特別コラム   1985年8月12日を巡る曖昧な記憶

◆ 日航機123便が墜ちた日、私は・・・?   <その2>

 と、ココまで書いてハタと気がついた。ラストシーンを撮ったのは、123便が墜落した翌日の13日ではなかったことに!

 じゃ、いつラストを撮っていたのか。そのヒントは 「夏目雅子の死」 にある。

 この1985年の10年後が、あの「阪神淡路大震災」「オウム真理教事件=地下鉄サリン事件、麻原彰晃逮捕」「神戸連続殺傷事件=酒鬼薔薇事件」の1995年(平成7)なので、10年おきに大事件が起こってたなんて言われたわけですが、そうした85年のビッグニュースの中に当時の人気女優・夏目雅子の急逝もある。
 彼女が女優として売れていて、第一線にあってこれからさらなる活躍が期待されていた時に突然逝ってしまったものだから、世間は夏目フィーバーみたいになったんだけど、その彼女の死を撮影中にジャズめに耳打ちしたのが、やはり録音のNだったんだ。
 そしてそれこそが、ラストシーンを撮っていた下宿屋の裏庭の脇だった・・・。

 夏目雅子が亡くなったのは、日航機が墜落した約1ヶ月後の 9月11日 。

 う~む、思いこみってのは誰にでもありますが・・・それにしても、1ヶ月もタイムラグがあったとは!

 自分はてっきり、あれ(日航機事故)はラストシーンを撮ってた日あたりだと思い込んでいたけど、そうだ、Nが言ったのは日航機の事故のことじゃない、夏目雅子が死んだ、というその一報だったんだ。

 Nが言ったことが日航機じゃなくて夏目死去のことだったって事をなんで憶えているかというと、夏目さんが亡くなった事をNが私を含めた他のスタッフの前で、まるで鬼の首を取ったかのように話したから。
 「夏目雅子って死んだんだゼェ~」
 と自慢げに吹聴して、みなの不興を買ったんだ。だからを憶えている。

 Nは「人の死」を、自慢げに、半ば、小馬鹿にするような口調で言いまくったおかげで、「アイツ、バカじゃね」と引かれ、批難もされた。本人には悪気はなく、耳にしたビッグニュースを「俺だけが知ってる!」って感じで言っただけだったのだが、まあ、バカですな。
 場を白けさせ、みんなに白眼視されて、ブツブツ言い訳がましい事を言いながら顔を真っ赤にしていたN。その姿をハッキリ憶えていて、それがラストシーンを撮り終えた現場(下宿)だったから、自分の記憶違いに気がついたわけ(ま、私以外はどーでもいいことですが)。

 で、そんなふうに記憶を訂正(整理)していくと、そうだ、確かに8月にラストシーンを撮ってたってのは早過ぎる。その時の撮影は万事が後手後手になって、スケジュールも随分ズレ込んで、ラストを撮ったのは秋の初めだったように思う。秋たって9月の11日はまだ暑く、秋って感じもしなかったが、まだしも9月の方が理屈が合う。


<その年、1985年の夏もエラく暑くて、確か、撮影の合間に喫茶店で昼飯を食いに入ったら、スプーンやフォークを右手に持ったまま寝ちゃった事があった。自分だけでなくスタッフみんなが!>


 理屈が合う、っていうのは、そのラストシーンの場面で、人を殺めて逃げる男女に職務質問する警官っていうのを出したんだけど、その警官役の学友H君がやけに軽やかに演じてくれたのを思い出すから。クソ暑いとあんなに軽~~く演じられなかっただろう。

 アクション映画や刑事物が大好きなH君は、警官の制服が着られるってことで、その日は大ハシャギ! もちろん、制服は業者から借りてきた衣装。
(実は、このH君が演った軽~~いノリのお巡りが、自分が撮ったその映画の中では一番好きである。 ♪ チンチロリンのカックン~♪ 由利徹「カックン・ルンバ」を歌いながら登場するHのノリ良過ぎのお巡りさんには、当初〝もうちょっとマジメに演ってくんないかなぁ〟とムカついたものの、今思えば、笑えるシーンはそこぐらいなモノだから、〝あー、やっぱりアイツに演らせといて良かった〟と思っている次第)

 H君の話は余分でしたが、ことほど左様に、人間の記憶ってのはアテにならないもんです。いや、アテにならないのはジャズ野郎の記憶力かもしれませんが。   〔続く〕


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
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