新作プレビュー  『 きっと、星のせいじゃない。 』  < 前編 >

◆ 涙や同情はノー・サンキュー! 命短し恋せよ乙女さん

 きっと 1
 ▲ ガス(A・エルゴート、右)と急接近するヘイゼル(S・ウッドリー)。肺が
   弱いから常に酸素ボンベを携帯し、鼻には管が・・・こんな姿、見せた
   くないのにぃ。   (C)2014 TWENTIETH CENTURY FOX

 いきなりなンですが、難病モノって好きじゃない。いや、むしろ嫌いです。

 人が死んでいくプロセスを延々と見せて涙を誘う、ってのは、映画の手としてはどうも安易でズルい気がするし、事実、自分の身近で同じようなことに遭遇してたりすると黙って見ていられない。
 数年前に父を亡くた時なんか、その直後は徹底的に見るのを徹底的に避けました。見ると、父そのものを思い出すからイヤだってこともあるけど、それに関連して自分が見たり感じたりしていたことを思い出しちゃうからイヤなんだ。病院の行き帰りにあった花壇の花だとか、ロビーの椅子に置き忘れてたマフラーとかね。入院中のオヤジの顔とかパジャマ姿みたいな直接な思い出じゃなくて、間接的な記憶が脳裏をよぎっていく・・・それは結局、亡きオヤジの思い出に繋がっていくわけだけど、どっちにしたって楽しいもんじゃない。

 それに難病モノってのは、主人公もしくはヒロインが死ぬ、って具合にオチが最初から決まってるわけで、その過程で、命の大切さだとか、残り少ない人生をどう生きるか、なんてことが描かれるんだけど、なんというのかなぁ、結局、道徳的な、まっとうな正論ばかり並べられちゃって、納得することは納得するけど、なんとなくタイクツなんだ。
 特に、日本映画における、この種の映画は大体が、同じテイスト、同じ趣向、同じトーンで展開されてくる。代わり映えしないから見てて焦れったくなっちゃって、ムカムカしてくる。
 でも、そういう見え見えのヤツでも今の若い客は泣くわけだからネ、一体どうしたもんなのか。〝泣ければ何でもいいのか〟って言いたくもなるけど。
 中には 榮倉奈々瑛太 が出た 『余命1ヶ月の花嫁』 (2009、廣木隆一監督)みたいないい作品もあるけど、コレみたいにその年代の恋人たちの日常を丁寧に、心情をすくい上げるように描いたモノってそうないですな。

 これが洋画となると同じ題材でも結構面白く、しかも深く新しく描いてくれる。ちょいと前にDVDで見たジョゼフ・ゴードン=レビット主演の 『50/50 フィフティ・フィフティ』 (2011、共演セス・ローゲン、監督ジョナサン・レヴィン)とかハリソン・フォードの 『小さな命が呼ぶとき』 (2010、トム・ボーン監督)なんかはそれぞれ面白かった。
 『50/50』でガン患者のレビットの友人を演じてたセス・ローゲンってコメディアンは、キム・ジョンウン暗殺を描いたってことで上映中止やサイバーテロなど大騒動の元兇となった例の 『ザ・インタビューズ』 (2014)に出てた人だけど、この人が闘病中のレビットに言っちゃいけないような暴言をよく吐く(と記憶する)。レビットとは親友だから、その身体の状態や病状を揶揄するキツいコメントや当てこすりは、いわば愛あるジョークなわけだけど、コレって日本ならNGだ。
 しかしアメリカ映画に限らずヨーロッパのものでも、患者や死期間近の病人を割りと平気でイジっちゃったりする。一見、酷に思えるけど、病人を特別視せず、自分と同じ健常者のレベルで扱っているわけで、本当はこういうコミュニケーションが正しいんじゃないのかな、とも思う。


 そこで 『きっと、星のせいじゃない。』 ですが、この作品でもそんな具合に病人をイジッたりするヤリトリがある。でもだからって、イジれた方が深刻に悩んだり、傷ついたりってことはなく、なんとなく融和してわかり合っていく姿が心地よかった。だから見ているコチラも嫌な気持ちにならない。

 そうした優しいデリケートな視線ってのがあるんだな。

 だからコレは難病モノっていうより、ティーンが主人公の普通の青春映画で、その中に病気<死に至る病>がくっついてた、とでも言うような作品。10代女子のフツーじゃない日常をフツーに、伸びやかに描いて、ともすれば病気のことなんか忘れちゃうほど(とはいっても、病はしっかり彼女を蝕んでいくのですが・・・)。

 重たく湿っぽい難病モノが軽~いフットワークで描かれてる。
 そこが気に入りました。                        〔続く〕


            きっと ポスター
                 (C)2014 TWENTIETH CENTURY FOX

    『 きっと、星のせいじゃない。 』 公式HP : http://www.foxmovies-jp.com/kitto-hoshi/

       ■ 2月20日より全国ロードショー  配給:20世紀フォックス映画 ■


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
  確執とともに描いた、
        『 ラストシーンの余韻 』 〔電子書籍版〕、
                アマゾンkindleストアから発売中! >





スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

The Food Court ♪

いっぱい食べるキミが好き~ ♪♪♪

SPORTS & CASUALS ♪

いっぱい遊ぶキミが好き~♪♪♪

お役立ちエリア ♪

ナイスな便利グッズ&サービスをご提供!

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

『 ラストシーンの余韻 』 発売中!
映画ライター・高村英次、初の書き下ろし長編 『 ラストシーンの余韻 酒乱と失態、女難と頑迷、監督・溝口健二の狂おしき人生 』

高村英次

Author:高村英次
電子書籍版はアマゾン Kindleストア 及び 楽天ブックスから、紙の書籍版は製本直送.comより発売。直近の各コラムの末尾にある発売告知から販売サイトに遷移、またはポップアップ画面が出ますので、そこで購入できます。 

< プロフィール >
血液型:A型
趣味:サイクリング&ウォーキング&クッキング、デジカメでの写真・動画撮影
好きな場所:札幌ドーム、中島公園、中央図書館、豊平川
好物:コーヒー、ジンギスカン、スープカレー、ラーメン、「ロイズ」のソフトクリーム、「シャトレーゼ」のアイスバー・ピュルテ(塩キャラメル味)、びっくりドンキー、はま寿司、セイコーマート

My Blog Visitors
CAT TIME !
Calendar

Le TAO ♪
夏フェスのお供に甘いスイーツを ・・・ ルタオです ♪♪♪
FC2 ブログランキング
FC2 Blog Ranking
[ジャンルランキング]
映画
467位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
邦画
18位
アクセスランキングを見る>>
リンク
最新記事
松尾ジンギスカン ♪
北海道の郷土料理にしてベスト!
カテゴリ
月別アーカイブ
リーズナブルな旅をご案内 ♪
書を捨てよ、旅へ出よう~ ♪
Amazon DVD RANKING
イチバン人気の映画をチェック!
検索フォーム
最新コメント
MAIL BOX
名前はハンドル名でOK、文面は公開しないので、お気軽に!

名前:
メール:
件名:
本文:

最新トラックバック
QRコード
QR