松竹の監督系譜-蒲田(大船)調の行方 <その14>

◆大船最大の危機・・・助監督の枯渇

 ただ、この昭和30年代、大船撮影所から<松竹ヌーベルバーグ派>や<第3系統>の川島=今平一派、そして松竹京都からも才能のある監督・助監督がほぼいなくなったという事態(事件)は、「仮定」ではなく、時の現実であった。この事がどれほど松竹映画にとって痛かったか、マイナスだったか---それが後に判ってくる。

 彼らが去ったこの時期よりもずっと後の、邦画の斜陽化が目に見えて加速していく昭和30年末から40・50年にかけて、松竹の助監督、そして監督の人材の薄さが顕著になっていくのである。

 日活移籍後、二十数年ぶりに松竹大船に来て 『恋人岬』 (昭和52=1977年)を撮った 西河克巳 は、久しぶりに大船撮影所を訪れて、深刻な感想を持った。

西河 びっくりしました。まず、変わってないんですね。本当に、取り残されたところだなあという感じがしました。撮影所自体に無気力な空気が流れているような、引退しているような印象があって、コレは好くないな、と思いましたね。……
-〔『恋人岬』の〕スタッフは松竹の関係の方たちなんでしょうか。
西河 ぼくが外から来た、ということもあったんでしょうが、助監督があまりやってくれない、という印象が強かったですね。野村芳太郎君にも後で聞いたら、
「いちばん問題なのは助監督だよ」
ということを言ってましたからね。昔は大船のいちばんいい所が助監督だと言われたんですがね。
 (『西河克巳映画修業』西河克巳・権藤晋、ワイズ出版) 〔〕内、ジャズ野郎註。


 「いちばん問題なのは助監督だよ」という野村芳太郎の一言が重い。西河作品『恋人岬』のチーフ助監督は、あの第3系統の中にあった 三村晴彦 であるが、この低迷期にはすでに本流も傍流も第3系統もなかっただろう。助監督の人員自体が減らされ、また急激な映画不況の中で自然と減っていって、人も才能も、この時の大船にはいなくなっていた。

 蒲田=大船調の創成者であり、擁護者であった城戸四郎はというと、昭和50年(1975)4月18日、ついに永眠の床についた。その城戸の継承者もいない。

 では、松竹映画は、蒲田=大船調は、この時(そして現在に至るも)、死に絶えてしまったのか・・・。〔続く〕

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