ある痛切 - 小津安二郎にドヤされた男 - <第13回>

◆ 鼻につくインテリ作家、高橋治の重罪


絢爛たる影絵 小
▲ 『 絢爛たる影絵 小津安二郎 』 高橋治、岩波現代文庫
出典 : amazonプライム 


 だから、高橋治の一文を読んだ時、生駒さんのことが鮮やかに思い出された。
「あー、そうか、じゃあ、小津にドヤされた奴ってのは・・・」と一瞬でピンときた。調べてみたら、赤八会のひとりで、東京出身で・・・なぁるほどね、やっぱり、といった具合。
 それは大いなる発見であったから、本来ならその事に気付かせてくれた『人間ぱあてぃ』の著者、作家の高橋治に感謝しないといけないが、私は生駒さん同様、この高橋も嫌いである。

 当時、松竹大船で助監督をしていた高橋治は時折、小津作品に付いており、その思い出を交えて小津映画を鋭く論じた 『絢爛たる影絵』(岩波現代文庫) はいい本だが、わざと虚偽(ウソ、ツクリ)を書いて、要は〝脚色〟して面白くしている点で、映画本としては落第である。

   そう、自分でツクッてんですよね、逸話を(ツクるンじゃねーよ!)。

 晩年の小津の傍にいて、よーく現場を見ているにも関わらず、手前勝手に〝脚色〟された--判っててウソを書いた--んじゃ、その現場にいるはずもない映画ファン・小津ファンは、それがすなわち小津の本性か、と思ってしまうわけだから、そうした記述が1カ所でもある『絢爛たる影絵』は製作現場の小津安二郎の有り様を正確に捉えた記録(ノンフィクション)とは決して言えない。

 しかも、この本、直木賞の候補になったらしく、それを高橋治は喜びながらも、反面、ツクリがあるもんだから(後ろめたくて)、その言い訳を 『人間ぱあてぃ』 他で書いてんだ

 それがちょっとズルイっていうか ・・・ セコイんだよね。

 ツクリを書いて、そこがウケちゃったもんだから、後でその言い訳するってのは、映画の現場を踏んだ人間<カツドウヤ>の風上にも置けない行為だ。そのウケちゃった部分というのは、『絢爛たる影絵』の冒頭に出てくるのだが、それは実際に読んで確認してください。


 それはそうと、またある人たちはこう思うかも知れない。
 きっと私が生駒さんに学生時代に赤っ恥をかかされた経験があるから、それを根に持って、逆恨みでコレを書いてンだろうと ・・・ まあ、そう思われても仕方ない。
 でもアタシも五十路を過ぎたオッサンですよ。いつまでも若い時分のことを根に持つほどヒマじゃない。いや、大体、池袋駅で勧誘につかまった事なんてすっかり忘れていて、『人間ぱあてぃ』所収の「許せない男」の〝生駒素描〟を読んで思い出したくらいなんだ。この本を読まなきゃ、思い出すことなんかなかったし、正直、思い出したくもなかった。

 --とこういう点がこのコラムの第1回 (9月7日付け)で書いた、映画本を読んでると「たまに自分に関係してくる話題が出てきて戸惑うこともある」という部分なんである。 <続く>


『祇園の姉妹』や『浪華悲歌』で日本映画にリアリズムを打ち立て、『西鶴一代女』『雨月物語』などの名作を放った溝口健二の人生を、伊藤大輔・小津安二郎・黒澤明などのライバル監督&スタッフとの確執とともに描いた、
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