Coffee Break-淀川さんの『ラジオ名画劇場』!

◆ 素晴らしき映画の話と話芸の玉手箱

 ちょっとした映画ファンならこの野村芳亭なる人物が、同じ松竹の監督で推理サスペンスを得意とした野村芳太郎監督( 『ゼロの焦点』『砂の器』『鬼畜』『事件』 など名篇多し)の父上であることを知っている。ジャズ野郎が、野村芳亭(ほうてい)という(変な)名前を初めて耳にしたのは、淀川長治さんのラジオです。

淀川さんといえば、 “サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ” でお馴染みのテレ朝の『日曜洋画劇場』の名解説を条件反射的に思い出すわけですが、ラジオでも実にいいお仕事をされていて、昭和50年代に 『淀川長治ラジオ名画劇場』 (正確には昭和48年から昭和56年まで放送)という番組を週1回やられていました。関東地方ではいつ放送だったか知りませんが、北海道(札幌)では月曜の夜8時から流れていて、当時、映画を本格的に見初めたばかりのジャス野郎は、晩飯を食べるとすぐさま自室に籠もり、淀チョーさんの放送が始まるのをワクワクしながら待ってたものです。

 オープニングは、確か--
『鉄道員』 (ピエトロ・ジェルミ監督)の悲しげなギターの旋律に子供の声が被さったシーンの音声や、
『第三の男』 (キャロル・リード監督)のハリー・ライム(いわずと知れたオーソン・ウェルズ)が地下水道を逃げるシーンの音(靴音が カン!カン!カン! と地下溝内に反響して・・・今でもこの映画を観てて、このシーンが出てくると、その靴音で淀川さんのラジオを思い出します)やら、他の映画の音声がコラージュされて、
その途中から淀川さんの番組開始の弁--
「今日は○○について語りますよ、楽しみですねぇ~、恐いですねぇ・・・」
 といったお題発表のご挨拶があって、そのバックに、『ラジオ名画劇場』のテーマ曲というべき(映画)音楽はビリー・ワイルダー監督の名作『あなただけ今晩は』 (昭和38=1963年)のタイトル曲が景気良く流れる・・・と、実はこの曲が『あなた~』のテーマ曲だって事はずっと後、この作品を観た時に知った事ですが、この
 ♪ タタ、タンタタンタタン、タタ、タンタタンタン……タン、タタン、タンタン! ♪ という曲(コレじゃ、判らないですよね)の陽気なリズムが、番組の感じにピッタンコでよく口ずさみました。

きっと、いや、絶対、ジャズ野郎に映画の面白さ、深さを、面白おかしく教えてくれたその嚆矢こそ、この淀川さんの『ラジオ名画劇場』です。とにかく夢中で聴きました。
 その証拠に、最近、『サイコ』 (昭和35=1960年)製作時の舞台裏が 『ヒッチコック』 (平成24=2012年)として映画になったアルフレッド・ヒッチコック
『影武者』 (昭和55=1980年)を発表した時の黒澤明
そしてコレは確か1980年の12月まるまる1カ月を使って(つまり4週全部)語り尽くしたチャールズ・チャップリン
 の番組はエアチェックしておりまして、そのテープを未だに持ってます。チャップリンの回なんて、すごぅございますよ。淀川さんといえば、チャップリンを愛して愛して愛し抜いた人ですからね。そらァ、もう、語る口調にも力が入って、ホント、メチャメチャ熱ぅございました!






