新作プレビュー  『 ゴーン・ガール 』  < 前編 >

◆ 『セブン』のフィンチャー監督による超ミステリアスな〝ある愛の物語〟

メイン
▲ ニック(B・アフレック、中央)は妻の失踪をマスコミを通じて全米に発
  表し、協力を求める。 (C)2014 Twentieth Century Fox 


 年間、そんな大量に映画を見るわけじゃないし、贔屓のイーストウッド監督が 『ジャージー・ボーイズ』 なんてのを撮ってくれちゃうと、すかさず「これだァ、これが今年のベストワン」と即決しちゃう早計なジャズ野郎ではありますが、見た中で選ぶベストワンっつう事になるとコレですな。

 『ゴーン・ガール』にはマイッタ。面白い上に、ズシンと重く考えさせられる・・・ただ、何について考えさせられるのか、ってのを語る事はNG。そう、ミステリーなんですよね、それも見ている間中かなり頭を働かせる巧妙なヤツ。だからあまり内容を語れない。
 
 今、テレビで流れている同作のCMでも、各方面からの賛辞の他には、

        妻がいなくなった・・・
                  夫が失踪妻(殺害?)に係わった容疑者に・・・?


 って事ぐらいしか情報として流してない。アレはもうアレ以上はヤバイって事なんだ。
 夫が警察から容疑者として疑われて・・・ってあたりまでは洩らしてもいいかもしれないが、スリラーに強い映画通ならパッと先読みしますわな。

 妻がいなくなって、殺されてるかもしれない? それで夫が犯人、てか? それじゃ、実際にあった フォン・ビューロー事件 ( *1 ) を映画化した 『運命の逆転』 (1990、バーベット・シュローダー監督)じゃねえか、とか。
 エ、妻がいなくなるの? それじゃロマン・ポランスキー監督の 『フランティック』 (1988)じゃん・・・とか(あと他にも何作か出したいところだけど、それじゃ、内容がバレちゃうから、この辺で)。

 ジャズめもそんな事を思いながら、映画を見てましたが・・・ウーン・・・ヤルんだよなぁ、デヴィッド・フィンチャー
 この人のこの種の映画っていえば、ブラピの『セブン』(1995)とか、なんとなく最初からオチがまる判りだった『ゲーム』(1997)とか、『ゾディアック』(2007)なんてのがあるけど、フィンチャーさんって元々CMやミュージシャンの映像クリップ(PV)出身の人だから、どれもこれもヴィジュアル先行のデコラティブなモノばかり。
 クリップ出の監督ってそういう人が多いですな。で、画作りや展開が派手な割りに内容は薄くて、なんとなくペラい感じで締まりのないまま、映画が終わる。

 でもフィンチャー監督は 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 (2008)あたりから変わったような気がする。
 やはりスリラーだった前作 『ドラゴン・タトゥーの女』 (2012)もそうだった。いや、アレでもオープングのエラく凝ったタイトルを含め、映像的にはキレまくっていたが、なんというのかな、より〝人間の内部を見つめる〟ようになった気がしたんですよね。
 『ドラゴン~』では、ダニエル・クレイグの記者が数十年前に失踪した娘を捜す、というメインの事件(ココでも女性が失踪してましたね)については、いつものフィンチャー・タッチで軽快に綴っていましたが、ジャズめが面白いと思ったのは、ルーニー・マーラが演じていた孤独で知的な烈女・リスベット( 彼女が〝ドラゴン・タトゥーの女〟)の描き方。すべての事件が終わって、思いを寄せていたクレイグが元の恋人のところに戻って、窓に映った彼の姿を建物の外から覗いていたリスベットの姿がなんとも切なく、心に残った(愛おしくさえ、なりましたな)。
 〝チェッ、フラレちまったか・・・〟てなとこですが、若くして壮絶な体験をしてきた彼女の心に観客の心が寄り添っていくような、そういう演出をフィンチャー監督はして見せたから、
「へえー、芸が細かくなったなあ」と。
(このオチ、オリジナルのスウェーデン映画 『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』 には、ない、部分でしたから余計に印象に残ったネ)。

 でもそれは「芸が細かい」ってよりも、書いたシナリオライター(優れ者のスティーブン・ザイリアン)がエラかったって事で、今回の『ゴーン・ガール』にしても原作者で脚本も担当している ギリアン・フリン って女性作家が優秀だったせいかもしれない。

 しかし・・・いずれにしても、出来上がったら作品は監督のモノ。 
 それにまた、そういうイイ企画やスクリプト(脚本)を掴むのも監督の才能の一つだし、そういう強運を有してるって事はイイ監督の証、とも言える。

 そういう意味では『ゴーン・ガール』で、フィンチャー監督は〝掴んだ〟んじゃないでしょうか。畢生の企画を。とにかく映画のデキはいいです。

 と・・・内容にあまり触れられないから、余計な話ばっか書いてお茶を濁してきましたが、次回は、もうちょっと内容に触れますか。配給元の20世紀フォックスさんに怒られない程度に・・・ネ。 〔続く〕

         ポスター
▲ この映画タイトル〝GONE GIRL〟=〝いなくなった女〟を、〝THE LADY VANISHES〟=〝淑女失踪〟としなかったところがミソ。ザ・レディ・バニッシュは、ヒッチコック監督の『バルカン超特急』〔1938・英〕の原題。 (C)2014 Twentieth Century Fox 

     ※『 ゴーン・ガール 』公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/

 ■ 12月12日より東京・東宝シネマズ日劇、札幌シネマフロンティア、
   ユナイテッドシネマ札幌ほかにて全国ロードショー  配給:20世紀フォックス映画 ■

*1 「フォン・ビューロー事件」  1982年、法律家で演劇評論家だった クラウス・フォン・ビューロー は当時住んでいたアメリカ・ロードアイランド州ニューポートの自宅で、妻マーサの殺害を意図した容疑で逮捕、起訴された。マーサは低血糖症だったため、インシュリンを常備していたが、意識不明で発見された時、その摂取量が通常の10倍であったことから、夫のクラウスに嫌疑がかかった。
 裁判では一審で懲役30年が言い渡されるも、クラウスは控訴して無罪を勝ち取る。現在も健在で、ロンドン在住。
 殺されかけた(?)妻のマーサは一命は取り留めたものの、意識不明のまま28年の間、病床に臥し、2008年に世を去った。
 その映画化『運命の逆転』でクラウスを演じた ジェレミー・アイアンズ は、その年のアカデミー賞(第63回)で主演男優賞を受賞、妻を演じた グレン・クローズ は主演女優賞にノミネートされたが受賞は逃した。


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Author:高村英次
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