新作プレビュー 『 マジック・イン・ムーンライト 』   <後篇>

◆〝ワケありの恋〟はアレン映画の常、でも最後の最後に・・・

  マジック メイン
  ▲ 腹の探りをするスタンリー(コリン・ファース)とソフィ(エマ・ストーン)。
    そんな二人がいつしか恋に・・・。
    Photo: Jack English (C) 2014 Gravier Productions, Inc.


 お話は、毎度お馴染みのトラブリィな、ワケありの、そしてどこかコミカルな恋愛話・・・・・・・・・・・・・・なのに楽しい!
               なのに可笑しい!

加えて申せば、

               なのに泣ける!!! ですか。

 マジック、マジシャンが主人公だけにタネも仕掛けも大ありなので、あんまり詳しいことは書けないが、それでもちょっぴりストーリーを紹介すると--

〔 時は1928年--ベルリンの大劇場で、奇抜な大魔術をして見せて観衆のド肝を抜く中国人奇術師のウェイ・リン・スー(これがいかにも フーマンチュウ って感じで)。このスーさん、実は中国人ではなくイギリス紳士のスタンリー (コリン・ファース)が変装した仮の姿なんであるが、そんな彼の許に幼なじみのハワード (サイモン・マクバーニー)がやってきて、「ちょっと相談にのってくれないか?」。
 その相談とは、資産家のカトリッジ家になにやら怪しい女占い師が入り込んで、カトリッジ家の御曹司ブライス (ハーミッシュ・リンクレイター)をたぶらかして玉の輿に乗ろうとしているから、その悪企みを暴いてくれ、と。
 占いだけでなく過去の出来事までズバリ当てちゃう女占い師のイカサマを見破って欲しい、との依頼を受けて、誇り高きマジシャンで自信家のスタンリーは、カトリッジ家の別荘のある南仏へ。
 そこで彼は女占い師ソフィ (エマ・ストーン)と顔を合わせるが、食わせモノと思い込んでいたその女は意外に若くて聡明な娘さんでありまして・・・。 〕



 『英国王のスピーチ』 (2010)でオスカーを受賞してアメリカでも〝全国区〟になった英国俳優の コリン・ファース と、『アメイジング・スパイダーマン』(2012)のヒロイン役や『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(2011)、今回アカデミー作品賞に輝いた『バードマン』(2014)に出演して心境著しい エマ・ストーン が繰り広げる、恋のさや当て、というか、恋の化かし合い。
 これは、今まで何度もアレン氏が描いてきたプロットだし、オールディーズなジャズをバックに、白抜き文字で出されるタイトル&クレジットの出だしも(そしてエンディングも)何度観たか分からない。それは今回もまったく同じで、淡々としたいつもの調子。

 あー、またこの調子かい・・・と最初はやや飽きもするんだが、観ていくとアレン氏の巧みな演出にのっけられて、笑わされて、スカされて、翻弄されて・・・とこれまた、毎度のようにたっぷり楽しまされた。

 たとえば、『メリンダメリンダ』(2004)や『マッチポイント』(2005)を出した頃は手詰まり感があったよね。『マッチ~』は批評ウケが良かったから観に行ったら、なんてこたぁない、昔の 『インテリア』 (1978)とか 『重罪と軽罪』 (1989)の蒸し返しって感じで、軽味がなくってタイクツした(もっともアレン氏の映画には大別して、軽いヤツと重いヤツと2つあると思うのですが、『マッチ~』は後者だったような)

 だから、この人もそろそろ(終わり)かなぁ、なんて思ってたら、80歳になんなんとして、こんなシャレたヤツを出してきた。それに驚いたし、ウーム、マイッタってところですか。

  マジック 降霊祭
  ▲ 富豪一家に招かれて、リビングルームで降霊術を行うソフィ(E・ストーン)。
    そんな彼女のウソを見抜こうとするスタンリーであったが・・・。
    Photo: Jack English (C) 2014 Gravier Productions, Inc.


 何度も言うけどマジック=ダマシ、マジシャン=詐欺師、トリック=ひっかけ が仕掛けられてる映画だから内容に則したことはあまり書けない。
 でも観ながら思ったのはヒッチコック 『ファミリー・プロット』 (1977)ですかね。ヒロインのソフィが透視能力を活かして降霊術をやったりするシーンがあるから、同様のシーンのある『ファミリー・プロット』が思い出されたんだけど、それだけじゃない。
 だけどその〝それだけじゃない〟理由は語れない。『マジック・イン・ムーンライト』のネタ(オチ)にも関係しちゃうから。

 それにウディ・アレンの映画とヒッチコックの映画って、似てんだよね(おそらく誰も指摘してないだろうけど)。内容はともかく、仕組みが似てる。二人とも監督としては同じテクニシャンで、出来上がりが、いつも同じ感じで・・・誰が観ても、「あ、コレってウディ・アレンの映画だろ」とか「コレ、絶対ヒックコックじゃん」と思わせる(判らせる)あたりの極まった作風ってのが同じだ、と思うんですけど・・・。

 最後に、劇中で気に入ったセリフがあったのでメモってみました。今回のアレン作品のテーマは、これに尽きますな。


          〝 たとえ神がいるとしても、この世はマジックでまわってる 〟


   『 マジック・イン・ムーンライト 』 公式HP : http://www.magicinmoonlight.jp

■ 4月11日より東京・新宿ピカデリー & 丸の内ピカデリー &
          Bunkamuraル・シネマ & シネ・リーブル池袋 & 品川プリンスシネマ、
          札幌シネマフロンティアほかにて全国ロードショー
                 提供:KADOKAWA、ロングライド   配給:ロングライド ■



< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
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高村英次

Author:高村英次
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