新作プレビュー  『 妻への家路 』   < 前篇 >

◆ お久しぶりのコン・リー、入魂の演技

  コン・リー メイン
  ▲ チャン・イーモウ映画のアイコンとして『紅いコーリャン』『菊豆』『紅夢』『秋菊の物語』『活き
    る』『上海ルージュ』『王妃の紋章』に、またチェン・カイコー作品『さらば、わが愛/覇王別
    姫』などに出演してきたコン・リー。〝中国の(山口)百恵ちゃん〟なんて呼ばれてたのも
    今は昔。 (C)2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved


 お久しぶり、 っていうのはジャズ野郎がこの人の映画を最近観てなかっただけのことで、この間も堅実にお仕事してたんだろうけど、プロフィールを見たら5年前の 『シャンハイ』 (2010)に出てる。この映画観てるけど「出てたかなぁ」ってほどの希薄な印象でありまして、やはり コン・リー といえば 『紅いコーリャン』 (1987)あたりから続く チャン・イーモウ 監督とのコラボ作、当時(90年代)話題になった〝アジアン・ニューウェイヴ〟の諸作が有名で、評価も高い(因みにチャン監督は中国映画界の第五世代)。

 そのチャン監督とリーさんは、一時、不倫関係にあって、それでチャン監督は前妻と別れることになったのだけれど、結局、二人は一緒にならず。コン・リーはシンガポールの実業家と結婚(中国国籍からシンガポール国籍になったことで、中国ファンから〝中国を捨てた〟などと批判された)したが、その後、離婚。
 一方、チャン監督は再婚した妻との間に子供を3人もうけており、さらに隠し子が複数あって計7人の子供がいることが当局にバレ、それが「一人っ子政策」に違反するとかで罰せられ、17億とも26億ともいわれる莫大な罰金を支払うことに(実際の罰金は1億3千万円だったようだが)・・・などといったネガティヴイなデータは、配給元のプレスには書いてないけれど、今回の作品の場合、むしろ載っけといた方がいいんじゃないですかね。

 実人生における二人の〝愛と事件〟を頭に入れて観た方が、より感慨が増しますから。


 ともかく--そんな〝花も嵐も踏み越えた〟二人が、今ここで再度タッグを組んで見せてくれるのは、なんと涙涙の夫婦愛の物語だッつうから、なんとも皮肉! 
 でも中味は良いです。
 「アン・リー監督が絶賛した」 とか 「スピルバーグ監督が観て1時間も泣いていた」 っていうのも、分からないではないが、この作品は甘くない、甘い涙は一滴も流れない
 最近の中国映画事情はよく知らんけど、こういう作品が出て来るってのはちょっと驚きでしたね。「エッ、こんな題材、厳しい統制下にある一党支配の中国で作っていいの?」って観ながら思いましたもの。

 描いてる時代背景が現代(の中国)じゃなく、文化大革命前後だからオーケーなのかな、などとジャズめは思いましたが、胸にジーンときましたよ。

 国家政策(権力)に圧殺される、一組の夫婦の愛と絆を厳しいタッチで描いてる。

 ここ5年間、ずっーと溝口健二って監督を追いかけてきたせいか、この映画を観ていると、コン・リー扮する女房の姿が、時折、溝口映画のヒロインのように思えてしまった。

 過酷な運命に弄ばれる、溝口描くところの非業な女たち、のように思えた。

 ストーリー展開も、本来ならば、いや、今の日本映画で描かれるとするならば、それこそ甘ったるい、予定調和な(下らない)話になりがちなものをググッと引き締めて、そして突き放す


     突き放すんですよね。ココに関心した。スゲェな、と思いましたよ。


 厳しい冬が永遠に続くような、この映画の寒々としたルック(映像の外観的ムード)、そして妻のコン・リーと夫役のチェン・ダオミンの交流は、〝名もなく、貧しく、美しく〟という感じで、どーしよーもない悲嘆の極地に観る者を突き落とす。

 泣きたい人はどんどん泣いて下さい。でも泣くよりも辛いこと(現実)がある--と思い知ることになります、きっと。
<続く>

ポスター
(C)2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved

          『 妻への家路 』 公式HP :http://cominghome.gaga.ne.jp/

 ■   3月6日より東京TOHOシネマズ・シャンテほかにて全国で順次公開中、
       4月18日より札幌・シアターキノにてロードショー  配給:ギャガ  ■


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
  確執とともに描いた、
        『 ラストシーンの余韻 』 〔電子書籍版〕、
                アマゾンkindleストアから発売中! >





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映画ライター・高村英次、初の書き下ろし長編 『 ラストシーンの余韻 酒乱と失態、女難と頑迷、監督・溝口健二の狂おしき人生 』

高村英次

Author:高村英次
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