ある痛切 - 小津安二郎にドヤされた男 - <第4回>

◆ 映画を撮らずとももらえた金をもらえぬようにした男


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    http://ag4nematwc.blog.fc2.com/ 
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    ***************************

 高橋治の 「許せない男」 にある「〔高橋が〕二本ほど身分は助監督で監督作品を作り、いよいよ退社届を出して契約監督になろうという時……」という記述。コレどういう意味かというと、この当時、松竹大船では助監督の時は組合に属して松竹の会社員だが、助監督から監督に昇進すると1本いくらの契約者となるので、松竹専属であっても身分的には一旦退社しなければならない。
 その上で、改めて松竹(大船撮影所)で映画を撮る監督として(専属)契約して、1本撮るごとに演出料(ギャラ)をもらう。しかし企画が通らなかったり、病気などでその月、またはその年、映画を撮れない事もあるわけで、そうした働きのない時でも月にいくら(月保証)、1年いくら(1年保証)という手当(金)がもらえた。それが大船監督の持っていた既得権で一種の生活保障みたいなものだろうが、コレは小津や当時のベテラン監督が自分や後進のこと(生活)を考えて、会社側と掛け合って取得した大切な権利であった。

 それを赤八会、すなわち昭和26年の助監督募集試験にパスして入社してきた8人のうちの一人がそれをなしにしてしまったのである。 『人間ぱあてぃ』 にはこうある。

 大船の監督が諸事おっとり構えていられたのは、小津監督が中心になって獲得したこのような監督に有利な既得権があったからだった。だが、私が契約を結ぶ段になって、出された書類を見ると、月保証も一年保証もなくなっている。私はなぜそんなことになったのかを芸文室長に聞いてみた。
「あの監督がね、事務との取引きで、二条件を放棄するなら監督にするという話にのったんです。前例が出来たからもうどうにもなりません」
 良き大船の伝統の理解者を任じていた室長も、憤懣をかくせない口調だった。
              (以上、 同書「許せない男」より)


 「二条件を放棄するなら監督にするという話にのった」ので、その男は晴れて監督昇進と相なり、そのおかげでその既得権は廃止されて、以後その男の後輩の高橋治はおろか(おそらく)小津ら一線級の監督達も手当をもらえなくなってしまった、という事らしい。


中平康
▲ 中平康監督 〔1926 - 1978 〕
出典:高知県美術館のウエブサイト 「中平 康 映画祭 -映画をデザインした先駆的監督-」
http://www.kochi-bunkazaidan.or.jp/~museum/previous/nakahira/nakahira.htm

鈴木清順
▲ 鈴木清順監督  〔 1923 -  〕
出典:ウエブサイト「昭和史に残る 不滅の日本映画 監督編」
http://nihon.eigajiten.com/suzukiseijun.htm
 
松山善三ほか
▲ 松山善三監督 〔1925 - 2016 〕松山は右、左が妻の高峰秀子、中央は仲人の木下恵介監督。
出典:ウエブサイト「時の最果てにて」 http://redanger.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-d1fb.html


 赤八会の8人とは、川島雄三同様、鬼才で知られた 中平康 (日活に移って『狂った果実』『牛乳屋フランキー』『若くて、悪くて、凄いこいつら』『危ないことなら銭になる』)、鬼才というか異才の 鈴木清順 (当時は鈴木清太郎。この人も日活に移籍)、先日亡くなった 松山善三 (『名もなく貧しく美しく』で監督、『人間の條件・全六部』『人間の証明』などの脚本家)などであるが、ジャズ野郎は某誌に書かれた赤八会のメンバーの名を目で追っていって、思わず「あッ」と叫んでしまった。          <続き>


『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの確執とともに描いた、
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映画ライター・高村英次、初の書き下ろし長編 『 ラストシーンの余韻 酒乱と失態、女難と頑迷、監督・溝口健二の狂おしき人生 』

高村英次

Author:高村英次
電子書籍版はアマゾン Kindleストア 及び 楽天ブックスから、紙の書籍版は製本直送.comより発売。直近の各コラムの末尾にある発売告知から販売サイトに遷移、またはポップアップ画面が出ますので、そこで購入できます。 

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趣味:サイクリング&ウォーキング&クッキング、デジカメでの写真・動画撮影
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