すくり~んエッセイ  名画座という名のタイムマシン

◆ 行きそびれた伝説の劇場 ( こや ) たち

 すでに閉館してしまった往年の人気名画座というと、並木座や新宿昭和館よりもずっと前、ジャズ野郎がまだ大学生だった時に、一部で熱狂的な支持者がいた東武東上線の「 上板東映 」があった。正式名称は「上板東映劇場」だが、みんな親愛の情を込めて 〝 カミイタトーエイ 〟 と呼んでいた。
 ココが閉館するときには、それを惜しんで最終日に映画スターがいっぱい訪れて、あの 松田優作 がステージで挨拶をした、という逸話もあるところだけれど、実を言うとジャズ野郎は1度も行ったことがないのです。
 いや、行こう行こうと思っているうちに、閉館てなことになっちゃって・・・。

 ココと名画座じゃないけれど、ロードショー館の「 テアトル東京 」には行ってみたかった(当時の超大型映画、シネラマを上映できた唯一の映画館だったから)。

 もちろん、日本映画史的にも重要な 日本劇場 にも行ってみたかった。ここで映画を観てみたかった。でもココはジャズ野郎が大学入学で上東した時、すでに改築工事に入っていて、羽田空港からモノレールに乗り、山手線で有楽町駅を通過する際に、その車窓から周囲を囲われた日劇が見えた。それは、むき出しの赤茶けた鉄骨が痛々しい、無残に破壊された姿だった ・・・ 間に合いませんでしたナ、残念ながら。

 日劇はすでになく、上板東映には行きそびれ、あと前に書いた浅草近辺の映画館(要するに東京都東半分の劇場)にも入った経験がない・・・これじゃマズイってんで、東京で3度目に引っ越しする時には中央線沿線の街を選んだ。
 当時はまだ中野や荻窪、吉祥寺に映画館があって、何より三鷹に有名な「 三鷹オスカー 」があったから。忘れもしない、ジョン・フォードの刑事ドラマ 『ギデオン』 (1959・米)をココで観た。座席を確保しようと上映が終わるちょっと前、早めに内部(なか)に入ってドアを開けて潜り込んだら、ジャック・ホーキンスの顔がデッカくスクリーンに広がってて、

   「 オオッ ・・・! 」 と思ったっけ。

 で、この『ギデオン』の時だったと思うけど、映画が始まるまで、入り口付近の横長の椅子に座って待ってたら、車のエンジン音がした。外にトラックが停まり、荷物を持って劇場の入り口から配送のニイサンがドタドタ入ってきたのだが、そのニイサンが持ってきたのは大量のフィルム缶だった。
 フィルム缶、つまり次週上映されるフィルムを運んできたわけです。

         「おー、フィルム缶じゃねえか、懐かしいなあ ・・・ 」

 なぜ懐かしいかというと、日芸時代、さんざん扱ってるわけですから。と言っても16㎜ですけどね、一般上映用はご存知のように35㎜。35㎜と16㎜じゃ、ワンロールの大きさは比べものにならないくらいに違う。もちろん、35㎜の方がデッカイ。
 それがまあ、普通の映画、上映時間2時間内だったら、5、6個もあるわけで、そのニイサンは積み重ねて持ってきたデカいフィルム缶の山をモギリ(受付)の横の出入り扉のところに、ドンッ! と置いた。フィルム缶の山ってのはかなりの量です、ちょっとした塔ですわ。

 で、フィルム缶には、その真ん中の円いステッカーに映画のタイトル名とか番号(何巻目かを示すナンバー)、フィート数とかがゴチャゴチャ書いてある。

 ジャズ野郎は好奇心にかられて、当然、覗き込みましたよ。

         「どれどれ、来週かかる映画って何なのかな?」

 と見てみたら、確かそれは溝口健二の映画だった。溝口の何だったかは忘れたけれど、確かに溝口監督作品だったと思うのです。
 でも三鷹オスカーって洋画専門じゃなかったのかな? 日本映画の旧作もかけたのかな?

 と思って、今、ネットで調べたら、松田優作の遊戯シリーズ3本立てなんかもやってるようだから溝口を上映していた可能性はある。
 それに、そうだ、3本立てで1000円だった、入場料。

 三鷹オスカーは、映画監督の鶴田法男さんのお父さんがオーナーで、法男さんのお兄さんが映画評論家の鶴田浩司さんでかつては「-オスカー」の番組編成を担当。
 実は今も〝三鷹オスカー 一日だけ復活〟と称して「三鷹コミュニティシネマ映画祭」という上映イベントを年に1回(昨年までで6回)開いているようです(と、コレもネットでたった今調べて知ったネタ)。

 ほかに 新宿昭和館 とか 大井町武蔵野館 でもショーモナイ思い出がありますが、いちいち書いてもしょうがない。そっちの話はいずれまた・・・。       〔続く〕


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
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