新作プレビュー  『 LA LA LAND 』

◆ Rhythm & Dancin' - 試写会で踊り出した淀川さん <後編>

J・キャグニー
▲ジェームズ・キャグニー 〔1899 - 1986〕
出典:ウェブサイト「ジオンティーズ」http://www.geocities.jp/h2o_classic/j-cagney.html
※『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』は1942年のワーナー映画。監督:マイケル・カーティス
  出演:ジェームズ・キャグニー、ウォルター・ヒューストン、ジョーン・レスリー


 キャグニー自伝『汚れた顔の天使』を読み終わってすぐの頃、私は訳者の山田宏一さんにお会いしてお話しさせてもらう機会があったので、さっそくこのヨドガワ伝説について訊いてみた。


私  「『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』は1942年製作で、日米が戦っていた太平洋戦争真っ最中の作品で、当時、日本ではアメリカ映画は敵性映画で上映禁止。戦後も未公開にされたのでアカデミー賞に輝いたキャグニーのダンスが見られなかったわけですよね。すると淀川さんは、その〝幻のダンス〟が『ワーナー映画五十年史~』で偶然観られた事に感動して、踊ってしまったんでしょうか?」
山田さん  「うーん、それはどうかわからないけど」
私  「でも本当に試写会で踊ったんですか?」
山田さん  「〝踊ったといっても、ほんのちょっとですよ〟とおっしゃってたから、立ち上がってタップを踏んだぐらいじゃないですか」
私  「でもマスコミの重鎮、お歴々も多くいる、ピリついた雰囲気のマスコミ試写で、よく踊れましたね」
山田さん  「それだけキャグニーのダンスにマイッちゃったんじゃないですか」


 この時、私はまだ『ヤンキー~』を観ていなかったので、さっそくビデオを借りてきて観てみた。『ヤンキー~』はブロードウェイの偉大な興行師ジョージ・M・コーハンの半生を描いた伝記ミュージカルで、コーハンへのリスペクトを謳いあげているのはもちろんだが、製作時は太平洋戦争中だったから「日本軍をぶっ潰せ!」といった戦意高揚を意図したプロパガンダ的な要素も強く感じられる映画で、戦後も日本で未公開にされたのはよく判る(1990年代になって劇場公開された)。

 しかし『ヤンキー~』を観ることは観たが、その中のどのシーンが『ワーナー映画五十年史/映画が私を作った』に使われたのかが判らないので、淀川さんがどの〝踊るキャグニー〟に感激して踊り出したのか、は判らなかった。
 だがおそらくそのシーンは、英国のダービーに参加しながら失格になったコーハン(キャグニー)扮するジョッキーがNYに帰還する一行を見送る波止場で唄い踊る、「ジョニー・ジョーンズ」でのワンシーンではないか、と察せられた。

 なぜそう思ったかというと、そこでのキャグニーのダンスがもの凄かったからである。

 ミュージカル映画におけるダンスといえば(フレッド・)アステア、(ジーン・)ケリーだと思っていた私は、このどちらかと言えば小柄(短躯)の、動きはすばしっこそうだけど、さほど華麗なダンシングをするとは思えなかったキャグニー(彼の伝記を読んでいたにも関わらず、ナメていた)が、圧倒的なリズム感とダイナミズムで踊りまくるのを観て、呆気にとられた。

              「コイツはすげぇーーや!」

 ギャグニーのステップ&ダンスには、アステアの優雅さも、ケリーのようなバレエ仕込みのしなやかさもない。独特な、もの凄く速い脚さばきとジャンプが身上で、とにかく速い! パッと飛び上がって、身体を左・右に傾けながら右の脚を左の脚で叩き、次に飛ぶ時には左の脚を右の脚で叩く。コレってよくミュージカル(40~50年代)に出てくるステップで、その昔、ジャズのキャブ・キャロウェイなんかもやってかと思うけど、それを目にもとまらぬ素早さでやり、腰の所で身体をくの字に曲げて、脚を突っ張ったようにしてダダッ子みたいにズンズンズンズン歩くかと思いきや、これまた凄いスピードでタップを踏んで飛び跳ねる。とにかく身が軽い。身が軽くなきゃ、こんな動きはできない。

 そしてダンスの最後にクルッと一回転して正面(観客)の方に向き直り、両手を広げてパッと止まる(ここが見事!)。私も思わず踊り出したくなったが、淀川さんみたいに踊ることはなく、しかしこのシーンを何回も何回も繰り返して観た。感激した・・・そして痛感した。

      「そうか、これじゃ、淀川さんも試写会で踊るわけだよな」

 <続く>

      『 LA LA LAND 』 公式HP : http://gaga.ne.jp/lalaland/

https://youtu.be/aM4ouq7iPZY

▲『LA LA LAND』の挿入歌 「SOMEONE IN THE CROWD」。この映像クリップ、映画の劇中
カットも登場するが、エマ・ストーンやバックダンサーらの群舞はPVと思われる。だが映画を
上回るほど踊りも編集もメチャメチャ素晴らしい仕上がりだ。


 ■ 2月24日より東京・TOHOシネマズ日本橋、札幌シネマ・フロンティア、
              ユナイテッド・シネマ札幌ほか全国でロードショー 配給:GAGA ■


                  *****

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