新作プレビュー  『 ジャージー・ボーイズ 』  < 前篇 >

◆ あのイーストウッド監督による、まさかのミュージカル!?

ポスター
(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC ENTERTAINMENT


 今や監督としての存在感が大きくて、若い人などはこの人がかつてウエスタン(『荒野の用心棒』)や刑事アクション(『ダーティハリー』シリーズ)でヒーローを演じた俳優(スター)だったなんて事、知らないんじゃないかとすら思える クリント・イーストウッド
 彼は音楽マニアで特にジャズやブルース、カントリーなんかに精通していて、特に ジャズ は名サックスプレーヤーのチャーリー・パーカーの伝記映画 『バード』 (1988)を撮るほどの〝狂〟だし、劇場映画監督第1作の 『恐怖のメロディ』 (1971)ではエロール・ガーナーの名曲「ミスティ」を 、『ガントレット』 (1977)ではアート・ペッパーを起用したりとマニアぶりを遺憾なく見せている。
 また 『センチメンタル・アドベンチャー』 (1982)では自分の息子(カイル・イーストウッド)と親子共演を果たし、大陸を流れ歩くカントリー・シンガー親子のしがない旅を切々と綴る、といったように音楽モノには強い。

 だから・・・そういう音楽好きのクリントだから、 ミュージカル を撮る、ってのも別に驚くには当たらないのかも知れないが、でもミュージカルってのは音楽っていってもちょいと違ってまさぁーね。

 ジャズもブルースもミュージカルも、アメリカが誇るアメリカ発祥の音楽(ジャンル)だけれども、ミュージカルはなんというか、軽薄なまでに(そこがいいのだが)派手で、ダンスなんか群舞でもって出演者総出でワイワイ踊り狂う、ご陽気なもの。
 片やイーストウッドが撮る音楽モノは『バード』にしても『センチメンタル・アドベンチャー』にしても、非常に個人的で、孤独な個人の日常を淡々と綴っているよな内容で、デーハーな音楽シーンはあまり見られず、ミュージシャンが成り上がっていく、心弾むワクワクするようなサクセス・ストーリーとはまったく違う。むしろ、人間心理の暗い側面や、索漠とした人間存在の情況を淡々と描いていく、という感じだから、それと180度対極にあるミュージカルを撮るといっても、一体全体、どんな風に撮っているんだろー??? と思っていたら、意に反して、あまりにも当たり前に、ストレートに、まっとうに撮っているので、これまたビックリ!!!

 エー、あの暗い地平のヒタヒタをそのまんまヒタヒタと撮るような、素っ気なくもあり、一見味気なくもある 〝イーストウッド調 (または、イーストウッド節)〟 といっていいような、スタイルはどこいったの? と見始めた当初は、いや、物語の中盤過ぎまでは思っていましたな。

 それが・・・・と 〔ココから褒めまッせ!〕 この先を語る前に、ストーリーをば簡単に。

〔 題名の〝ジャージー・ボーイズ〟ってのは、ジャージを着てるガキども、って意味じゃ、もちろんない。ジャージーはニュージャージー州、その郊外にある町・ペンヴィルの少年たちって事で、これすなわち往年のポップ・グループ〝ザ・フォーシーズンズ〟を意味する。フォーシーズンズは、今でもCMでよくBGMに使われる『シェリー』とか『恋はヤセがまん』等のヒット曲を出して1960年代(ザ・ビートルズ登場前)に一世を風靡した。この映画は、地元で不良少年として鳴らし、片や夜は地元のクラブに出てアマバンドとして活躍していた彼らがヒット曲を連発してスターダムを駆け上り、ロック・スター並の有頂天人生を謳歌しながらも、仲間内でのトラブルや借金問題が露呈して苦節を味わう・・・という〝バックステージ・ドラマ〟であーる 〕

 エッ、いつものストーリーと書き方が違ってる、コレじゃ概説じゃねえか、って?! 
 その通り!
 ダレダレが出て来て、どうなって、こうなってって書き方はしたくないんです。ホントは ザ・フォーシーズンズ の物語ってのも紹介したくない。そういうのを全く知らないで観たほうがサプライズが倍加しますから。

 でも ・・・ それだと書くことがないから、やっぱり書いちゃう( ホントは書きたい )わけですが、そのザ・フォーシーズンズは4人組のグループですが、ソロの(メイン)パートを担うのは フランキー・ヴァリ

 フランキー・ヴァリ・・・ってぇと、ジャズ野郎の世代では、ジョン・トラ(ボルタ)&(オリビア)ニュートンジョン 『グリース』 (1978・米)ですな。あのノー天気な60年代学園ミュージカル(ベトナム戦争前の明朗快活さ!)の中で、当時のハイスクーラーの憧れのアイドルって感じで紹介され、本人出演もしたのは同じ〝フランキー〟でもフランキー・アヴァロンの方。
 ヴァリさんはというとタイトル曲の「グリース」をしっかとご提供。この映画をリアルタイムで観、フィーチャーされた名曲群に感化されたジャズ野郎はさっそくサントラ盤を買い求め、聴きまくりましたよ(聴き狂った、というべきか)。

 そういったわけでフランキー・ヴァリって名前を覚えていたのですが、この人がザ・フォーシーズンズの一員だったって事は、この映画を観るまで知らず、しかもこの人が、ジャズ野郎が愛する名曲を最初に歌った人だってこともこのイーストウッド初のミュージカルで初めて知った次第。

 その名曲とは ・・・・・ < 中篇 > に続く。ついでに、この作品の褒める部分も < 中篇 > です。    〔続く〕

                      ザ・フォーシーズンズ
▲ 売れる前のザ・フォーシーズンズ。右から2人目がフランキー・ヴァリ(ジョン・ロイド・ヤング)。
       (C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC ENTERTAINMENT

■ 9月27日より東京・丸の内ピカデリー、札幌シネマフロンティアほかにて
                    全国ロードショー  配給:ワーナー・ブラザース映画 ■


※ 『ジャージー・ボーイズ』 公式ホームページ : http://wwws.warnerbros.co.jp/jerseyboys/



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Author:高村英次
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