 ヒッチコックって監督がどういう映画を撮る人か、黒澤明のタッチとはどういうものか、を識ったのみならず、他の回で特集してくれた--
フェデリコ・フェリーニ、ルキノ・ヴィスコンティ、フレッド・ジンネマン、ジャン・ルノワール、フランソワ・トリュフォー、サタジット・レイ、ウィリアム・ワイラー、ジョン・フォード、オーソン・ウェルズ、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、デビッド・ワーク・グリフィス ・・・アレレ、段々古い人になってしまいましたが、今村昌平木下恵介大島渚も(大島渚については、“私、この人嫌いなんです。なんでもやったらいい、見せたらいい、いうような映画嫌いなんです”と言ってた言葉が忘られない!)--

 これら名監督・大監督のことはすべて淀川さんのこのラジオで識りました。監督の紹介だけでなく、淀川さんが試写会で観た新作の話題もあって、それを参考に映画を見に行ってましたから、本当にお世話になりました。時には、記憶違いや、新作映画のネタバレもあったけど、それすらも今思い出すと懐かしいし、楽しい想い出です。

 今、淀川さんみたいに判りやすく映画の面白さを伝えてくれる人って、いないですね。 実際に映画を撮ったこともなく、フィルムを触った事もない、脚本すら書いた事がないにもかかわらず、知識だけは妙に持ってる、耳年増な“知ったかぶりの識者や評論家”ばっかりで。そんな人達に高踏的な話をされても誰も理解できない。だから、映画を見た“感想”程度の事をフランクに喋るタレントまがいの自称“映画ナビゲーター”や“コメンテーター”が重宝されるんでしょうか。でも何事においてもそうだと思いますが、(モノを語る)“基本”をしっかり持っていない、っていうのは、どうも・・・。

 前置きが果てしなく長くなりましたけど、この『ラジオ名画劇場』で小津安二郎や五所平之助といった松竹の往年の名監督を説いた回か、もしくは野村芳太郎の新作の紹介の時か、で初めて野村芳亭という大監督がいた、という事を識ったわけです。もちろん、その時は、芳亭さんには何の興味も持ちませんでしたけれど。  〔続く〕


< 『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、
  『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、
  伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの
  確執とともに描いた、
        『 ラストシーンの余韻 』 〔電子書籍版〕、
                アマゾンkindleストアから発売中! >


スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

The Food Court ♪

いっぱい食べるキミが好き~ ♪♪♪

SPORTS & CASUALS ♪

いっぱい遊ぶキミが好き~♪♪♪

お役立ちエリア ♪

ナイスな便利グッズ&サービスをご提供!

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

『 ラストシーンの余韻 』 発売中!
映画ライター・高村英次、初の書き下ろし長編 『 ラストシーンの余韻 酒乱と失態、女難と頑迷、監督・溝口健二の狂おしき人生 』

高村英次

Author:高村英次
電子書籍版はアマゾン Kindleストア 及び 楽天ブックスから、紙の書籍版は製本直送.comより発売。直近の各コラムの末尾にある発売告知から販売サイトに遷移、またはポップアップ画面が出ますので、そこで購入できます。 

< プロフィール >
血液型:A型
趣味:サイクリング&ウォーキング&クッキング、デジカメでの写真・動画撮影
好きな場所:札幌ドーム、中島公園、中央図書館、豊平川
好物:コーヒー、ジンギスカン、スープカレー、ラーメン、「ロイズ」のソフトクリーム、「シャトレーゼ」のアイスバー・ピュルテ(塩キャラメル味)、びっくりドンキー、はま寿司、セイコーマート

My Blog Visitors
CAT TIME !
Calendar

Le TAO ♪
春の光だ、マチに飛び出せ! ・・・ ルタオです ♪♪♪
FC2 ブログランキング
FC2 Blog Ranking
[ジャンルランキング]
映画
246位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
邦画
10位
アクセスランキングを見る>>
リンク
最新記事
松尾ジンギスカン ♪
北海道の郷土料理にしてベスト!
カテゴリ
月別アーカイブ
リーズナブルな旅をご案内 ♪
書を捨てよ、旅へ出よう~ ♪
Amazon DVD RANKING
イチバン人気の映画をチェック!
検索フォーム
最新コメント
MAIL BOX
名前はハンドル名でOK、文面は公開しないので、お気軽に!

名前:
メール:
件名:
本文:

最新トラックバック
QRコード
QR