映画の語り部・淀川さんの想い出 < その15 >

◆ 実は吝い人だった? <後篇>

 淀川さんがそんなふうに、「ギャラを貰ってから映画の話をする」とか「インタビューなど記事のネタを提供する」ようになったのは、数え切れないほどギャラを踏み倒された苦~~~い経験のせいであると--ジャズ野郎はそう聞いています。

 つまり新聞・雑誌の紙媒体からテレビ・ラジオなどの電波、映画会社(宣伝部)からの要請など、請われて映画の話(紹介、解説、講演)をするのはいいけれど、話をし終わると、
「ハイ、淀川さん、ありがとうございました。では本日分のギャラは後日、振り込ませていただきまーす」
などと言って、コメントをもらった側(依頼者)はとっとと帰っていく。

 ところが後日、淀川さんにはちっとも金が支払われない。依頼者は、コメントをもらえばそれで用が足りちゃうから、それで満足しちゃうのか、淀川さんにギャラを支払うことを忘れちゃった、という事がよくあったそうな。

           しばしば、踏み倒された、んですな。

( こんな事を言うと、「そうかなぁ」 なんて思う人もいるかもしれませんが )そもそも-- 
「映画の話」とか「映画について語る」なんて事は(ほとんど)軽く(低く)見られているんじゃないか--
 と思いますよね(今も昔も)。

            映画の話なんて誰でもできるといった感じで。

 確かに「感想を言え」っていえば誰だって言える・・・本当は誰でも出来るわけじゃないんだけど、例えば淀川さんに限らず映画解説者・評論家っていうのは、同じ文化人の中でも例えば小説家や作家、(文芸・政治)評論家みたいな人たちよりも一段低く見られていた(時期があった)・・・んじゃないか、と思うんですよね。
 終戦後から昭和30年代前半までの日本は〝映画の黄金時代〟で、雑誌には何ページにも渡って新作映画の記事や評論が載っていたり、新聞でも毎週、映画時報みたいな欄があって大きくスペースが取られていた。そんなイイ時期は、新聞や雑誌の映画コーナーを数本担当していれば楽にメシが食えたらしい(もちろん今は違いますよ)。
 だから映画評論家や映画記者みたいな人たちがワンサといたし、扱う映画についての記事やコメント、批評(評論)の数も膨大だった。
 映画の話は市井にあふれかえっており、「映画の話をしてくれ」って言えば、それこそ「俺も、俺も」と出てきてジャンジャン話をする輩がいっぱいいた。

 となると、映画を(識ってて)語る、って事もいわば当たり前になって、その価値(有り難み)も薄れますよね。

 そんな情況がまずあって、その中で淀川さんは新聞や雑誌などの求めに応じて、幼少期(明治~大正時代)から現在までの〝観てきた映画の貴重な話〟を一生懸命、語ってあげた。にも関わらず、語ってもらった方は、そのことをコロッと忘れて、約束していた手当やギャラを支払わない(忘れてしまったのか・・・仕事でやってんだから、忘れた、って事はない。その金をネコババでもしたか、バックレてやがったんだろー・・・とジャズめは推測しますが)。

 そんな、ヤーな出来事が何度も重なった。
 だから淀川さんは、仕事に関しては マネー・ファースト になったらしい。     〔続く〕


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