新作プレビュー  『 ジャージー・ボーイズ 』  < 後篇 >

◆ スターが監督したミュージシャン映画は〝買い〟

                       ザ・フォーシーズンズ
                       ▲ 人気絶頂のザ・フォーシーズンズ
        (C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC ENTERTAINMENT


 実はこの作品は、ダイアナ・ロスとシュープリームスをミュージカル化した(そして映画化された) 『ドリームガールズ』 (2006、ビル・コンドン監督)同様、もともとはブロードウェイでヒットした舞台ミュージカル
 『ドリームガールズ』もそうだったけど、主役の女性3人のドラマがヒット・チューンをバックに描かれるから、個々のドラマ(葛藤)が割りとあっさりしてたのは否めなかったけれど、それにならってか、こちら『ジャージー・ボーイズ』の場合も、ザ・フォーシーズンズが売れる前のゴタゴタやグループ内での嫉妬に満ちた人間関係など葛藤がスル~と流されて描かれている気が・・・。

 そうした部分がいつものイーストウッド(作品)らしくない、とは思ったんですがね。

 でもこの題材がブロードウェイのミュージカルだったと知って、そうか、それでその台本のまんま撮ってるんだな、とナットクしましたが(と、こう書くと、ミュージカルの台本=ドラマが安いっぽいように感じる人もいるかもしれませんが、そうじゃありません。いわゆる歌と踊りがメインだから、そのシンギング&ダンシングシーンの <高揚感> のおかげで劇 <シリアスドラマ> として構成が弱まる、って事です)

 加えて、〝こうしたオールディーズのポップスをフィーチャーしたミュージカルをイーストウッドが映画にした事がビックリだ〟 ってのは <前編> でも書きましたけど、要するにミーハー感の強い、往年のアイドル・グル-プの伝記モノなんぞををよく取り上げた、よくぞ監督したな、ってとこがビックリなんです。

 なんか、ちょっと、今までのイーストウッドらしくない。

 でも、映画スターが監督する音楽映画、特にミュージシャンを主役にした伝記モノ風のミュージカルってのは、割りと佳作になっている。ザ・ビートルズを模したと思われる4人組バンドのサクセス・ストーリーで トム・ハンクス が監督した 『すべてをあなたに』 (1996)や、ケヴィン・スペイシー監督によるの往年のポップシンガー、ボビー・ダーリン をリスペクトした 『ビヨンド the シー ~夢見るように歌えば~』 (2004)など。
 
 だから、イーストウッド映画のファンも、ファンでもない人も、気軽な気持ちで楽しんで見ることをお勧めします。


 ジャズ野郎などは--
「コレって60年代の話なんだな、じゃアレが出て来るんじゃないか・・・」
 なんて当たりを付けて見ていたら、ホントに出て来たので、それだけで嬉しくなりました。アレってのいうのは、ちょっとしたお祭りやイベント会場に出て来る〝出店〟で、ポップコーンを作って売るレトロな感じの〝ポップコーン・ワゴン〟。コレ、よく40・50年代、いやもっと前の時代もかな、その頃のアメリカのローカルなフェスティバルや遊園地なんかに必ず出て来る。
 この『ジャージー・ボーイズ』では、彼らが売れ始めた頃に、地方の野外ステージみたいなところで演奏するシーンに登場します。ホンの一瞬、画面の端っこにチラっと映るんですが、何故、ジャズ野郎がコレにこだわるかというと、我が家の近所にある輸入雑貨の店先にこのポップコーン・ワゴン(下の写真)が置いてあるからで、
「コレ、きっと映画に出て来るゾ」と思って、前から気にしてた。
 そうしたら、それがまんまと出て来たもんなー・・・もう、それだけで、嬉しかった。

ポップコーン・ワゴン
▲ 近くの輸入雑貨屋の前に置いてあるポップコーン・ワゴン   (c)ジャズ野郎
  2014年当時はここに置いてあったワゴンも、雑貨店の閉鎖とともに姿を消して
  今、現地にこのワゴンない。

 そうした極私的な思い入れも含めまして、今回のイーストウッド作品は心に残る、忘れられないものとなりました。もしかしたらジャズめは、イーストウッドの映画に感動したのではなくて、「君の瞳に恋してる」という名曲の由来が映画で描かれた事や、馴染みの〝ポップコーン・ワゴン〟が出て来た事に感動しているだけかもしれない。

                ま、それならそれでもいいでしょう。

しかし、やはりクリント・イーストウッドの映画に、その 映画魂 に感動した、ってのも事実です。これもあまり書きたくないのですが、映画が終盤にさしかかり、
「ああ、もう終わるな。エンディングだな」なんて思っても、ウカツに席を立たぬように。
 実はこの後に、今回、ジャズめが感極まったシーンが出て来るのです。
 いいですか、終劇(おわる)の予感を感じても、
                ユメユメ、席を立ってはなりませんゾ。

            ココにこそ、この映画の一番オイシイ瞬間が待っている。

 イラストレーターで映画クリテックよりも映画に詳しく、『麻雀放浪記』(1984)や『怪盗ルビー』(1989)など映画の監督も手がけている、映画マニアの 和田誠 さんが自著のタイトルに冠した、映画 『ジョルスン物語』 (そして世界初のトーキー作品 『ジャズ・シンガー』 )の名ゼリフに倣って言えば、こうなる。


         〝 You Ain't Heard Nothin' Yet!--お楽しみはこれからだ ! 〟


■ 9月27日より東京・丸の内ピカデリー、札幌シネマフロンティアほかにて
                   全国ロードショー  配給:ワーナー・ブラザース映画 ■


※ 映画 『ジャージー・ボーイズ』 日本版ホームページ:http://wwws.warnerbros.co.jp/jerseyboys/


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
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