映画の語り部・淀川さんの想い出 < その21 >

◆ 惚れた映画作家は見捨てない <ニ>

           〝惚れた映画作家は見捨てない〟

 ・・・そうか、そういう考え方もあるのか、とジャズ野郎はこの時、思い知りました。
 この言葉を肝に銘じながら、ちょっと考えましたよ。

 映画ファンやマニアにはそれぞれお気に入りの映画スターや監督ってのがあって、そういう人たちの出演作や監督作を観て、「あー、今回は良かった」「コレが決定版だ、代表作だ」とか「集大成だ」なんて大げさに思ったりする。その反面、逆に出来が悪かったり、もっと言えば最悪な失敗作だったりすると、その反動でスターや監督を「二度と見るかい!」てな調子で憤ったり、嫌ってしまうこともある--好きなアイドル歌手がハンサムなタレントとつき合ってる、なんてゴシップを耳にすると、途端にトサカにくるタクオさん(オタクなアイドルマニア)の心理と似たようなもんだと思うんですが、それでも悲しいかな、映画ファンってのは、
「前回ダメだったけど今回はどうかなあ・・・」
 なんて調子で、結局、映画を観に行っちゃうもの(!)。

 こんなのは他愛ない方ですが、(映画を)観るのがプロの映画評論家って人達は、上記のファンよりもっと薄情な気がする。

 例えば、1980年代の後半から90年にかけて、台湾の監督ホウ・シャオシェンが日本に紹介されて、ちょっとしたブームてのがあった。そうしたエスニックな未知(日本初紹介)な映像作家ブームってのは、
   イランの監督のアッバス・キアロスタミ監督だったり、
   イギリスのデレク・ジャーマン監督だったり、
   ロシアのセルゲイ・パラジャーノフ監督だったり・・・。

 映画スターでは、(今じゃ考えられないけど)、やはり80年代当時、ミッキー・ロークがセクシーだ、ってんで一時期、女性ファンに大人気で、ある女性評論家なんか雑誌かなんか毎号コラムかなんかを書いてた。その後、そういうイケメン狂騒曲はジョニー・デップブラッド・ピットに移っていって・・・てな案配。

 ホウ・シャオシェンの作風やキアロスタミ作品を本当にイイと思って押してるんなら問題ないんだけど、なんというのかな、

        「この日本未紹介の映画作家を売り込んでやろう」

てな 商魂 (スケベ根性) がまずあって、その映画監督に詳しく知ってる専門家だって感じで一手に握って書き散らして、オーバーに持ち上げるって人がいる。

 これは言わば、「映画」という商売(水商売)のバブルな一面でもあるのだけれど、こうした人の中には、そうしてさんざん押しておいて、持ち上げるだけ持ち上げておいて、ブームが去ったと見るや一顧だにしない輩がいる。
 結局、イイ時だけ映画監督やスターを押すだけ押して、商売しといて(稼いでおいて)、ブームが去ったら見向きもしない。その後のフォローも一切しない、薄情というか、不人情というか・・・。

 そういう輩にも言い分はあって、
「ああ、あの監督(スター、俳優)? あん時は良かったよね。でもなんだか鮮度がなくなっちゃってサ・・・今は面白くないよね」
 なんて理屈やを弄したり、
「最初に見た時は珠玉の才能(演技力、チャーミングさ)を感じたけれど、時間を置いて見てみたら〝さほどでもなかったな〟」
という具合に、真の評価に落ちついた、って事もあるでしょう(コレは実際にある)。

 でも、それにしたって、イイ時には「この人の映画を見なければ、夜も日も暮れぬ~~!」ってな評判をまき散らしておいて、その後は カンムシ (完全無視) ってんじゃ、
「アンタ、ホントにイイと思ってたんかい?!」
 って疑念も湧いてくるし、
「モノを観る目があるのか、鑑賞眼ってものがあるのかな」
 と不信感もムクムクわいてくる。 

 コレって、プロとして映画を観る、ということの信頼を欠落させる、ひいては不毛に繋がるような、ホントは大問題なハズ ・・・ ですよね。    〔続く〕


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
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