映画の語り部・淀川さんの想い出 < その9 >

◆ 試写会に来ていた女と大喧嘩した淀川さん・・・ 〔 ロ 〕

 やがて始まった映画 『夜よ、さようなら』 は街娼に転落した女の地獄巡りの実録ドラマで、 ミュウ・ミュウ は男に人生を狂わせられる役柄。だから彼女はシラケた冷めた表情をしてるわけ。

 で、何がビックリしたって、コレで初めてフェラチオ(英語じゃ、ブロウ・ジョブ、ですな)を見たってことです。
 青くさい時分だから、ジャズ野郎としては読んじゃいけない成人誌(読んじゃいけないったって、読みますわな)で 〝知識〟 としては頭に入っていたけれど、実際に(映画で)見たのは初めて。
 しかもこの映画でのソレは、パリのヤクザが裏切った子分(だったか)をリンチした揚げ句、ボスがそいつに自分のモノを無理矢理咥えさせる( もちろん、ボカシがかかってます )って趣向で、もう、まったくエゲツない事、この上ない。

 「男が男にヤッテどうすんだッ!? このオッサン、いったい何させてンだヨ~~~!」
 
 とジャズめは心の中で叫び、ドギマギしつつ、なんとなく目を伏せるような感じに・・・。だって、都会で女性が転落していく話だから試写の参加者は 圧倒的に女性 、それも若いお姐様方が多かった。そんな中で見ていたわけですから、なんとなく、じぃーっとスクリーンを見てるってのが恥ずかしくなる・・・今のオッサンのジャズ野郎と違いまっせ、純な高校2年生、ウブな17歳でっせ。

 そんなわけで映画自体は大人が見るアダルティーな内容で、ストーリーもなにも知らずに観に行ったジャズめはひたすら「失敗したなァ・・・」と帰りのバスの中で嘆息したもの。娼婦の話だから、男と女のチョメチョメもあったと思うけど、さほどじゃない(昂奮しない)んだ。それを期待するとガッカリするんで、コレを見てない人のためにお知らせしときますが。


 それはともかく、問題は映画が始まる前の、淀川さんの講演の時
 いつもの名調子、弁舌爽やかに語りまくっていた淀川さんが、もう、あと少しで講演を終えようという時、一人の女性が淀川さんに質問をした。

 コレが、淀川さんが舞台上から「誰か、私に訊きたいこと、ありますか?」と呼びかけて、それに応じたものか--
 その女がいきなり客席から「質問がありま~す!」と大声を張り上げて、淀川さんに訊いたものか--

 ハッキリとは覚えていないんだけど、とにかく手元に質問者用のマイクも来ないうちに、その女は大きな声で壇上の淀川さんに話しかけた。その質問内容はこうだった。

「淀川さんは、〝世の中に嫌いな人はいない、みんないい人〟、とおっしゃってますが、
                            それなら何故結婚しないんですか! 」

 〝世の中に 嫌(きら)いな人 はいない・・・〟は〝世の中に 嫌(いや)な人 はいない〟だったかもしれないが、コレはラジオなんかで常々話されていたことで、淀川さんの本にも 『私はまだかつて嫌いな人に逢ったことがない』 ってスンゴイ題名のがあるから、まぁ、淀川さんご本人の信条だったのでしょう。
 〝私はまだかつて嫌いな人に逢ったことがない〟だって! ウッソだろー、とは誰しも思うことで、淀川さんに自作映画を絶賛される前の 北野武 ( ビートたけし ) 監督なんか、

   「嫌いな人に会ったことがない、だってよ。ふざけンな、このヤロー! 
              偽善者もいいトコじゃねぇか! 冗談じゃないヨ!」

 などとよく毒づいていたもの。

 だから、試写会で淀川さんに質問をぶつけた女にも、そういう思い(不信感)があったのかもしれない。
 かなり強い調子でその女は淀川さんに訊いていた。その声はちょっと怒声に近く、不敬な響き すらあった。〔続く〕


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
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