新作プレビュー  『 ラン・オールナイト 』   < その2 >

◆ 巧妙に絡んだ展開の妙、〝夜映画〟の粋

 サブ
 ▲ 堅気の息子マイク(ジョエル・キナマン、右)と追っ手を逃れるジミー(R・ニーソン)。
   (C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.


 『アンノウン』 『フライト・ゲーム』 ときて、ジャウム・コレット=セラ監督と3度目のタッグを組んだ今回の作品、〝ラン・オールナイト〟って題名を聞いた時、きっと キャロル・リード 監督の 『邪魔者は殺せ』 (1947)みたいな話なんだろーな、と予想しました。
 IRA(アイルランド共和軍)の内部対立ではじき出された若い活動家ジョニー( ジェームズ・メイソン )が、裏切り者とみなされて刺客を差し向けられ、重傷を負いながら夜の街を逃げまわる・・・。昔観たから定かじゃないけど、確か全編、夜(のシーン)じゃなかったなぁ。とにかく暗~い感じの画が多かった。

            こういうのをジャズ野郎は〝夜映画〟って呼んでます。

 クリント・イーストウッドの 『バード』 (1988)とか、『ダークシティ』 (1998、アレックス・プロヤス監督)、最近だとロマン・ポランスキー監督の 『ゴーストライター』 (2010)も夜映画。
 『ゴーストライター』には昼のシーンもいっぱいあって、「夜ばっかじゃねぇだろ」と思う向きもあるかもしれませんが、なんというのかな、映画全体の雰囲気、トーンが〝夜〟って感じがするんですよね。ま、この他にももっといっぱいあるでしょう。

 そんな夜映画の極めつきっていうと、ジャン・ピエール・メルヴィル 監督ですか。


 それはともかく『ラン・オールナイト』はタイトルで〝オールナイト〟って謳ってるわけですから、逃げも隠れもない。ストーリーをば--


〔 NYの闇社会で殺し屋を生業としているジミー(リーアム・ニーソン)。彼はマフィアのボス、ショーン(エド・ハリス)に飼われている彼の手下だが、ショーンとは固い絆で結ばれ、彼の命令で今まで汚い仕事をさんざんやってきた。そんなジミーを息子のマイク(ジョエル・キナマン)は毛嫌いし、よってジミーは妻子とは縁を切って、一人孤独な日々を生きていた。
 一方、ショーンにも息子がいる。マイクとは幼なじみのダニー(ボイド・ホルブルック)それで、これがロクデナシときていて、闇社会に売り出そうとデカい麻薬取引の話を父親に持ってくる。ドラッグを嫌うショーンは息子の頼みをすげなく拒否。そうなると、売人から巨額の手付け金をもらっているダニーは、ただちにそれを返さなければならない。
 しかしダニーは暴走し、その無謀な迷走は、やがてマイクに、そしてジミーの身の上に災難を及ぼしていく・・・・ 〕



 というわけで、その災難を被ってジミーは夜通しニューヨークの街を逃げまわることになるのですが、そのキッカケに至るまでの展開がやたらと凝っている。まるで 『仁義なき戦い』 (1972・東映)の脚本家・ 笠原和夫 が書いたんじゃないのか、というくらいに、複雑な事件と人物が巧みに絡み合い、緻密に交錯して、〝危機また危機〟のドラマが織り上げられていく( 脚本はブラッド・イングルスビー )。

                   やー、見せますな、マイりました。

 事件と人が多岐に渡って絡むから、映像表現としてちょっと変わった、というか、面白い事をやっていて、それを嫌う人もいるかも知れないけれど、コレがあるから良く解る、ってこともあると思う(どんな表現なのかは言いませんよ~)。

 ジャウム・コレット=セラ監督はニーソンと最初に組んだ 『アンノウン』 でも、容疑者になされたニーソンが夜のベルリン市内を逃げまわるプロセスを実に巧く見せていたけど、今回のNYの逃走シーンも手に入った巧さでもって関心しました。夜の都会のダークでクールなルックと、それと対照的にメチャメチャ焦って汗かきまくって走って逃げる人物との対比をいい距離感(併走感)で描いてる。この距離感は、旅客機という〝密室〟を舞台にした前作の『フライト・ゲーム』でも同様にキープされていて、コッチの場合はニーソンが逃げる方じゃなくて、追いかける方だったが、ニーソンと客&犯人の距離はつかず離れずで、本来動きが取れないハズの狭い機内を縦横に利用。そして展開が進むにつれて、ギューーーッと1点に焦点が絞られていく。この絞られていく瞬間が快感ですな。

 『ラン・オールナイト』でも1点に絞られていく=ゴール(終点)に迫っていく、あたりのドキドキがたまらなかった。巧い監督(ひと)ですね、セラさんは。                 <続く>


 サブサブ
 ▲ パトカーも大クラッシュ。もはやNYDP(ニューヨーク市警)をも敵に回し・・・。
   (C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

   『 ラン・オールナイト 』 公式HP : http://wwws.warnerbros.co.jp/runallnight/

■   5月16日より東京・丸の内ピカデリー、ユナイテッド・シネマ札幌ほか
                   全国ロードショー 配給:ワーナー・ブラザース映画   ■



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