すくり~んエッセイ   名画座という名のタイムマシン

◆ 第3 の文芸坐、ル・ピリエの想い出  

 当時、池袋・文芸坐ってのは、洋画の名作(全国公開のロードショーが終わった新作とか『ローマの休日』といった往年の名作)をかける地上(1階)の「文芸坐」と、日本映画をかける「文芸地下」(後に「文芸坐2」)とひとつの建物に2館あって、「文芸坐」と「文芸地下」とは入り口が別っこで離れていた。で、その真ん中に芝居をかける 「文芸坐ル・ピリエ」 ってのがあって、ココは小さくて狭い、たしかすり鉢型の劇場で、芝居を演る時はその(すり鉢の)底(のステージ)でやるんだろうけど、ココでも映画の上映があった。

 オーソン・ウェルズ 『市民ケーン』 (1941)を初めて観たのはココで、大学に行く前にココでソレを観て感激し、大学に講義を受けに行ったもののその感動が抑えきれず、ノコノコともう1度観に行った。つまり1日に同じ映画を2度観に行ったのだが、劇場に居続けして2度観る事はあったけど、1度出てまた入館して観たってのは『市民ケーン』だけ。その1度目か、2度目の時かは忘れたけど、スタッフ・クレジットの所で

            「編集 : ロバート・ワイズ マーク・ロブスン

の名前を発見した時には感激した。その事を知らなかったから。

            「エエッーーーッ?! オオオオーーーーッ!!!」てなもん。

 ロバート・ワイズ( 『ウエストサイド物語』 『サウンド・オブ・ミュージック』の監督) も
 マーク・ロブスン( 『チャンピオン』 の監督)
 も知らない人には何のコッチャの話でしょうけど。

 ル・ピリエでは マーロン・ブランド (初)監督・主演のカッタるい西部劇 『片目のジャック』 (1960)と スティーブ・マックィーン の復讐ウエスタン 『ネバダ・スミス』 (1966)も観たんだよね。『ネバダ・スミス』はTVで観てたけどノーカット版は初めてで、ダラダラと長ったらしくて、マックィーン・ファンだったけれどエラく退屈した記憶がある。いかにテレビで巧く切ってたか、ってことですよね。テレビ放映版ってのもバカに出来ない。

 でも、このル・ピリエで上映していた名作映画はきっと16㎜プリントだったと思う(確か貰ったプログラムにも16㎜って但し書きがあったような)。当時はビデオのレンタルが始ったばっかで、ビデオデッキなんか高額で、当然、ジャズめは持ってなかったから、こういう観たい過去作品を観れる機会は貴重だった。16㎜でもなんでも良かったんだ。

               *     *      *

 大学2年の年(昭和58=1983年12月5日)に、ハリウッドの男性派アクションの巨人、ロバート・アルドリッチ監督が亡くなった。その年末か翌年の1月か2月に「アルドリッチ追悼」と題して恵比寿の小さなホールで上映会があった。それも確か16㎜のプリントだったと思う。上映した団体は「捜索舎」(*1)といったから、きっと映画好きな人達だったと思うけど、上映されたアルドリッチ作品 『特攻大作戦』 (1967)を観ていたら、後半、いきなりラストに出てくると思われる襲撃シーンが始まった・・・・そう、フィルムを間違えてかけてしまってたんですよね。終わりの巻を、その前の巻と間違えてかけてしまった!
 ジャズ野郎はこの映画初めてだったけど、集まっていた面々は観ながら薄々、

         「コレ、ラストの巻じゃね? フィルム、間違えてね?」

って思ってた。案の定、映画が終わって室内が明るくなった時、「捜索舎」の人が「スミマセン、フィルムを掛け間違えました。一つ前から始めますので、よろしくお願いします。本当にスミマセン」
 と平身低頭、謝罪して、ラストの1つ前の巻から再度の上映が始まった。始まったけれども、その後のクライマックス、襲撃シーンをあらかた観てしまっていたので、ノレず、白けてしまった記憶がある。

 でも、こういう事は当時、よくあった。一流の名画座でだって、フィルムの掛け間違いなんか、さんざんあったからネー。謝って、再度上映してくれた「捜索舎」さんなんか、むしろ良心的な方です。

 ま、コレは文芸座ル・ピリエとは何の関係もない話ですが。同じ小さなホールの上映会だったから、思い出して書いてしまいました。 <続く>

*1 「捜索舎」 これも映画マニアには説明の要はないと思うけど、ジョン・フォード監督の名作ウエスタンに『捜索者』(1956)というのがあって、この団体名はきっとそれのモジリでしょう。映画好き、って事ですよね。


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