新作プレビュー  『 ゴーン・ガール 』  < 中編 >

◆ 失踪した人妻をめぐって男と女の過去と現在が曝かれる・・・

  サブ1
  ▲ マスコミが食いつくスキャンダラスな事件が〝専門〟のボルト弁護士
    (タイラー・ペリー、左)に相談を持ちかけるニック(B・アフレック)。
   (C)2014 Twentieth Century Fox 


〔 ミズーリ州の閑静な田舎町で、人妻の失踪事件が発生する。
 亭主でライターのニック(ベン・アフレック)が帰宅すると、5回目の結婚記念日を共に祝うはずだった妻エイミー(ロザムンド・パイク)の姿が消えていた。室内には荒らされた形跡があり、何者かに誘拐されたよう。
 地元警察の女刑事ボニー(キム・ディケンズ)と部下のギルピン(パトリック・フュジット)は、誘拐現場の見聞でニックの自宅を訪れた時にある違和感を抱いたが、ボニーはそれを抑えて極めて事務的に捜査を進める。
 いなくなったエイミーは親が有名な作家で、彼女はその親により幼少の頃から人気絵本のモデルにされていたから、全米にその名を知られたセレブな存在であった。ためにこの失踪事件は国中の関心を集め、マスコミがこの町に殺到。ニックに取材陣が殺到するだけでなく、ニックの妹で町でバーを切り盛りするマーゴ(キャリー・クーン)の許にも雲霞の如くリポーターが押し寄せる。
 今や全米注視の的となったニックだが、やがて彼はインターネットのソーシャル・サイトに激励や同情だけでなく、やっかみ半分のウソ情報を流され、その揚げ句 ・・・ 〕


 ストーリーはこんなところだが、一見すれば、実は〝夫が自分で妻を誘拐(殺害)しといて被害者を装う〟という映画ばかりか現実にもよくある偽装事件(偽装誘拐、偽装殺人)に思えるし、またそういう趣向の映画は先の < 前編 > にも示した通り、幾らもあるんですが、『ゴーン・ガール』が従来の作品と違うのは、いかにもスリラー映画風の凝ったヴィジュアルでゴリ押し的に描いていく、というのではなく、ソフトなタッチでとてもデリケートに描いてゆく。そのタッチの差ですかね。一連の謎めいたスキャンダラスな騒動をじっくり、ゆっくり見せていく手際が慎重。
 もっと言えば、題材の扱い方が大人です。

 その証拠に、この映画は失踪した妻の事件を追いながら、時々、ニックとエイミーが何時どこで出会って、どのように恋に落ち、結婚するに至ったか、という彼らの愛の遍歴(年譜)を挟み込む。この時制を逆行させる < 前説 > の挿入はちょっとウザくて、「サッサと本筋を描いてほしいな」とジャズ野郎は思いましたが、これがグググッと効いてくる。2時間半という、スリラーにしちゃやや長い上映時間の後半に、このニックとエイミーのなれそめと結婚生活の有り様がヒタヒタと絡んでくるのです・・・。

 ウ~ム、もっと書きたいけれどなあ・・・書くわけにはいきません。
 でもココにこそこの映画の〝本筋〟があるわけですが、まぁ、コレを読んでる人は観ちゃいないわけだから、黙っときましょう。

                      サブ2
                      ▲ 〝疑惑の人物〟ニックに殺到する全米のマスコミ。 
                        (C)2014 Twentieth Century Fox 

 マスコミがあることないこと書くのは今に始まったことじゃないですが、現代(いま)はインターネットってものがある。一般人がニックのプライベートを撮影して、それをネットに流す。ツイッターやフェイスブックなどのSNSに、いらぬコメントを付けてアップしちゃうと、それが嘘っパチでもネット上では〝事実〟とされて、あらぬ誤解を受ける。おかげでニックは人生最大のピンチに陥っていくわけですが、このネット禍のくだりはかなりリアルで、フィンチャー監督は 『ソーシャル・ネットワーク』 (2010)ってのを作っているから、なおさら見せ方、捌き方が上手い。


 ・・・さて、これ以上はなんも書けません。でも強いて書くなら、姿を消す人妻エイミーを演じた ロザムンド・パイク ですか。かつてボンドガールを演じた事(『007 ダイ・アナザーデイ』)もあって、『プライドと偏見』(2005)とか『17歳の肖像』(2009)なんかでジャズめも気に入ってる女優さんなんですけど、彼女が時折、見せる、泣くでもない、怒るでもない、あやうげな〝表情(マスク)〟。コレを見逃して欲しくないですな。このマスクにすべてが隠されています。

  エイミー・アップ
  ▲ 微笑むエイミー(R・パイク)。先頃、発表されたゴールデングローブ賞では主演女優賞に
    ノミネート・・・トーゼンかも。因みにゴールデングローヴのドラマ部門の主演女優賞は、
    『アリスのままで』のジュリアン・ムーアが受賞。(C)2014 Twentieth Century Fox 

      ※『 ゴーン・ガール 』 公式サイト: http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/

 ■ 12月12日より東京・東宝シネマズ日劇、札幌シネマフロンティア、
    ユナイテッドシネマ札幌ほかにて全国ロードショー  配給:20世紀フォックス映画 ■



< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
  確執とともに描いた、
        『 ラストシーンの余韻 』 〔電子書籍版〕、
                アマゾンkindleストアから発売中! >





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高村英次

Author:高村英次
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好きな場所:札幌ドーム、中島公園、中央図書館、豊平川
好物:コーヒー、ジンギスカン、スープカレー、ラーメン、「ロイズ」のソフトクリーム、「シャトレーゼ」のアイスバー・ピュルテ(塩キャラメル味)、びっくりドンキー、はま寿司、セイコーマート

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