巨匠のムチャブリ-野村芳亭、知られざる巨人 その4

◆大正期の映画界を席捲した連鎖劇

 連鎖劇とは芝居と芝居の合間に、短い映画を上映する新種の上演スタイル。「絵が動く」「写真が動く」として当時、大衆の関心の的であった映画を、芝居の途中に挟み込んで芝居を盛り上げたもので、例えばロケで撮った追っかけとか風景といったアウトドアのシーンやシークエンスが上映され、これがヤンヤの喝采を浴びた。連鎖劇をやり出したのは大阪の映画会社(天活)だと言われるが、大正期にこれは一時、爆発的に流行した。
 この上演スタイルは最近でも度々行われ、1970年代には寺山修司が実験的に連鎖劇風な芝居をやっていたし、現在では劇団☆新感線などがこの趣向を実践している。

 芳亭はマキノ省三と一緒に、芝居の幕間にかける短編映画の製作に励んだ。そしてこの時、ムービー・キャメラにフィルムを装填し、クランクを手で回して、レンズを通して芝居を見、これを撮る、といった映画撮影の基本的な手順やメカニックな知識を知ったものと覚しい。これが後々生きてくる。
 若き日、映画に夢中になった芳亭だったが、まだ芝居に未練があったので映画には行かず劇場経営に向かう。芝居といえば当時は松竹の全盛であり、松竹の2大巨頭・白井松次郎大谷竹次郎とも知己を深めていく。マキノ省三、白井、大谷と芳亭とは芝居が取り持つ縁である。

 やがて、興行に鼻が利く、という才覚を買われて松竹から新京極歌舞伎座など劇場を任され、やがて芳亭は勇躍、東京に進出する。浅草の公園劇場や常盤座で芝居を打つ傍ら、南千住で料理屋などを手がけるうち、大谷竹次郎から本郷座の経営を任された。
 芳亭はそこで自分の小屋にかける芝居〝連鎖劇〟に使うため、再び映画製作に手を染め、芝居の興行全般を指揮して手腕を発揮していくことになる。   〔続く〕


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