すくり~んエッセイ  名画座という名のタイムマシン

◆ 文芸坐とて 極楽 <パラダイス> ではない ・・・  <その1>

      文芸坐リーフレット
      ▲ 文芸坐リーフレット。今手元に残っているのは、なぜか1984年
        (昭和59年)のものばかり。


 文芸坐もよく通ったのは、洋画をかける「文芸坐」よりも、邦画の旧作をかける「文芸地下」の方だった。劇場スタッフが「小津安二郎週間」とか「任侠映画特集」とか頭をひねって企画を立て、番組を組んで、それで

           「オ、今週は溝口健二か」とか
           「来週から鈴木清順特集なんだ」
           「次にやる川島雄三は全部観よう」

といった具合にチェックして、手帳にそのスケジュールを書き込んでセッセと観に通う。

 前にも号外コラムの 【人生で一番長~~くいたい場所 <その12>】 (2014年7月2日付) で紹介したけど、映画を観に文芸坐に行き、入口で半券を切ってもらう時、二つ折りの小さなリーフレット 「ぶんげいしねうぃーくりぃ」 をくれるのだが、そこに月間の予定と細かい週間の上映作品リストが載っていて、それを観て上映作品をチェックした。
 その裏には、確か週末のオールナイト 「文芸坐10時20分」 の特集上映の番組が書かれてあって、そのタイトルが洒落ていた。

       「 悪魔 <シネマ> が夜くる 」

 説明する必要はないと思うけど、これはマルセル・カルネ監督の名篇 『悪魔が夜来る』 (1942・仏)のモジリ。映画ファンはモジリ好きです。。。

悪魔が夜くる
▲ 「悪魔が夜くる」 は文芸坐オールナイトの名惹句。


 で、そのオールナイトの番組に〝仁義なき戦い〟シリーズがよ~くかかってた。何かっていうと『仁義なき戦い』5部作(昭和48~49年・東映)一挙上映じゃなかったかな。『新・仁義なき戦い』全3部(昭和49~51年・東映、以上、監督は深作欣二)と工藤栄一監督による『その後の仁義なき戦い』(昭和54=1979年・東映)もまとめて、とかいったプログラム。あと小林正樹監督の『人間の条件』全6部(昭和34~36年・にんじんくらぶ他)とか、山本薩夫監督の長~いシャシン--、『戦争と人間』3部作(昭和45~48年・日活)とか『華麗なる一族』(昭和49=1974年)、『金環蝕』(昭和50=1975年・大映)、『不毛地帯』(昭和51=1976年・芸苑社)--かね。記憶にないけど、市川崑の金田一シリーズ(昭和51~54年)なんかもやってたんじゃないかな。
 やってたんじゃないかな・・・なんて言ってるのは、私、文芸坐、文芸地下(の昼間)はよく通ったけど、ここのオールナイトに行った事がないんです。

           な~んか、おっ怖くて・・・。

 オールナイトのラインナップに、去年亡くなった(高倉)健さんの任侠物( 『昭和残侠伝』 『日本侠客伝』 の人気シリーズ)や藤純子の〝緋牡丹博徒〟シリーズなんかもあったと思うけど、こうしたヤクザ物に当時、エラい拒否感がありまして。で、そういうのを観に来る客ってのは、そういう方面の人が多いんじゃないかと。スジもんじゃなくても、任侠・実録モノの映画に熱狂する人達ってのは、同じ映画ファンでもどうも、なんか、怖かった。怖い雰囲気があるような気がして、だから映画観てても、突然、刺されたり、殴られたりすんじゃないか、って・・・。

オールナイト
▲ 文芸坐リーフレットの裏表紙にオールナイトのプログラムが載っていた。
 この時は長谷川一夫特集に、日活アクションのアンソロジー『アゲイン』を
 始めとした日活作品、キューブリック特集に「工藤栄一の美学」、神代辰
 巳のロマンポルノ傑作選なんていかにもオールナイトなプログラムですナ。


 そういう恐怖心(ビビリ)から文芸坐のオールナイトには行かなかった。ジャズ野郎が初めて行ったオールナイトは、新宿・歌舞伎町にかつて「歌舞伎町松竹」って劇場があって、そこでやった今村昌平特集。確か今村作品を3本上映したと思うけど、他の2本は忘れたが、『神々の深き欲望』(昭和43=1968年・今村プロ)を上映したのは覚えてる。そして、そのほとんどを寝てしまった! 
 最終の3本目が『神々~』で、確か一番眠い深夜の3時、4時ごろ。しかもこの映画長いんだよな、3時間くらいある。寝て起きたら、まだ三国連太郎が始まった時と同じ感じで沖縄の海に浮かんでたから、「アレ、まだ同じトコやってんだ・・・」なんて思ったけど。太陽のドアップが出てきて、な~んか意味深な感じではあったが、内容はさっぱり(この映画を確実にチャンと観たのは、4、5年前、DVDで)。

 それはそうと、ヤクザ映画を上映してるからって、それを観に来てる客が殴ったり蹴ったりと暴力ふるうことはない・・と思うでしょ? 
 ところがジャズ野郎はそれを目撃したんです。  <続く>


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
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Author:高村英次
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