新作プレビュー 『 マジック・イン・ムーンライト 』   <前篇>

◆ 今、最後のピークがウディ・アレンに来ている!

             マジック ポスター
             Photo: Jack English (C) 2014 Gravier Productions, Inc.


 この『マジック・イン・ムーンライト』の配給はロングライドさんだが、そこが配布してくれたマスコミ用プレスを見て驚いた。

 本作の監督・脚本の ウディ・アレン 氏はその頃から、つまり、1965年に俳優として初めて映画に出た 『何かいいことないか子猫チャン』 の時以降、ほぼ毎年映画に出たり、または映画を監督しているのである! 

 ホントにほぼ毎年なんだもんネ! 監督作を出してない時は、俳優として映画に出ていたり、時には年に2、3本の映画に関わるなど、まー、そのフットワークの軽さったらない。だけど映画は監督するのはもろん、脇役でちょっと顔を出すだけでも結構疲れる作業だから、こんなふうにのべつまくなし出てる(関わってる)、ってのは容易な事じゃない。フィジカルのみならず、メンタルだって相当にくたびれるもの。しかも、御承知のように、アレン氏はあの風体だ。あの虚弱(に見える)な体格、スタミナなんかありそうにないヤワな小男なわけで、エネルギッシュに映画の製作現場をこなしていく、って感じではまったくない。

 80歳になんなんとしても未だ女性問題を起こすクリント・イーストウッドならば、まだ判る--『アメリカン・スナイパー』みたいな重い映画を撮るのも、そしてアレン氏同様、年ごとにコンスタントに映画を監督するのも。
 あの鍛えられたボディに精悍なマスクだ、十二分にタフでまだまだ意気軒昂だものね、クリントさんは。

 ウディ・アレンはイーストウッドとは対照的というか、そのアンチテーゼみたいな人で、1970~80年代の 『アニー・ホール』 (1977)とか 『ハンナとその姉妹』 (1986)なんかじゃ、セクシーなマッチョ野郎を小馬鹿にし卑下したコメントをのたまわっていた我らのヒーロー(我らの、って〝ジャズ野郎の〟って事ですが)だった。普通に考えれば、もう映画は充分に撮ったから引退していい年頃なのに、未だコンスタントに1年1作である・・・・凄い、というか、なんなんでしょうね、このエネルギー。

 しかも毎年、作品を発表してるだけでなく、その内容が充実してて完成度が高く、平均点以上に仕上げてる。7割方、出来がイイんじゃないですか。プロ野球のバッターだったら、凄い打率です。


 ホントいうと、ジャズめはここ数年のアレン作品はあまりコンスタントに観てはいないんです。いろいろありまして・・・。で、ちょっと前に試写会で 『ミッドナイト・イン・パリ』 (2011)を観た。コレが・・・! まー、いかにもこの人が撮るような映画で、シャレててオモロかった。同じタイムスリップするって趣向でも、有名な文豪が集う1920年代のパリに飛ぶ、ってのがいかにもアレン氏の頭脳(アイデア)ですな。しかもとても展開が面白い。終盤に突然出てくる、あるシーンには大爆笑したし・・・。

 でも、「コレ、たまたま良かったんじゃないかァ」みたいにナメてたら、去年公開の 『ブルージャスミン』 (2013)。これがまた「なんて〝巧いんだい!〟」ってな仕組みで。
    コレ、試写で見逃してDVDで観たんだけど、ゴッツゥまいりました。


 ウディ・アレンは最初に書いたように、1960年代の後半からずーと映画に出、出るよりもかなり多くの映画で自ら監督をしていて、その長い経歴の中でピークと思われる時期が何度かあります。そのピークを説明すると長くなるのでやめますが、気付いたのは、

 アレ、今、晩年のアレン氏に、最後の全盛期ってのが来てるじゃないのか!

って事。

 今回の、手品師のオッサンと透視能力を持った不思議娘のロマンチック・コメディ、 『マジック・イン・ムーンライト』 は、もう、なんていうんですかね。古今亭志ん生(五代目)、桂文楽(八代目)ってあたりの落語の大師匠の域(呼吸)じゃないですかね。


       粋で洒脱で・・・つまり 〝名人芸〟 ってことですが。      <続く>


  マジック サブ1
  ▲ うら若き女占い師ソフィ(エマ・ストーン、左)を疑う〝東洋の魔術師〟ウェイ・リン・スーこと
    スタンリー(コリン・ファース)。Photo: Jack English (C) 2014 Gravier Productions, Inc.

     『 マジック・イン・ムーンライト 』 公式HP : http:// www.magicinmoonlight.jp

 ■ 4月11日より東京・新宿ピカデリー &丸の内ピカデリー &
        Bunkamuraル・シネマ & シネ・リーブル池袋&品川プリンスシネマ、
        札幌シネマフロンティアほかにて全国ロードショー
               提供:KADOKAWA、ロングライド     配給:ロングライド ■



< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
  確執とともに描いた、
        『 ラストシーンの余韻 』 〔電子書籍版〕、
                アマゾンkindleストアから発売中! >





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高村英次

Author:高村英次
電子書籍版はアマゾン Kindleストア 及び 楽天ブックスから、紙の書籍版は製本直送.comより発売。直近の各コラムの末尾にある発売告知から販売サイトに遷移、またはポップアップ画面が出ますので、そこで購入できます。 

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