタンリー・キューブリック監督の 『2001年宇宙の旅』 (1968年・米)のコンピューター〝HAL9000〟とかアイザック・アシモフ原作の 『アイ,ロボット』 (2004年・米)とか。他にもいろいろあるでしょうね。
 ロボットが宇宙ステーションの女性(コレが、あの ファラー・フォーセット )に横恋慕してカーク・ダグラスと彼女を巡って争う珍作 『スペース・サターン』 (1980年・米)なんてのもあった。この『スペース・サタン』、栄えある ゴールデン・ラズベリー賞 の第1回受賞作品! しかも作品賞・主演男優&女優賞の3賞独占!! アハハ・・・ だから出来は分かるでしょ()。

 だから『トランセンデンス』もその系統なんだろう、と思って見ていたら、これがなかなかヒネッてある。どうヒネッてあるかは言いませんが、嬉しい誤算です。

アクション・シーン
▲ なんでしょう、このアクション・シーンは? コワイですねぇ、凄いですねぇ。
(C)2014 Alcon Entertainment, LLC. All Rights Reserved.


 ただジャズ野郎は、見る前に、この映画の監督さんが『メメント』や『ダークナイト』シリーズのクリストファー・ノーラン作品のキャメラマン( ウォーリー・フィスター )だと知って、危惧しました。だって、ノーラン作品のあの情報過多な、目まぐるしい展開の、ちょっと追いつけないような劇進行(運び)をそのままヤラレたんじゃ、たまったもんじゃない。だって、監督してる本人(ノーラン監督)しか解らないような、メッチャばたついた忙しいドラマなんか、見ちゃいられないでしょう。それに妙に哲学的(コジツケ?)なところもあって、分かりづらいし・・・。

 だから、そのノーラン監督チームのキャメラマンだから、きっと同じようにバタバタやってんだろー、と思ったら、これがスッキリと分かりやすくて、描写も丁寧。ビジュアルもキレイで、とてもいいですな。フィスター監督、大人デス。
 
 特にオープニング--デップ夫婦の友人で生物学者のポール・ベタニーが、廃屋と化したデップ邸を訪れて、

「僕は以前ここに住んでいた彼等を知っていた。
         二人は互いにとても愛し合っていた夫婦だったが、
                         今ココには誰も住んでいない・・・」

 てな内容の独白(ナラタージュ)から始まる導入部は、映画的というか、文学的でさえあって、クールな演出意図がシンと心に落ちてくる。その後は、テロ・アクションあり、ドンパチあり、とハリウッド映画らしくなってきてゴチャゴチャしちゃうのだが、そういった娯楽シーンもよく撮っている。

タガー博士とマックス
▲ タガー博士とともに電脳ウィルの暴走を危惧する、
 神経生物学者のマックス(P・ベタニー、左) 
 (C)2014 Alcon Entertainment, LLC. All Rights Reserved.


 ア、最後にもうひとつ。講演を終えたジョニー・デップを襲撃するテロ犯を演っているのが、あの ルーカス・ハース なんですよね。ジョージ・ルーカス(『スター・ウォーズ』の監督)じゃないよ、ルーカス・ハース! ハリソン・フォードの秀作 『刑事ジョン・ブック/目撃者』 (1985年・米、ピーター・ウィアー監督)の時、ハリソンと絡む子役で出演して、その当時、アイドル的な人気を博した。このハース君、その後、大人になってからも映画に出続けているが、さすがに主演や目立つ助演者ってわけじゃなく、よ~く見てると隅っこの方に「ア、出てる!」って感じの端役での出演がもっぱら。それでも結構出てます。
 例えばスピルバーグの『リンカーン』(2013)では、南北戦争に狩り出される従軍兵の〝その他大勢〟で出ていて、土砂降りの雨の中でつっ立たされていた。でも、ちょっとカメラが寄った時には「あ、ルーカス・ハースだ」って分かった。
 『トランセンデンス』ではもっと目立つ役で出てます。80年代の映画ファンのみなさま、ご注目下さい。         

■ 6月28日より東京・有楽町丸の内ピカデリー、
   札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌ほかにて全国ロードショー
                         ポニーキャニオン&松竹配給 ■


※「ゴールデン・ラズベリー賞」 通称〝ラジー賞〟。その年に公開された、一番くだらない、もしくは出来がサイテーな映画(の作品、俳優、スタッフ)に贈られる映画賞。例年、アカデミー賞の授賞式直前に発表されているが、受賞者はほとんどの場合、ラジー賞の授賞式には出席しないようである(そりゃ、そうだ!)。


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
  確執とともに描いた、
        『 ラストシーンの余韻 』 〔電子書籍版〕、
                アマゾンkindleストアから発売中! >





スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

The Food Court ♪

いっぱい食べるキミが好き~ ♪♪♪

SPORTS & CASUALS ♪

いっぱい遊ぶキミが好き~♪♪♪

お役立ちエリア ♪

ナイスな便利グッズ&サービスをご提供!

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

『 ラストシーンの余韻 』 発売中!
映画ライター・高村英次、初の書き下ろし長編 『 ラストシーンの余韻 酒乱と失態、女難と頑迷、監督・溝口健二の狂おしき人生 』

高村英次

Author:高村英次
電子書籍版はアマゾン Kindleストア 及び 楽天ブックスから、紙の書籍版は製本直送.comより発売。直近の各コラムの末尾にある発売告知から販売サイトに遷移、またはポップアップ画面が出ますので、そこで購入できます。 

< プロフィール >
血液型:A型
趣味:サイクリング&ウォーキング&クッキング、デジカメでの写真・動画撮影
好きな場所:札幌ドーム、中島公園、中央図書館、豊平川
好物:コーヒー、ジンギスカン、スープカレー、ラーメン、「ロイズ」のソフトクリーム、「シャトレーゼ」のアイスバー・ピュルテ(塩キャラメル味)、びっくりドンキー、はま寿司、セイコーマート

My Blog Visitors
CAT TIME !
Calendar

Le TAO ♪
夏フェスのお供に甘いスイーツを ・・・ ルタオです ♪♪♪
FC2 ブログランキング
FC2 Blog Ranking
[ジャンルランキング]
映画
419位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
邦画
17位
アクセスランキングを見る>>
リンク
最新記事
松尾ジンギスカン ♪
北海道の郷土料理にしてベスト!
カテゴリ
月別アーカイブ
リーズナブルな旅をご案内 ♪
書を捨てよ、旅へ出よう~ ♪
Amazon DVD RANKING
イチバン人気の映画をチェック!
検索フォーム
最新コメント
MAIL BOX
名前はハンドル名でOK、文面は公開しないので、お気軽に!

名前:
メール:
件名:
本文:

最新トラックバック
QRコード
QR